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よっぽどお腹が空いてたみたい
「きれいな子ね、この子。」
ニィナは乳を与えながら呟くように言った。
「名前は?」
ダルエには答えられなかった。どうせこの世からすぐにいなくなる子だ。名前を付けるなんて考えもしなかった。ニィナに続いて女まで問い出した。
「ねぇ、この子の名前は?」
「…ひどいお父さんね。」
「違う!」
ダルエが突拍子もなく大きな声を出したため、女の腕の中にいたニィナの息子は泣き出してしまった。
「大丈夫よ、ビーべ。ごめんね。ビックリしたわよね。なんでもないのよ。」
女があやすビーべは早々に泣き止んだ。女の赤子はよっぽどお腹が空いていたみたいで、ダルエの大声などものともせず、まだニィナの乳を吸い続けていた。




