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招かざる客

「さて、大まかな違いは分かったかしら?」


 岡田先輩と是沢先輩との戦闘(会長曰く、魔法のお手本)が終わり、会長が話し始める。


「まぁ、大体は分かりましたけど・・・」


「そう、ではどこが違う?」


「ワシらが使う魔法は、何らかの物を使い、それを中心に術式を組んでいくためか、異常なほどの時間がかかるが、さっきの2人の魔法はただ、自分の魔力を具現化しただけやから、発現時間が短い点やな・・・あれ、肉体にえらい負担かかるやろ、アカ姉」


「そうね、相変わらず気持ち悪いぐらいの洞察力ね」


「お褒めに預かり光栄や」


「・・・さて、この魔法のことに戻るのだけれど。簡単に言えば、自分自身に眠る力を―――」





「それ以上、喋るのは止めてもらおうか。本条茜」





 後ろから、突然の声に会長は、扉の方角に振り返った。その表情には悲痛と恐怖が宿っている。


「く・・・草月・・・・監査官・・」


「おやおや、どうしたのかね、そんなに怯えて。」


「どうして・・・・どうしてあなたが、ここに居る!」


「なぜか、だって?決まっているじゃないか。主人に噛み付く飼い犬を始末しに来たのだよ」


「何・・・ですって・・・」


「まさか、気付かれなかった、とでも思ったかね。君たちのしていることは全てお見通しなのだよ。私のチカラを持ってすれば――――」


 その瞬間、草月と呼ばれる人物の周りを炎と光の壁で囲まれた。当然、誰がやったのかは言うまでもない。気が付いて振り返ると、岡田先輩と是沢先輩がさっきの魔法を発動させている。


「成瀬君、翔!あなた達は逃げなさい!」


「でも、それじゃ・・・」


「良いから行きなさいっ!!ここで全滅しては駄目なのっ!!翔、分かってるわね」


「・・・・マサキ、行くで」


 そう言って、ボクの手を強引に掴んで駆け出した。


「アカ姉、岡田さん、是沢さん。頼んだで・・・」

 そんな、大和祈りに近い呟きも、ボクの耳には届かなかった・・・・





「岡田君、是沢君。巻き込んでしまって、ごめんなさい」

 今の、私のはこれくらい謝罪の言葉しか思いつかない。でも、そんな言葉を彼らは望んでいなかった

「馬鹿か、本条。お前に振り回されるのなんて、今に始まったことじゃないんだよ」

「そうだよ、会長さん。さっさとコイツ倒して、後輩たちに植え付けた死亡フラグを改革してやるんだ。」

 ああ、なんで今まで気が付かなかったのだろう。私には、こんなにも頼もしい仲間が居ることに。でも、今は感慨に耽っている暇はない。

「ええ、そうね。じゃあ、2人共。一気に行くわよっ!!」


「話はそれで終わりかね?」


 その言葉が聞き届く頃には、草月の周りに囲んでいたものは全て吹き飛ばされていた。当然、この程度で彼を止められるとは思っていない。

「ふん。済んだようなら行かせてもらおうか・・・『バクルサッ!!アルスラッド・レイブンッ!!(破壊始、失墜の黒烏)』」

 その言葉とともに、草月の影から夥しい数の黒いカラスがでていきた。これが、彼のチカラであり、私にとってもっとも、断ち切りたい鎖でもある。

「残念ね。あなたを行かせるつもりはないわ。あなたはここで止めるっ!! 

 私はもうっ!あの頃の私じゃないっ!!」

 正直、戦いたくなかった。全て、話し合いで済むと思っていた。でも。これは私だけの問題じゃない。守りたいものがあるから・・・だから、私は右手を上げ、自らの力の名を宣言した。


『ルピアノスッ!!アクラルド・アリアッ!!(創始、矛盾聖女)』


 私の声に応じて、魔力が形を成し、具現化する。掲げた右手には私の杖がしっかりを握られ、私の体を、白いローブが包み込む。


 どうか、このチカラが誰かを守る盾になればいいなぁ。そんな儚い希望を抱いて戦争が始まった・・・



いかがでしたでしょうか?

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