おかだジェネラル PART1
お久しぶりです。
「おいおい、これは・・・・化け物じゃねーか・・・」
ルーチェの姿を見て、イプシロンはそっと呟く。彼女は、ルーチェは前のときも、こうしていたのだろうか。ただ、そこに居るだけの化け物に・・・・
「・・・これでいい。これでエデンの鍵はこちらのもんだっ!」
そう言ってイプシロンは、踏みつけていたボクを蹴り飛ばした。
「――――ッ!!」
「ミュー。始めるぞっ!」
イプシロンは、ルーチェ目掛けて走り出す。そして、高く跳躍し、自らの鎌をルーチェに向かい、振りかぶった。 その鎌は大きく、ルーチェの肩に食い込む。やがて引き千切れ、赤の血が噴き出した。
その間、ルーチェは無言を貫き通す。ただ空を眺めているだけだ。
『混沌の淵に、真理へと至りし我が眷属よ。我に仇名すものに絶対の裁きを』
ミューが真言を放つ。そして、その声に応えるかのように、イプシロンの鎌が紅く光を放ち出す。
放たれた光は、やがてルーチェを覆い隠した。
「フ、まぁこんなもんだろ」
地上におりたイプシロンが呟く。ミューも真言を唱えるのを止め、無言でルーチェを見つめていた。
そう、奴らはルーチェを『捕獲した』んだ・・・・
「クッ・・・・・もう、駄目か」
「ハハハッ! こいつはいいッ!傑作だ!!何が、殺戮兵器だ!何が、神と同等だ!? 俺達(ソロモン72柱)の前じゃ、この様だッ!! ハハハハハハハッ!!」
イプシロンが勝利を確信してか、声を上げて笑っている。そして、ボクが希望が終えて地に伏する。
だが、その瞬間。ここに居る全員が、驚愕する事になった。
ルーチェを包んでいた光は、軋む様な音を立てながら、ゆっくりと、収束していくのだ!
「おいおい・・・・こんなことが・・・・」
「・・・・・・・」
イプシロンとミューも予期せぬ事態に混乱しているようだ。当然だ。あれだけ自信たっぷりだったイプシロンとミューの創った捕獲用の結界が軋み、今まさに壊れようとしているのだから。
キシキシキシ・・・・パリィィィィィン!・・・・・・
まるでガラスが割れたような音を立て、結界は崩壊した。だが、その結界の破片はまだ、宙に残ったままだ。
「・・・や、ヤベェ・・・おい!逃げるぞ!!ミューッ!!作戦は失敗だっ!! アンチマジックの効かないコイツに勝ち目はネェ!!だから、逃げ―――――――」
最後まで言い終わる前に、イプシロンは自ら作った結界の破片を体全身で浴び、ゆっくりと、だが、その所為でなんとも残酷に、なんともあっさりと、消えて行った。当然ミューも。生き残ったのはボク以外の屍は綺麗に、跡形も無く消えてしまっていた。
「・・・・嘘だろ?・・・・どうして?・・・こんな・・・こんな事がッ!!」
さっきの二人も、会長も、大和も、みんな、消えてしまった。何もかも、まるで霧が晴れてなくなったように、幻が煙みたいに消えるように。全て、全て消えてしまった。
「どうしてだッ!! どうして!? お前がここまでしなくちゃいけないんだよッ!!!? そうして、そんな簡単に人を殺せるンダッ!! ルーチェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ボクの叫びは、おそらくもう、ルーチェには届いていないのだろう。それを堂々と宣告するかのように、ルーチェはただ、虚空を見つめている。
「成瀬ッ!!」 「成るチャンッ!!」
地面に打ちひしがれていたボクの前に、岡田先輩と是沢先輩が姿を現し、走って駆けつけた。二人共体中が傷だらけできっと、戦いの影響だという事は容易に想像できた。
「おい、成瀬しっかりしろ!」
「岡田先輩・・・会長が・・・・」
言葉を躊躇う。だが、先輩はどうやらその反応だけで、事態を概ね察したのだろう。つらそうに表情を濁らせる。
「・・・・・そうか・・・・よく、頑張ったな。成瀬」
「・・・・・うぅ・・」
自分の弱さに此処まで腹が立ったのは初めてかもしれない。それが、たまらなく、歯痒い。
「是沢。お前は、成瀬を頼む。怪我を治してやれ」
「? 岡田さん・・・・・」
「その間に、俺は・・・あの、天使みたいな悪魔を、ぶった斬ってくるッ!」
そう言いながら、岡田先輩は立ち上がり、ルーチェと対峙する。岡田先輩は、まだチカラを発現させてはいない。これだと格好の的じゃないか!
「岡田先輩・・・・ッ!」
「こら、成るチャン。ここはしっかり見届けるんだ。黙って、な」
「・・・・・」
是沢先輩に宥められ、またボクは歯を噛み締め、この状況を見守る事に徹した。
エデンの鍵は、岡田を見据えたままピクリとも動かない。いや、岡田を見ているのかすら分からない。ただ、ぼんやりとしているだけだ。
『・・・・・・ラス・・・・ラステジオ・・・・』
初めて、エデンの鍵は口を開いた。
「ほう、ちゃんとしゃべれるじゃねーか。出来損ないのくせによぉ。」
『・・・・うるさ・・・・い・・・・』
「?」
『黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れェェェェェェェェェエエエエエエッ!!』
その時、何も無かったエデンの鍵の周りに、氷の尖塔がいくつも岡田に向けられ、そして放たれた。
『お前らに・・・・・我を裏切ったお前らに・・・・我を侮辱するなぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!』
氷の尖塔は、絶えず、岡田に打ち込まれる。だが――――――
「千年雪の霊雹か。オレの技、良くできてるじゃねーか。でもな――――」
岡田の姿が見えないぐらい撃ち込まれたそれを、跳ね除ける。当然、彼自身の魔力で、だ。
『ダグラス、サー・ラステジオ』
自らのチカラを開放する。だが、その時に出てきたのは大剣だけだった。
『貴様。ご自慢の『炎の鎧』はどうした?!』
「そんなもんは必要ねーよ。なぜなら」
そう言った瞬間、辺りの風はざわめき、大地は震え、このフィールドのありとあらゆるところから、光が出て、岡田の背後に集まる。
『そ・・それは、マサカッ!!!』
「ああ、そのまさかだ。とくと見るがいいッ!! 何人たりとも!! 我が軍隊止める事は叶わんッ!!!」
そう。これが、彼自身が用意していた秘策にして、彼の本当のチカラ『精霊軍隊』である。
「この空間の全ての精霊は実体を得た。さぁ、覚悟しろッ!!! お前のその羽根を、全て焼き払ってくれるッ!!!!!」
いかがでしたでしょうか?
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