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ルーチェ・エデンズ・キー 殺戮の天使

「おいおい、どうしたよっ!!? 動きに切れがねーぞ?!!」


 鎌を持った男は、その鎌を振回しながら、ボクに襲い掛かる。当然ボクは、自らの槍で応戦するも、近くにいるルーチェを守りながら、戦っているからどうしても防戦一方になってしまう。


「クッ! 『ルーンの48番、呪縛の杭を行使する!!』」


 放った杭を全弾、相手に命中した。でも――――


「だから、芸が、ねえんだよッ!!!」


 それらも、煙のように消え、鎌を振った際の風圧で、ボクは大きく飛ばされた。


「―――――――――ッ!!」


「ハハハッ! 無駄だ! 誰もこの『ソロモン・L・ロノウェ(悪魔伯爵)』の前ではなぁっ!!」


 地面に叩きつけられた僕は、ただ思考を続けていた。どんな上級魔法を叩き込んでも、すぐに煙のように消えてしまう。おそらくそれは、会長と同じ『アンチマジック』の類だろう。

 ん? そういえば、ムギンやフニンの気配が無いっ! 一体何処へ? そんな事を思っていた、その瞬間だった。


「きゃあ! はなしてっ!! 放してくださいっ!!!」


 突然の悲鳴にルーチェの方を仰ぎ見る。すると、ルーチェは斧を持った大男に掴まれ、拘束されていた。


「ルーチェッ!!」


「ほう? 必死そうだな?」


 ボクの腹を思いっきり踏み付けながら、男は言った。


「おいおい、まさかあんなのがエデンの鍵とか抜かすのかよ」


「ち・・・ちが・・・・」


「ふん、まぁどうでもいいことだ。おい、ミューッ!!」


 斧を持った男はわずかに首を動かした。そして、ルーチェの頭をわしづかみにして、天に高々と掲げる。


「な・・・何を?」


「ああ、これからいいもんを見してやるよ。テメーは黙ってみてろ。」


 気が付けば、さっきまで満月だった白い月は、もうその姿を消しつつあった。


『万物を楽園へ。無を地の底へ。』


 ミューの言葉が、たちまち月の欠ける速度を上げた。それと同時にルーチェも苦しみながら悲鳴を上げている。


「や、ヤメロッ!!!」


「うるせぇんだよッ!!」


 そして、月が全て欠けると、ルーチェの体が、強烈な光を放った。白くて、巨大な光。 その光が消える頃には、さっきまでのルーチェの姿を何処にもなかった。


 黒かった髪は白く染まり、背中には八枚の白い翼をもち、その瞳は血のように紅く濡れていた。


「あれが、殺戮の兵器。いや、殺戮の天使、か。」


 ルーチェはただ、空に上がり、獣のような咆哮を周囲に轟かせていた。

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