戦闘予行、終了
「これで、チェックメイト、だね」
ぼくの発した言葉は大和に届いたらしく、ただうな垂れながらも首を縦に振った。
『これで、終わりか、マスター』
「ああ、なんとかね」
役目を終え、さっきまで飛び立っていたカラスが戻ってきた。一応、これで、終わり。
早く帰りたいな・・・なんて考えているときだった。
「ついに、戯曲の舞台より幕がおりる。誰もが知らない結末となって」
「――――――!」
気が付いたときにはもう遅かった。背後から聞こえた声は、伴って金属の鈍いも聞こえた。
そう、大和が後ろに居たのだ!!その手に握られた拳銃をぼくの頭を捕らえて。それに気が付いて前を見ると、鎖にとらわれている大和の体は、まるで霧のように消えてしまった
「う・・・うそ・・・」
「何を驚く?ワシは『幻想道化』だぞ?自分の幻覚を作るくらい、わけない。元々、このチカラに実体など存在しないのだから」
ただ、その言葉から何がどうなのかと言うのは、理解できない。頭の中が白いインクが滲んだようだ。
「では、来世まで、ごきげんよう」
大和は、ゆっくりと指を引き金に掛け、そして――――
バンッ!!
「・・・・・・・え?」
確かに、大和は引き金を引いたはずだ。でも、なぜ、『ぼくは生きている』?
「やれやれ。戦闘の予行だと言ったのに、なに絶望しているんや」
「・・・・・あ・・・・・」
「まったく。大体、ワシがマサキを殺すわけないやろ?ただの演出や、演出」
力が抜けて、地面にへたり込んでしまった。今は、とにかく泣きそう・・・
「演出にはやり過ぎ、大和」
「是沢さん、居たんですね。いつから?」
「ついさっき。女の子達の黄色い声援や、告白やサインやらもう、大変なんだよ」
「確かに、男の自分が言うのもなんですが、かっこいいと思います」
「ハハッそんなことないさ」
「謙遜してる辺りが、自棄に腹立つわー(怒)」
「はいはい、そこ。おしゃべりしないで、成瀬君を運びなさい。放心状態じゃない。」
「そうだね、アカ姉。少しやり過ぎた。だから、少しだけのお詫びをこめて・・・」
そう言って、大和はへ垂れ込んでいるぼくの頭に手を置いた。
「せめて、いい夢でも・・・」
その言葉が聞こえたかどうか、そんなことは些細な問題でしかない。なぜなら、その頃には、ぼくはもう、夢の世界へと旅立っているのだから・・・・
次回は、成瀬君の夢の世界をご案内します。
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