道化と魔術師 TAKE2
「我、世界を繋ぐ橋を造るもの。汝、世界の根源を抱くもの・・・・」
二羽のカラス(男口調が『ムギン』、女口調が『フニン』)が考えた作戦はこうだ。
『まず、俺とフニンで奴の視界を遮るから、その間にマスターは相手の動きを封じる術式を立ててくれ』
もちろんの事ではあるが、戦闘中にこんな会話ができる訳がない。これは、ぼくの能力と言うよりは、彼らの能力で、思考と記憶がぼくと完全にリンクされている為、声を上げることなく会話を成立させている。
そして今こうして、術式を立てているわけだが・・・
「マサキは、そこかっ!!」
こうもあっさり見破られ、ナイフの雨に晒されている今となっては逃げたり、応戦したりしながら地道に術式を組んでいる。
てか、あいつ何本ナイフもってんだよ!?
『無限に出てくると思うわよ』
そこ、人の思考を呼んで回答しない!
『仕方ないでしょ、リンクしてるんだから』
ああ、そうでしたね・・・って、そんな事どうでもいいから、大和の気を逸らしてよ!
『やってるんだけど、アイツ隙だらけのようで全然隙がないのよ。なんかこう、得体の知れないものを相手にしているようで』
ああ、そうなんだ・・・
『今、ムギンがうまくかく乱させているけど、長くは持たないのが現状。だから、早めに術を組みなさい』
はいはい・・・
ここで、フニンからの会話が切れた。実質、ぼく自身、『バルシェ』のチカラを完全にマスターしたわけではない。それでも、やらなきゃいけないのだろうけど・・・
「我が、賜いし知識は他がために。汝の魔の契約が己が為であるならば、我が求めに応じよ」
術式の種を使う事もなく、自らの心の形を具現化する『バルシェ』。ぼくの場合は、何がどうなのかよく分かっていない。自分が何なのかさえも。だから、一度自分や彼らと、向き合う必要がある。もう、誰も、失いたくないから・・・
「そろそろ、終わりにしようや、マサキ」
そこで大和は右手を掲げた。それと同時に、今まで地面に刺さって、放置されていたナイフが一斉に浮かんで、ぼくに向かい、集中的に放たれた。
「それは、ぼくも同意見だよ。」
放たれた瞬間、全てのナイフはその軌道上に静止し、動かない。
『ルーンの第37番、死鬼の縛鎖を行使する』
そう、この現象はぼくが今まで組んだ術式が発動したものだ。これは、あらゆるものの力を封じ、万物を縛する鎖『死鬼の縛鎖』を召喚する魔法だ。
当然、ここでのチカラの権化である大和はその鎖に縛される。そこに、何の例外もない。
「く・・・くそぅ・・・・」
ここで、ぼくは彼に接近し、手に持った槍を彼に向け、一言
「これで、チェックメイト。だね」
大和は、ただ、鎖に身を任せ、うな垂れている居るしかなかった・・・
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