『バルシェ』考察
「う・・・・うん・・・・」
目が覚めると、いつもの生徒会室のいつもの席に腰掛けていた。確かぼくは・・・・僕自身の中にいた、もう一人のぼくと対峙して、それからその自分を受け入れて、それから――――
「あ、成瀬君。気が付いた?」
「はい・・・まだ頭が混乱してますが・・・・」
「そう、まだ当分は安静にしててね。色々、気持ちを整理したほうがいいと思うから」
「はい、それは良いんですけど・・・」
「ん?何か聞きたい事でも?」
「はい、あれは一体何だったんでしょう?」
「ああ、あのドアの中で起きたことね。あのドアの中は、成瀬君自身の受け入れる事が出来なかった『感情』が具現化した世界よ。その人にとって、抹消したい事や逃げてしまいたい事を見せる世界。そして、『バルシェ』を会得することが出来る唯一の方法よ。
元々、『バルシェ』というのは自分のなかにある真理、つまりは、個々人の根源にあるイメージを具現化する知識のこと。一般論では、『魔法』といわれがちなんだけど。
そもそも、魔法は科学と紙一重の知識なの。『主約聖書』にはこう記されてあったわ。
『科学があるから魔法は証明され、魔法があるから科学が存在できる』って。本来、この二つには大原則として『等価交換』が底面にあるわ。元素に例えると分かりやすいわね。『水素と酸素が化合して、水ができる』。この中で、『魔法』と呼ばれるのは『水素と酸素』。『科学』と呼ばれるのが、『化合し、水が出来る』ってとこ。科学では、元素がないと何も出来ないし、魔法では、魔力で別の空間から元素を取り出す事は出来るけど、それ以上の変化はできない。だから、『等価交換』が成立し、相反することになるの。
対して、バルシェは心のイメージを具現化する訳だから、無から有を生ずることと同じなの。そんなの、魔法にも科学にもできない。だから第三の知識ってわけ・・・」
長々とした会話に疲れたといわんばかりに会長は、背伸びをした。実質、会長が話してくれた事の20%ぐらいしか分からなかったけど・・・
「で、君はなんて名前なの?」
「・・・会長、アルツハイマーにはまだ早いですよ」
「そうじゃないわよっ!!失礼な!!君の魔法名よ!!魔法名!!『バルシェ』の発動の際に、自分の世界と現実を繋げるための、ま・ほ・う・め・い!!」
「ああ・・・・それなら、確か『ユグラルト・ルーン』だったと思います」
「『ユグラルト・ルーン』・・・か。和訳すると、『死戦の魔術師』ね。また厳ついものを・・・」
「・・・へぇ、そうなんだ・・・」
魔術師かぁ、ホントなんでこんなんに成るのだろう。出来ればもっとこう、やさしい感じが良かったなぁ・・・
「そういえば、大和は?」
「翔なら、とっくに帰ったわよ。ドアに入って2・3分で出てきたの。異常に早かったからビックリしちゃった。それで、少し休んで帰っちゃった」
「そうですか・・・・」
「ふふ、そういじけなくていいわよ。あの子、こういう精神的なことはとても強いの。だから、早かっただけだから」
「はぁ・・・それじゃ、そろそろ帰ります。」
「そう、明日はいつもの闘技場でビシバシ訓練するから、放課後、絶対に遅れないでよ!」
「分かりました」
そう言って、ぼくは立ち上がり、生徒会室を後にした・・・・
これからも、頑張ります




