7. 謝罪、そして真実
「国王陛下!」
私みたいなのに頭を下げる国王を見て、周りの人魚達が驚愕に叫んだ。
「ごめんなさい! 君の鱗の色は間違いなんです!」
「えっ間違い?」
思わず聞き返す私に、国王はゆっくりと顔を上げる。
「……あのね、話すと長くなるのだけれど……」
国王は丁寧に、一つずつ説明してくれた。
数年に一度の異界人が落ちる際、鱗の色を決めるのは実はドン・ギョ国王の奥さん、王妃らしい。
その王妃は特殊な力を持ち、落ちてくる異界人を選別し的確な色の鱗を付けて人魚としてカンシーラ王国に送るんだって。
体を魚に変化させるのは、この水域で生きていくために必要不可欠の処置ということ。でも皆元は人間だから、人間と魚の間……人魚として落とすみたい。
異界人が落ちるのは、神様の采配だからどうにも出来ないけど、選別だけは代々王妃が行えるらしい。
そして今回私が落ちる際色を選ぼうとした時、ハプニングが起きたのだ。
なんと、国王との間に生まれた赤ちゃんが王妃の腕の中からにょきりと手を伸ばして違う色を選択してしまい、結果私の鱗を黒にしてしまったそうな。
そうして罪人と同じ黒になった私は、先例に則ってこの地に落とされた、という事だった。
「……最初から最後まで漫画みたい」
説明を聞いて、漸く出た第一声はこれだった。
だって、此処に来て最初からずっとこんな感じじゃない。
登場人物だって既存感ありまくりだし。
やっぱり誰か夢だと言って!
そして目覚めさせて私を!
なんともいえない顔でぼっ立っている私だが、国王は話を続ける。
「いやー本当に僕も王妃から聞いて焦っちゃって! すぐにチヅル姫の元へ行きたかったんだけど、王妃共々隣国との会合が長引いちゃってね。チヅル姫、本当に申し訳ない。王妃が今横の部屋で準備しているから、出来次第チヅル姫を本来の鱗の色に戻すよ!」
「王妃のキギョンと申します。本当に、この度は取り返しのつかないことをしてしまって……」
「あの、チヅルでいいですよ。もう姫って歳でもないし……」
どんだけ姫連呼するんだよ国王よ。
それに私はそんなうら若き乙女ではないぞ。
それよりも、もっと大事な事があるの。
「あの、私ってもう元の世界だと死んだ事になっているのですか……?」
恐る恐る、私は聞いた。
国王は俯く。
「……うん、チヅル姫……チヅル様」
様もいらないけど。
「元の世界だと、過労で浴室にて溺死って事になってしまっているんだ。仮にまだ息があったとしても、此処から元の世界に戻った者はいないんだ」
「そんな……本当に……」
申し訳なさそうに話す国王だが、私の心は未だかつてないほどどん底に突き落とされた。




