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6. ここにきて急展開!

 


「言葉を慎め! これは国王陛下のご命令だぞ」


 マクザを一喝するギース隊長。イケオジ、キレてもイケオジのままだな……怖いけど。


 マクザは慌てた様子で鍵を開ける。

 呆然と立っている私に、ギース隊長は上背のある身体を屈めて目線を同じにしてくれ、そっと手を伸ばして鎖を取り去った。


「ご同行願います、異界のお方」


 彼は最初から冷たいわけではなかったが、今の対応の変化に私は戸惑った。

 え、なんでこんな仰々しいの? 

 ……私もう殺されるとか?


 私の思う事が表情で伝わったのか、隊長は穏やかな笑みを浮かべて首を振った。


「貴女様の身の安全は保証します。国王陛下がお待ちです、どうか私と来ていただけませんか?」

「は、はぁ……」


 目を見開いてこちらを見るマクザを通り過ぎて、私は隊長とともに階段を上っていった。


 階段を上ると、最初にこの地に落とされた場所とは違う、明らかに格式ある城のような建物に案内された。

 西洋の城というより、どちらかといえば沖縄の首〇城のような赤い建物の中に入ると、そこは長い廊下が印象的な、古風な内装だった。

 その廊下を進む際、槍で突かれた所がチクチク痛むが、急いでいるようなギース隊長の態度に私は何も言わずそのまま進んだ。


 尚後ろにつくマクザの表情が暗いので、その辺も考慮してあげた。


 昔の武将達が会議をするような広い和室に入ると、そこには少し、いやかなり見慣れた人物がいた。



「あっ! 待っていたよー! いやーごめんね遅くなっちゃって! 隣国に呼ばれていたから時間がかかっちゃってさー!」



 チョコチョコチョコ! 

 まるで子供が駆け寄るように小さな歩幅で近づいてきた人物は、日本に住んでいた私にはめちゃくちゃ……本当にめちゃくちゃ見慣れたキャラクターだった。


 だって、この二頭身の身体に澄んだ水のような綺麗な水色の鱗、真ん丸な目とアヒルのような口は、どう見ても……。


「……ハ◯ギョドン……?」


 サン◯オに出てくる、半魚人のキャラクター。息子が幼い頃幼稚園でハンカチ持っている子いたな。私も子供の頃持っていたけれど。

 それが今、金の刺繍が入った煌びやかな白いマントを羽織って目の前にいる。しかも、バイキ◯マンでお馴染みの声優の声で喋っている。

 え、何この国。

 ひとりひとりのキャラ濃くない?


 マクザと話した時よりももっと呆然となる私に、ハ〇ギョドンは「あれ、僕の名前聞いたの? 惜しい、僕はドン・ギョ国王だよ! 宜しくね!」とにこやかに短い手を差し出した。

 ちなみに、横にタコのサ◯リちゃんはいなかった。

 そのかわり、隣に同じ白色と刺繍が施されたドレスを身にまとった金魚のように尾が赤く、しかし鱗全体は桜色という色のコントラストが美しい鱗をした女性っぽい人魚がいた。

 こちらもハンギョ〇ンによく似たかわいらしい人魚だった。もしかして、キ〇ギョちゃん?


「そう言えば名前聞いてなかったね! 何と言うんだい?」

「あ、すみません、斎藤ちづるといいます。斎藤が性で、ちづるが名前になります」


 おずおずと手を差し出すとドン・ギョ国王は私の手握ろうとしたが手首の傷を見て「あれ、怪我してるじゃない!」と言って手首を優しく握った。

 そして手を離すと、傷は嘘のように消えていて。


「わっ凄い!」

「オイ、国王陛下の前であるぞ!」

「マクザ、発言するな!」


 ギース隊長が再び一喝する。


 でも声出しちゃうの少しわかる。

 この国王陛下……発言めちゃくちゃ軽くない? 

 なんか国王陛下というより、近所に住む気の良いおじさんみたいな感じ。

 それにこのフォルム。

 子供の頃から見過ぎていて親しみあるしなんならぬいぐるみにやるようにもふもふしたいし、威厳とか限りなくゼロに近いよ。


 ……この人が国王陛下で、この国は大丈夫なのだろうか……。


 私は色々疑問に思うも、傷を治してくれた事は嬉しかったので「ありがとうございます」と御礼を言った。


「というか、君の力があれば治癒なんて一瞬で出来るよ?」

「え、どういう意味ですか?」

「その説明もあるけど、とりあえず……」


 ドン・ギョ国王は、ギース隊長とマクザ、サラシをくれたふたりの人魚などあの場所にいた者がいる中で、ガバッと勢いよく頭を下げた。







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