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夢恋路 ~動乱編~7(修正あり)

【おリョウ】

毛利様と言うお殿様から晋作に出た処分は「とっとと帰ってこい!!」だって。

笑っちゃったわ。

まるで家出少年じゃないの。

お殿様も晋作には手を焼いているのね、わかるわ。

よく聞いたら脱藩騒動はこれで何度目かわからないそうで、そりゃまたかって言いたくなるわね。

私は江戸で年を越すことになり年明けに小五郎や晋作と共に京へ上る事に決まった。晋作はそのまま長州へ向かう事になるから、京でお別れね。私のお座敷には来てくれるかしら?

江戸にいる間、女将さんと小五郎に頼んで私が帰って来ている事は一切隠してあったから、宗次郎や平助とは会う事はなかった。

会いたかったけれど、もう二度と、会う事は許されないから。

女将さんの話じゃあの後三回ほど顔を出しに来たらしく、元気であると言う事だけは知る事が出来た。

あの子達はいつ京に上るんだろう・・・

いつ、私達と再び会うんだろう・・・

恐ろしすぎて、考えたくもない現実だった。

私達は年末に江戸を離れ、年をまたいで京へと入った。



【桂小五郎】

「桂様遅い!!!!」

「はいっ!!!!!」

姉さんを置屋に連れて行った途端女将に怒鳴られた・・・

「早う帰って来る言うてましたやんか!年もまたいでしもうて!」

「すみません・・・」

横でくすくすと笑う姉さん。

「じゃ、今晩は桂様に囲っていただきましょ。お友達も呼んでもらって。ねっ、桂様?」

「はい・・・」

「晋作も連れて来て?口裏合わせのためにも共犯になってもらわないとね。」

姉さんの切り返しはさすがだよ・・・こうなったら晋作にお代は持ってもらおう!!

姉さんのお座敷代って高いんだから!!!

その夜。

晋作を連れて吉田屋さんに行き姉さんを呼ぶ。

もちろん晋作は知らないから、僕が幾松と言う芸妓を贔屓にしていると知ってすごい顔をした。

しかもその場に姉さんがいない事に妙に狼狽えている。

「小五郎さん、これまずいって・・・」

「何が?」

「いくら小五郎さんでも、芸妓さんの旦那さんだなんて・・・おリョウさん怒るよ!?」

まぁ、そうだろうね。

それ以前に僕がそんなことするわけないじゃん?

もちろん晋作もそう思っているからこそ落ち着かないんだ。

落ち着いて座れない晋作、笑いそうなのを堪える事もそろそろ限界になったその時声がかかった。

「失礼いたします。」

戸が開いて幾松さんが現れる・・・うん、やっぱり美しい。

晋作はと言うと・・・やっぱり見とれてる。そうだろうね、だって群を抜いて美しいもん。

踊る幾松さんは時折視線をこっちに投げる、その視線は明らかに十代の芸妓さんの使う物ではなく、色目かしい。

一通り舞い終えて、幾松さんは僕達の前に座って頭を下げた。

「お久しゅう、桂様。年の瀬はどこにいてはりましたん?」

「お久しぶりです、少々江戸に野暮用がありました。相変わらずお美しいですね。」

「いつもいつも、お口が達者どすなぁ。」

にっこり笑う幾松さんに、晋作は呆然としている。

「桂様?お連れ様をご紹介いただけますやろか。」

幾松さんが目を細めて笑う。

うん、わざとらしいね。

「こちらは長州藩士高杉晋作殿です。」

「お初にお目にかかります、幾松どす。」

姉さんはそう言って晋作に頭を下げて、微笑んだ。

すると突然晋作が身を正し大きな声を上げた。

「高杉晋作と申す!幾松殿!」

「はい。」

晋作は立ち上がり幾松さんの・・・もとい、姉さんの手を取った!

「幾松殿!自分は幾松殿に惚れました!」

・・・・えぇぇぇぇぇ!?

「自分と一緒に長州に行かぬか!?」

「ちょっと!晋作!?」

それはまずいでしょ!!

「あら、うれしい。」

「幾松さん!!」

姉さんはくすくすと笑って僕を見る。

「小五郎さんにはおリョウさんと言う決まった人がいます!だから自分と一緒に来ませんか!?」

「晋作!!」

「せやけど高杉様?高杉様はご結婚されてはりますよね?うちは妾は嫌どすぇ。」

「・・・・・ん?どうして知ってるの?小五郎さん言ったの?」

僕と姉さんはくすくす笑う。

「僕は言ってないよ?ねぇ、幾松さん。」

「えぇ、高杉様が以前ご自身でおっしゃりました。」

晋作がぽかんとしている。

「すみません、おさちさんおリンさん、お姉さんも、席を外していただけませんか?」

僕の言葉に舞妓さん達は頭を下げて部屋を出て行く。

三人にとってはいつもの事だから慣れた様子で笑いながら出て行った。

僕達は三人で、ちょっと妙な空気が流れる中向かい合っていた。

「やっぱりわからないもんなんだね。」

「その様どすなぁ、」

僕達の会話に付いて行けない晋作、僕と姉さんは笑ってしまう。

「時に、幾松さん?」

「なんでっしゃろ。」

「あなたの踊りは本当にお美しいのですが、十代の芸妓さんはあんなに艶めかしい視線を使ったりしませんよ?」

「あら、そうどすか?」

「えぇ、あなたの目の流し方はとても大人っぽいものです。そのような目を僕以外の他のお客様には使わないでくださいね?」

「ややわぁ、そうどしたの?わかり申した、お約束いたします。」

「・・・・えっ、まさか!」

晋作のハッとした顔、そして急に顔を赤くした。

「幾松さん、気が付いたみたいですよ?」

くすくす笑う幾松さん、

「伊藤様よりは幾分、お早いどすなぁ。」

「うそぉ!!!!」

もう笑った笑った、やっぱりこの遊びは面白い!

「桂様、うちはいったいどちらの殿方に旦那はんになっていただいたらええやろか?」

「そうだねぇ。どうする晋作?僕とこの場で勝負する?」

「絶対にやんない!!!!」

立ち上がったまま部屋の隅で発狂する晋作を見て、僕と姉さんはいよいよ笑いが止まらなくなった。

翌日、晋作は京を離れた。

あぁぁ、毛利様が寛大でありますように・・・って、寛大すぎるから今に至るんだけど。

晋作が落ち着きますように・・・



【おリョウ】

それから幾日かしたある日、いつもの様に小五郎がやって来た。

「幾松さん、以前ご紹介した高杉と言う男を覚えてますか?」

「えぇ、うちに求婚してくださったお侍さんですやろ?」

晋作・・・何した。

「どうやら、高杉は十年間の暇を取ったらしいですよ・・・」

唖然としたのは一瞬で、その後は腹を抱えて笑った。

芸妓がこんなはしたない事絶対しちゃいけない、でも小五郎と会うときは二人きりだから許される・・・かな?

「しかも髪も剃り落して東行なんて名乗りだしたようなんです・・・。」

   きゃははははははははは!

ひぃぃぃ、やめてやめて!

「幾松さん・・・笑い過ぎですよ・・・」

だめ、死ぬ、やばい!!!

何て奴だ晋作は!

確かに休みもらっちゃえって言ったけど、十年って何!?

さすがは晋作!

やる事が半端ない!!

だめだ、帯がキツイ、苦しい!!

「もぉ・・・藩は大騒ぎなんですよ?」

「さすがどすなぁ、高杉様は。大きな男やわぁ。」

「もぉ・・・・・全くだよ。」

そう言って小五郎も吹き出す様に笑った。



【宗次郎】

京に着いてしばらくはみんなで楽しくやっていたんだ。

近藤さんや土方さんといろんなところに行って、毎日楽しかった。出歩けばどこかでおリョウさんや小五郎さんに会えるかもしれないし、情報が得られるかもしれない。

みんなが話す幕府とか朝廷とか政治だとか、そんなのは良くわからないけど、わかったのは幕府が終わると僕達は侍にはなれなくて、試衛館のみんなの夢が叶わなくなってしまうと言う事。

それは、ダメだ。

じゃぁ、幕府を終わらせるのは悪い事なの?

じゃぁ、幕府を終わらせようとする人はきっと悪い人なんだ!

夏の暑い日、僕達は集められて、近藤さんの話を聞いた。

「この度、我々浪士組に対し幕府より正式に命が下った。会津藩松平肥後守御預りとなり、我々はこの京の市中見回りを隊務とする。」

ん?

どういう事かな・・・?

市中見回りって事は、奉行所みたいな感じなの?

みんながざわついて、喜んでいるけど、みんなはわかってるのかな?

「ねぇ、平助君・・・どういう事?」

僕は横の平助君の袖を引っ張って聞いてみると、平助君がすっごい顔して僕を見た。

・・・ん?

平助君もわかってるのかな?

「宗次・・・お前わからないの!?」

「うん、何の事?」

「だってこの前の夕刻、話があったじゃん!」

この前の夕刻・・・?

「・・・お前、またいなかったんだろ。」

それも、わからないなぁ・・・

だって、話し合いとかって、暇じゃん。

「我々は壬生浪士組と名乗る。」

近藤さんが何だかずっと話しているけれど・・・とりあえず、壬生って付いている事は、京に腰を据えるって事なのかな?僕にとってはどっちでも良くって、みんなと一緒にいられて楽しければそれで構わない。

京には小五郎さんやおリョウさんもいるはずだし!

でも、おリョウさんどこにいるんだろう・・・?

なんで連絡くれないのかなぁ・・・

どこにいるんだよ、おリョウさん・・・



【おリョウ】

忘れる事が出来ない出来事は多々あるけれど、これはこの先の火付けとして忘れる事は出来ない。

文久3年8月18日・・・

長州が京から追い出され、小五郎が行方不明になった。

何が起こったか、正式には知らないけれど、長州藩士ご贔屓だった吉田屋および私たち芸妓はその情勢に愕然としていた。毎日毎日小五郎の安否だけを気にかけてお座敷に上がり、何か情報がないかとただ待った。

歴史上無事であることは、わかっている。

でも、何かのズレで・・・まさかの事は起こっていないだろうか。



【桂小五郎】

やられた・・・・・・そう思わざるを得なかった。

過激な攘夷思想がもたらした結果だ。天誅組の動きが過激すぎたんだ・・・

薩摩と会津が相手か、これはそうそう簡単に収まる話ではない。完全に京から締め出されてはもはや討幕活動など出来るわけもない。

交戦しようといきり立つ藩士たちを必死でなだめ、僕達は一度京を離れ長州へと向かうことを決めた。

気がかりなのは姉さんの事だけ、姉さんは無事だろうか・・・

僕たち長州が贔屓にしていた事で何か害はないだろうか・・・

何も言えずに京を離れて、心配しないだろうか・・・

小間使いの子を送るべきかどうするべきか・・・

こんな時、姉さんや晋作ならどうする・・・・・

う~ん・・・・・。

「・・・まっ、絶対入るよね。」



【宗次郎】

「宗次、ちょっといいか。」

ん?

近藤さんだ。

廊下を歩いている僕を近藤さんが背後から呼んだ。

「何ですか、近藤さん。」

「ちょっと部屋へ、話がある。」

僕何もしてないよ?

僕は部屋に呼ばれて、近藤さんと向かい合って正座した。

何だろう?

近藤さんは黙って座って・・・何だろう?

「今から話す事は他言しないでもらいたい、約束できるな。」

「はい・・・・?」

何だろう、今更内密な事って。

「先の十八日の変の事、覚えているな?」

って、あれでしょ?

薩摩なんかと長州を京から追い出したやつだよね、礼金もらったやつ。

「長州が何をしようとしているか、お前でもわかるな?」

「はい、そのくらいはわかりますよ。」

討幕でしょ?

長州藩は悪い人なんだよね・・・・・あれ、そー言えばおリョウさんと小五郎さんも長州じゃなかったっけ?

・・・ん?

「では、我々が行うべき事はわかるな?」

「はい、京の治安を守るんですよね。そのために悪人を退治をするんですよね。」

奉行所みたいなもんなんでしょ?

平助君がそう言ってた。

「あぁ、そうだ。」

それが、どうしたんだろう?

「近いうちに討ち入りがある、それにお前も加わってもらう。」

討ち入りって・・・誰かを斬るの?

なんか近藤さんの言ってること、四方八方に話が飛びすぎでよくわからないんだけど・・・?

「まだ細かくは言えんが、心得ていて欲しい。」

「それは、誰かを斬ると言う事ですよね?」

「あぁ、そうなるだろう。」

誰かを斬る・・・そうなんだ、そんな事もするんだ。

相手はどんな悪い人なんだろう?

その人、剣は立つのかな?

でも誰が相手でも僕は負けたりしないけどね。

「それともう一人、近いうちに正式に捕縛の命が下りる人物がいる。」

「捕縛って事は、捕まえるんですよね?」

「あぁ、今のところはそうだ。」

今のところって何だろう?

もぉ!本当によくわからない!

「捕縛するのは長州藩士の一人だ。」

ん?

長州藩士ってまだ京にいるの?

それは悪い奴じゃん!んじゃ捕まえないとね!

「その人物の名は、桂小五郎と言う。」

「どなたですか?」

誰だろう、小五郎さんと同じ名前だ。

「練兵館の桂小五郎という名をお前も知っておろう。」

あーっ、知ってる知ってる!

「近藤さんが動けなかったって人ですよね!僕それ見てないですけど。」

・・・あれ、近藤さんの眉間にしわが寄った。

僕何か変な事言った?

「上段の構えをするんですよねその桂さんって人、すごい気迫だったって聞きましたよ。」

「あぁ、そうだ。」

上段の構えで隙がないなんて、いったいどれだけの腕なんだろう。きっと土方さんみたいに荒々しい人なんだろうなぁ、一度手合せしたいなぁ。

そんなわくわくしていた僕を、近藤さんは何故か悲しげな目で見ている。

「心当たりはないか?」

心当たり・・・?

「いいえ?」

だって僕、その他稽古の時いなかったもん。

「桂小五郎と言う男は、お前のよく知る、小五郎と言う優男だ。」

・・・・・・ん?

近藤さん、何言ってるの・・・?

僕は近藤さんの言っている事がよくわからなくって、首を傾げて近藤さんをじっと見つめてしまった。

僕のよく知っている小五郎さんって・・・おリョウさんの小五郎さん・・・?

いつも優しくて、いつも笑っていて、いっつもおリョウさんに怒られている・・・あの小五郎さん?

ねぇ近藤さん、言っている意味が、本当に本当によくわからないよ?

「お前と平助が江戸川屋でよく会っていた優男が、長州藩士桂小五郎だ。奴は長州藩で討幕の中核を担っている最重要人物、奴を捕えなければ長州を抑える事は出来ない。」

そうだったんだ・・・

小五郎さんって、そんな人だったんだ・・・

ちょっとよくわからなくってぼーっとしている僕に、近藤さんは話しを続ける。

「桂小五郎は長州の頭脳だ、さっきも言ったが奴がいる限り討幕派を潰す事は出来ない。だからこそ奴を拿捕しなければならない。」

そう、なんだ・・・

「それに伴い、場合によってはその恋仲であるおリョウを拿捕しなければならなくなるかもしれない。」

おリョウさんを、拿捕・・・・・?

「お前にそれが受け入れられるか?」

今までの事が頭の中でぐるぐるしていて、片付かない。

「・・・小五郎さんは、悪い人なんですか・・・?」

教えてください、近藤さん・・・

「我々とは志が違う、描く世の形も違う、我々が幕府に仕え今の世を守ると言うお役目を仰せ使っている以上、その幕府を倒そうとする者は我らが敵であり幕府の敵であり排除の対象となる。」

排除の対象・・・あの小五郎さんが・・・?

「幕府がなくなれば我らが悲願でもある侍の世は終わる、そうなればここに集う剣に命をかける者達の時代は終わる。」

「それは、みんなが悲しむって事・・・?」

「あぁそうだ、わしや土方を含めここに集う者達は皆侍になることを夢見て剣術に精進している、侍になる事こそ我らが志だ。」

みんなの志・・・近藤さんや土方さんの夢・・・

「お前はわしらに付いて来れるか?」

近藤さんや土方さんや、山南さんや平助君やみんなが一緒じゃなきゃ、僕はどうしたらいいんだろう?

武士じゃなかったら?

剣を握れなかったら・・・僕はどうしたらいい?

剣を握るのは大好きだ、みんなと一緒に道場にいる事が好き・・・

でも、おリョウさんも・・・・・・

おリョウさんを斬るのだけは・・・絶対に嫌だ・・・

「ねぇ、近藤さん・・・・・」

「なんだ、」

「小五郎さんを、桂小五郎を捕まえられたら、おリョウさんを捕まえなくてもいいの?」

小五郎さんを捕まえるためにおリョウさんを捕まえるんだったら、小五郎さんを捕まえればおリョウさんを捕まえなくていいんだよね?

「・・・あぁ、そうなるな・・・」

近藤さんはまた悲しそうな顔をしてそう言った。



【近藤勇】

なんて事だ・・・

そう、思ってしまった。

宗次郎がここまで哀れだとは、思ってもみなかった。

少なからず、今日の日から数日程度は悲しみにふけると思ってた。

「小五郎さんは武士だから、きっとわかってくれるよね!」

こいつは、おリョウを守るために、桂殿の首を差し出すと笑顔で言っている。それはまるで虫を捕える程度の様だ。

「だって小五郎さんは悪い人なんですよね、それならきっとおリョウさんもわかってくれるよね!」

ここまでだとは、思っていなかった。

あの二人はわかっていたのだろうか・・・だからこそ、あんなにも宗次郎の事を大切にしたのだろうか。

これは、こいつに剣を握らせることは正しいのかとさえ思えてしまう。

きっとこいつは、何のためらいもなく笑って人を斬り殺す。

苦しむ人間を見て笑っていられる。

意に反すれば仲間すら斬るのだろう・・・

宗次郎の剣の腕は例えようがないほどに突出している、これから先を思えば宗次郎は何があっても手元に置いておきたい・・・しかし、それは、この男に剣を持たせると言う事は、人として許される行為だろうか。

「宗次、再び言うが今の事は内密だ、まだ誰にも言うな。」

「はい!わかりました。」

元気よくそう言う宗次は、哀れにしか見えない。

「ねぇ、近藤さん!」

「なんだ。」

「もし、捕まえる時に小五郎さんが剣を抜いたら僕も剣を抜いてもいいの?」

この瞳は、剣を交えたいと言っている。

「あぁ、その時は、構わない。」

「やったー、小五郎さんと真剣勝負できるんですね!どんな腕なんだろう!」

哀れだ・・・その結果が何をもたらすのか、宗次郎には考えもつかないのだろう。

平助は、どう反応するだろうか・・・

それから数刻して平助がわしの所に飛び込んできて、宗次郎から全部聞いたと訴えてきた・・・

やっぱりか・・・

そんな気は、していたが・・・・・早すぎるだろ!!

平助は若干取り乱したような様子で説明を求めてきた。

すべてを聞いた後の平助は想像通り落胆の様子を見せたが、大人しく理解をしたようだ。

「小五郎さんと袂を分かつことは、正直受け入れがたい事です。でも、俺は近藤さんや土方さんに付いて行きます。」

正座して、膝に置かれた拳は強く握られていて、覚悟ある様子が受け取れた。

これが正常な反応だろう、やはり宗次郎はまともではないのかもしれない。

平助は賢い方だ、きっと何かを感じている。今は若く勢いもあるが、後々事情を目にした後どのように心が動くのか・・・こいつの豊かな感受性はもろ刃の剣だ。

平助には責任を与えて置くのがいいかもしれないな。

人一倍仲間思いで慕われている奴だ、部下を持たせて責任を与えて置けば投げ捨てる様な奴じゃない。

宗次郎に追い回されているおかげか剣の腕はとてもいい、雑さがなくなり動きも速く、何より度胸が付いた。

ある時から急に変わったが・・・桂様のおかげかもしれんな。


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