発覚イベント遅くね?
俺は学校の中庭を歩いている。校舎のすぐ近くには寮があり、その近くにはコンビニがある。
先ほど「学校内のコンビニに寄る」と言って華とは別れた。
買ったのは、おにぎり、プロテイン、そしてお菓子だ。
プロテインを買ったのは、よく見る配信者が前回のライブ配信の冒頭で、
『やあみんな、タンパク質取ってるかい? 俺の中では1にプロテイン! 2にプロテイン! 3にプロテイン!……』
と18分間も尺稼ぎしていたのを思い出して、ふと買ってしまったのだ。(軽く炎上していた)
昨日ではなく今日コンビニに入ったのは、腕時計の中にお金が電子表示されていたからだ。残りは2万円ほどだ。
お菓子は複数人で食べる用だ。今日、おそらく同じ部屋の女子と話すことになるだろうから、少しくらいはお菓子でも食べながら話したいと思ったからだ。
ほら、女子ってお菓子好きだろ? ……いや、偏見か。やめとこう。
俺は部屋の前についた。扉に手をかける。
いや、まずは鍵を開けないと......そう思い、手をかけたまま片手をポケットに入れようとすると、
ガチャ……。
どうやら開いていたらしい。閉め忘れたか?
いや、普通に考えたら同室の女子だろう。まったく、俺以外の奴が開けたらどうするんだ。まぁ学校だし何も起こらんか。
……よし、覚悟を決めるぞ。気まずい感じになりませんように!
俺は目を瞑り、勢いよく扉を開けて飛び出した!
「ハロー、ガール! シャル・ウィ・ダンス!?」
うん、ミスった。
「えっ! きゃあ!」
きゃあ? ……俺が目を開けると、そこには体操着に着替える途中の女子がいた。サラシを巻いていて胸部は隠されているが、引き締まったお腹が見える。
女子はバッと慌てて服を着直した。そしてそこでやっと、俺とその女子は互いに気づいた。
「え、貴方なの?」
「マジかよ、お前かよ」
俺の同室の女子は華だった。どうやら「新しい友達を作る」という計画は失敗だったらしい。
「まあ気まずくなくていいか」
「私の裸を見といて『気まずくない』とか、貴方相当すごいわね」
「裸っつってもほぼ見えてないしな。下着……というか変な布くらいだ」
「……そう。まあいいわ!シャル・ウィ・ダンス?」
「はっはっは! 黙れ」
中学生のような返答をしてしまったな。
「そういえば貴方って、シャル・ウィ・ダンスの意味知ってて言ってるの?」
俺はポリポリと顎の鱗をさすりながら、
「あんまわかってない」
華は少し顔を歪めてから、
「そう、割とこれからが心配だわ!」
「まぁ大丈夫だろ。……急に少し不安になってきたが」
そう、俺には『受験時……』(長すぎて忘れたが)があるから多分大丈夫だ! 多分……。
「で、なんで体操着に着替えてたんだ?」
「このあとお風呂に入ろうと思ったのよ」
「なぜ風呂場で着替えないんだ!」
「荷物増やしたくなくて……誰も来ないと思ったし……」
気持ちはわかるわー。
「そっか、風呂入ってきな。汚いし」
「そんなことないし!」
と言って華は、自分の体の匂いを気にしながら玄関から出て行った。
俺はテーブルを見てニヤリと笑みを浮かべた。鍵を置いていっていたのだ。
俺は手早く風呂を済ませて部屋に戻り、鍵をかけて華を待つことにした。
……そして、俺は首に強い衝撃を感じて目を覚ました。
「ゴホッ、ゴホッ!」
どうやら寝てしまったらしい。
「ただの手刀よ! 昨日はよくもやってくれたわね! 偶然通りすがりの同じクラスの人が助けてくれたから良かったものの……ほら、さっさと着替えて学校行くわよ!」
「あと5分……わかった、起きるからその高い声で叫ばないでくれ」
俺たちは学校に向かった。
1〜4限の間、俺はひたすら眠っていた。また大切なことを聞き逃しそうだが、そんなことを恐れていたら眠ることなんて到底できない。
昼休みに食堂へ行くと、華を見つけた。声をかけようとする。しかし、華の横には別の女子がいた。俺の足は止まる。
なんだか話しかけづらい雰囲気だったのだ。だから俺は聞き耳を立ててみることにした。
「華ちゃんって進君と同じ部屋なんでしょ〜?」
「えぇ、そうなのよ!」
「やっぱ好きなの〜?」
「違うってば! その考えに至るまでが速すぎるよ。……まあ、裸は見られたけど」
「えぇー! うそでしょー!?進君、絶対華ちゃんのこと好きだって!!」
「いや違うな」
俺はつい声をかけてしまった。
華が一瞬びっくりし、隣の女子は「わー」とでも言うように口を開けてとても驚いている。
「進、紹介するわ! この子は横道麗華ちゃん。昨日、私が貴方に締め出された時に助けてくれた子よ!」
横道麗華は胸の前で小さくピースをしてアピールしてくる。なんか、女子って感じだ。華とは違う。......華は女子じゃないのかもしれない。
「こんにちわー、進君だよね。さっきの会話、もしかして聞かれちゃってた?」
照れながら顔を伏せて声をかけてくる。
「もちろん聞いてたが……横道麗華さん? は、華の友達なのか。……じゃあ俺と友達になってくれませんか!?」
「え? いいよー!! 私も進君と友達になりたいって思ってたんだー! あと、麗華でいいよ?」
俺はここまでで違和感を覚えた。華と全然違うな。なんていうか……優しい。いい奴そうだ。
俺は華と見比べてみる。
華と比べて胸もあり、体全体が柔らかそうだ。茶色の髪がスラリと流れている。
華は胸もほぼ無いし、体つきもどちらかと言えば少し固そうだ。男を表すような体をしている中で、オレンジ色の髪が首の上あたりで柔らかく流れている。
俺の髪とは全然違うなと眺めていると、華がこちらに目を向けてきた。
咄嗟に視線を麗華へ逸らした。麗華は顔を少し赤くして、胸のあたりに手を置いている。
「……そういえば、進君って序列幾つなの? 私は……えへへ、進君に言うのは恥ずかしくて気が引けるけど……65位、かな」
「おし、決闘だ。このやろ!」
全く、俺の特待設定はどこへ行ったのか。同じクラスの奴に順位で負けているのは流石におかしい。
「えっ、ええっ!? 急すぎない!?」
「……貴方、この子に順位で負けてたりする?」
「い、いやー? ただ急に女を殴りたくなっただけだ」
「進君!?」
「はぁ!?」
2人の声が重なる。華が呆れたように溜め息をついたことで、麗華も冗談だと気付いたようだ。
「まぁーわかったよ! 進君の胸、お借りしちゃおっかな!」
胸を借りるってどう言う意味だ?
俺たちは飯の後に決闘場に向かうことにした。
決闘場に向かう途中、麗華は声をかけてきた。
「進君って華ちゃんのこと好き?」
「ん?あぁ好きだぞ?」
「そうじゃなくってー!恋愛的にだよ!!」
「別にそういう感情はないな」
麗華は恋バナしか興味がないのか、そう言う話ばかりしている気がする。
「えー、私は進君のこと好きだけどなー」
「それはどっちの意味だ?」
「えーどっちだと思う?......友達としてだよ!」
小悪魔ムーブをしようとしたが恥ずかしくなったのだろう、顔を真っ赤にしながらすぐに弁明してきた。
「......まあいいや、話も済んだし、手ぇ握って?」
上目遣いでこちらの顔を見てくるが、俺は少し目線を外した。
「ん?あぁ(なんでだ?)」
俺が麗華の手を握ると柔らかいさと暖かさを鱗越しに感じた。
...瞬間
俺が瞬きすると、そこは闘技場だった。
「お前の能力か?」
「うん!」
最初からしろよと思ったが言わないことにした。
しかし、テレポート能力だけで俺より順位が高くなるのだろうか、しかし、テレポート能力だけで俺より順位が高くなるのだろうか。
まぁ、俺の順位に関しては『スカウターの故障だ。新型のスカウターを使わないからこうなるんだ』みたいな原因で低く出てしまっていることが大確定している……気がする。
だけど、あのテレポート能力にはおそらく裏がある。
多分『模倣系』だ。
たとえば、俺が「蛇の力」を扱う能力だとしよう。そうなるとサーモグラフィーや毒生成など、複数の技を同時に扱えるようになる。ただ、これは何か明確なモチーフがあるのが前提の話だ。
テレポートする生物ってなんだ……?
いや、モチーフは現実の生き物じゃなくてもいいはずだ。
テレポートできて、空も飛べる……まさか、カー◯ィのワープスターか?
そんなことを考えてる間に戦いは始まってしまった。




