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『悪夢』

「何で、何で死ねないのよ!」

「死にたいのに、力が入らない」

「もう嫌よ。あんな夢、見たくない……」

女は泣き崩れた。

あいつから目を背けたまま、自分だけ逃げることは許さない。


「彼女が差し伸べた手を振り払った私に、生きる資格などない」

「夢を見るたびに、己の愚かさが憎い」

「……なのに、死ぬのが怖い」

男は首筋からナイフを離し、床に落とした。


「ごめんなさい」

母親にもう夜は来ない。


あいつの声が届く場所にいた者すべてに、夢を見せた。

自分の罪を理解した者もいた。

自分だけを哀れみ続ける者もいた。

どれもこれも、つまらない。

少しは気が晴れるかと思ったが、見れば見るほど不愉快で仕方がない。


俺は何もないあいつの部屋で、静かに目を閉じた。

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