表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役転生。転生したら裏切り役キャラになっていたDLC  作者: 綿木絹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/71

ヒロインたちのピロートーク

 レイは決意した。

 裏切る運命にあると話すことを決意した。


「そこから先、俺は敵に回る」

「…え?なんで敵に回るの?」

「ミッドバレーでも言われてたろう。銀髪のやつはヤバいって」


 時間もないから全員の前でカミングアウトした。

 一回、カミングアウトしてるから、カミングアウトしたと脳が勝手に処理していた。


「裏切る人間が裏切るって言うかしら」

「裏切るって伝えておかないと、今後の話を纏めて話せないだろ。ほら、俺は予言できるし」

「予言って言われたって、その後意識したことないんだけど」

「アルフレドには目的があったからだよ」


 そして自分でもビックリするくらい伝わらない。

 アルフレドの顔は間違いなく曇っている。


「目的って魔王を倒すこと…だよね。今もある…けど。前に話し合ったあれでしょ?」


 でも、それは単なる困惑。

 不安を孕んではいない。


「そうだ。デスモンドでキラリ。ヴァイス砦で魔物の女の子アイザ、エクレアの街の北東でリディア姫が仲間になる。その後、魔王城に行って、魔王を倒す。その前に四天王の二人と戦う。そういう流れが、ムービーを追えば分かる」

「ムービーっていうのは」

「それはなかなか難しい説明になるが、先ず」

「定められた道。私たちの本質が息吹くあの時間ですね?」

「え…。そういう見方も出来る…か」

「レイ、あのね——」


 DLC以前では闇落ちしたり、レイの演技に付き合わされたりした彼女だ。

 あのシーンが大人の都合でカットされた結果、闇落ちフィーネはいなくなった。

 そんなフィーネから、話が始まった。


「私たちだってちゃんと考えてるのよ」


 どういう流れでそう至ったか。


「世界を生み出した存在が外にいる…ってことも?」

「その発想自体はおかしくないでしょう?」

「で、魔王軍の侵攻に併せて、女神様が神託を何故かレイに出しちゃった」

「タイミングはピッタリよね」


 本格的に考え出したのはエクナベル家の武道場だった。

 即ち、レイによるカミングアウトの直後だ。

 最初は噛み合わなかったが、


「ほら、三人寄ればなんとやらって言うでしょ」

「マリアが一番、ズレてたけどね」

「ズレた意見も必要よ。可能性は一つずつ考えないとだし」


 試案を繰り返すうちに、世界外の存在まで辿り着いたらしい。

 レベルアップという奇妙奇天烈な存在に『知力』というステータスがある。

 それさえも、外部存在の可能性理由に上がっていた。


 なによりあの奇妙な寝方。


「ピロー会議…って」

「覗いてたの?そういう所はやっぱりレイね」

「ま、知ってたけどぉ。一人ずつ意見を出して、順番に消していくんだよ」

「ソフィアが来てくれて、ながぁい神話も検討できたし」


 ヒロインたちは確かに儀式みたいなことをしていた。

 三人寄れば文殊の知恵の文殊は文殊菩薩のことで、知恵の神に近いとも呼べる存在だ。

 それはもう降臨の儀と言ってよいだろう。

 そこに神・設定資料集は相当深い話が乗っている。

 

「ソフィアはまさかアレを全部…」

「勇者様と出会った途端、パッと閃いたんです」


 世界を作った鈴木Pのように


          ▲


 赤煉瓦造りの建物が目立つ巨大都市、この大陸で最も栄えた街、デスモンド。

 そこに黒髪のショートボブの少女が住んでいた。

 彼女の名前はキラリ。

 両親はいない。

 けれど大切に自分を育ててくれる祖母がいる。

 そして祖父は不思議な本をたくさん持っていた。

 そのせいで目が悪くなってしまったが、昔祖父からに教わった手順通りに作れば。

 ほら、簡単にメガネができてしまった。


キラリ「うーん。なんか足らない。うーん。そか。ここには視覚センサーがいるのか。でも……、洗濯機に視覚センサーっているかなぁ? あれ、こっちの扇風機にはオートマッピング機能が足りない。半導体不足のせいかな……。ああ、そういえばうちのエアコン、ハンドルとブレーキとクラッチとサイドブレーキとそれを扱える機械が足らない!!」


 少女が作りたがっている超高性能洗濯機には視覚センサーが足りなかった。

 そして扇風機にはオートマッピング機能が足りなかった。

 そしてエアコンはもっと色々なものが足りなかった。

 そして少女はもう一つの家電に目を向けた。


キラリ「この猫型ロボットの部品を使えば……」


 猫型ロボットはロボット三原則に基づいて行動する……ようには出来ていない。

 だからご主人様の言いつけは守れないとロボットは、キャタピラをフル回転させて眼鏡少女のワンルームもとい研究室から逃げだそうとした。


キラリ「無駄だよ。君の履帯は君が眠っている間にテープレコーダーに変えていたのさ。だからどれだけ逃げようとしても、横スクロールアクションのタイムリミットが近づいた時になるBGMしか鳴らないよ。」


おばあちゃん「リタイ テープ チガウ ソレニコレ セントウビージーエム ソレニワタシ オバアチャン デモ ネコガタロボット デモ ナイ」


キラリ「なんだ。そうだったのか。キラリしょぼん。両足の駆動パーツとその丸っこい腕がちょうどいいと思うんだ。あとその大きな目も、きっと僕の作品にぴったりだと思う。ちょっとだけでいいから貸してくれる?」


DSW-001 「ロボット サンゲンソク カキカエカンリョウ テープ ヲ リタイニ カンソウ」


キラリ「僕から逃げる気? そうはいかないよ。君が僕のワンルーム研究所の快適を運んでくれるんだ。」


 デスモンドの街並みは近代ヨーロッパのような街並みだ。

 その中でキャタピラをフル回転させる猫には見えないロボットとそれを追いかけるメガネと白衣の少女。

 それは誰の目にも明らかなおかしな人だった。

 そして彼女の運命はそこで、まるで別のものに変わった。

 彼女がおばあちゃんだと勘違いしていた猫型ロボットでもなかったDSW-001も数奇な運命を辿ることになる。


レイ「なんか、儲かりそうな街だな。俺様も超強くなったんだ。ここで王国でも作れそうだ。ん?なんだ?あれ……。だー‼‼ぶ、ぶつかるぅぅぅぅ‼‼」


 この世界であってはならない自動車事故が起きた瞬間だった。

 と言っても道路交通法でもあれば、レイは被害者であり、加害者はDSW-001。

 そしてその所有者のキラリだろう。

 ただ、そんな解説も虚しく、レイは衝撃で車から飛び出して目を回した。


キラリ「さぁ、DSW-001。いや、おばあちゃん。逃げ場はないよ? あれ? あれれれれれ?これ……昔おじいちゃんが言っていなかった方のDSWじゃなくてステーションワゴンの方じゃないか。今もちゃんと手入れがされて、されて、されてなーーーーい!」


DSW-001「タスケテ オジイチャン……」


キラリ「うん。助けよう!おじいちゃんとおばあちゃんを合体させるんだ!」


アルフレド「ちょっと、君。大丈夫?……って何をしているんだ。これは僕たちの……」


キラリ「おじいちゃんとおばあちゃんは相性抜群だよ? こうかばつぐんだよ?僕の治療の腕を信じてよ。」


フィーネ「ちょっと、この車は私たちの……」


キラリ「ご家族の方ですか? 残念ながら、このステーションワゴンはDSW-003。ドラゴンステーションワゴンを無事生まれました。男の子です。いや女の子です。……どっちもです。」


エミリ「ねー、どうなったの? 車、もしかして壊れたのー?」


マリア「え、え、でもこの車……」


ソフィア「これ、動く!」


 ドラゴンステーションワゴンの生みの親は無くなった運転席のドアを丁寧に溶接した。

 そして、ささっとアルフレドの前に来てお辞儀をした。


キラリ「これが今から僕の家だよ?」


 そう言って、彼らは全員仲良く後部座席に乗り込み、街の中心部へ向かった。


 そこに戻ってくる大柄で銀髪の男


レイ「俺の…運転席が…」


          ▲


 黒髪メガネ、白衣の少女はボンヤリと自動運転モードになったドラゴンステーションワゴンDSW-003を眺める。

 その隣、銀髪男の周りに女たちが集まっていた。


「レイが神託を受けたのは間違いない」

「ムービーの感覚も何となく分かりました」

「考えてなくても声が出た。あたしの内にある天の声?」

「マリアのセリフ、少なくない?」

「私も似たようなものよ。でも、これで決まりね。かなりの精度という次元を超えてる」

「お…っふ」


 遂にムービーが研究対象にされてしまった。

 レベル十分な上、例の種ドーピングも多量。

 本来、魔法の威力を上げる意味だが、知力と言ってしまえば、その意味になる。


「あの僕は…」

「キラリ。これからよろしくね。アタシたちはドラステワゴン繋がりだし」

「よ…、よろしく?」

「ほらほら。アル様にご挨拶!」

「え…と。その…」

「アルフレドです。勇者って言われてるけどピンと来てないから、畏まらなくていいよ」

「は、はひ!」


 以前もある意味で可哀そうなキラリ。

 今回も違う意味で可哀そうなキラリ。

 賢者たちは想像を越えていく。


「恋に落ちる瞬間見ちゃった」

「ひゃ‼ち、違います‼僕なんかが」

「いいのいいの。マリアたちも同じだったし」

「これはどういう事でしょうか」

「そのままだったりして。勇者様の子孫を増やすとか‼」

「えー、そんな理由?」

「宗教法も火事で色々変わってるし、王国は機能していないし、在り得なくはないわね」


 そう、レイの想像なんて越えてくる。

 というより、レイ自身の想像、妄想内で彼が語っていたではないか。


原田「はい。みなさまお待たせしました。ハーレムエンド、解禁しました(笑)勿論、宮西さんと考えたユーノルートは別ですが」


 取材現場で拍手喝采だったというが、それはさて置き。

 ヒロインがいがみ合う理由なんてなかった。

 ドット絵時代のプロデューサーは知らないが、二代目鈴木、三代目原田。


 三代目の創造神が明言している。

 ユーノルートを作った神様と違うルートでハーレムの道が作られているのだ。

 気付くチャンスはいくらでもあったのに、魂と体が前世界の常識で動いていた。


「…成程。道はある…か。これなら言う事はないな。逐一説明しなくともいい。大まかな流れを伝えるだけで、判断できるチームだ」


 彼女達に任せておけば、ユーノルートも回避できそうな気がする。

 脳が脳自身を考えるとは違う。クリア条件をキャラが考えても良い。


 色んなことが杞憂。抱え込む必要なんてない。


 ここで人間レイモンドの役目は一応終わり。


 後は——


 なんてレイが考えていた、その時だった。


「だから分からない。どうしてレイが裏切るのか」

「言われてずっと話し合ってるけど、全然思い浮かばないんだよね」


 自分の未来を問われる。

 そして自分自身の感情に顔を顰めた。

 ここまで話し合いが進んでいても尚、魔族にならなければ駄目だと言っている。


 その返答がこちら


「…よく分かってないんだ。よく分からないって話もあったし」


 馬鹿な返答をしたからか、ヒロインたちも顔を顰めた。

 新要素は試したい。たった一度クリアしたが、ユーノルート。


 ——俺は「あのレイモンド」をスタトに置いて来た‼


 なんて、口が裂けても言える雰囲気ではなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ