↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界歌姫は今日も自由!  作者: ザナトス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/49

第44話 王城からの招待

戦いは終わった。

傷だらけの風翼グリフォンは静かに横たわっている。先程までの激戦が嘘のようだった。風だけが吹いている。優しい風だった。

◇◇◇

誰もすぐには動かなかった。騎士達も。冒険者達も。孤児院の職員達も。

皆、巨大なグリフォンを見つめていた。

そして。

その前に立つ少女を。

◇◇◇

「カナタ!」

フィオナが駆け寄ってくる。いつもより少し必死だった。

「大丈夫!?」

「うん!」

カナタは笑う。

だが。次の瞬間。ふらついた。

「わっ」

ルークが慌てて支える。

「無茶しやがって」

「えへへ」

「褒めてねぇ」

本気で呆れていた。

◇◇◇

実際。カナタも驚いていた。あんな風に飛んだのは初めてだった。風が身体を押した。飛べる気がした。

そして本当に飛んだ。自分でも意味が分からない。

「飛んだよね私」

「飛んだな」

「飛んでましたね」

エマも頷く。

「飛んだ」

「やった!」

本人だけ嬉しそうだった。ルークは頭を抱えた。

◇◇◇

その頃。

騎士達は周辺の警戒を続けていた。

そして。

森を調査していた者達が戻ってくる。

顔色は悪い。

「報告します」

騎士団長が振り返る。

「森の奥で巨大な爪痕を発見しました」

周囲が静かになる。

「グリフォンの傷と一致します」

「原因は?」

「不明です」

その答えに空気が重くなる。グリフォンを傷付けた何か。

まだ森の奥にいる。その事実だけは変わらない。

◇◇◇

だが。今はそれ以上追えない。まずは被害確認。

そして王都への報告。優先すべきことは多かった。

◇◇◇

日が傾き始める頃。カナタ達は王都へ戻った。

すると。異様な光景が待っていた。

「帰ってきた!」

「歌のお姉ちゃんだ!」

「本当にグリフォン倒したの!?」

城門前には人だかり。噂は既に広がっていた。

◇◇◇

風翼グリフォン。王都近郊。騎士団出動。

そして。

最後に決着を付けた少女。話題にならないはずがない。

「すごーい!」

「英雄だ!」

「王都を救った!」

そんな声まで飛び交う。

◇◇◇

「ち、違うよ!?」

カナタは慌てる。

「みんなも戦ったし!」

だが。誰も聞いていない。子供達は目を輝かせている。市場の人達も興奮している。完全に時の人だった。

◇◇◇

フィオナは少し離れた場所からその様子を見ていた。自然と笑みが浮かぶ。やっぱりカナタらしい。

褒められても偉そうにしない。全部自分の手柄にもしない。

だから人が集まる。

◇◇◇

その夜。

宿へ戻ったカナタ達。夕食を食べながら話していた。

「疲れたぁ……」

カナタが机へ突っ伏す。

「そりゃそうだ」

ルークも苦笑する。人生で初めてグリフォンと戦った。

しかも飛んだ。普通なら倒れている。

◇◇◇

すると。

宿の扉が叩かれた。

コンコン。

全員が振り向く。

「こんな時間に?」

ルークが立ち上がる。扉を開く。そこにいたのは――。

王城の騎士だった。

◇◇◇

一瞬で空気が変わる。騎士は一礼する。

そして。

正式な口調で告げた。

「冒険者カナタ殿」

「へ?」

本人は間抜けな声を出した。

「国王陛下より招待状を預かっております」

静寂。

◇◇◇

カナタ。固まる。

ルーク。固まる。

エマ。固まる。

◇◇◇

「……え?」

数秒後。ようやく声が出た。

「国王?」

「はい」

「王様?」

「はい」

「その王様?」

「はい」

騎士は真面目だった。

◇◇◇

カナタはルークを見る。ルークも困惑している。エマも同じだった。理解が追い付かない。

◇◇◇

騎士は続ける。

「今回の功績」

「風翼グリフォン討伐」

「王都防衛への貢献」

「フィオナ様の救助」

そこで。

カナタが首を傾げる。

「フィオ?」

騎士が止まる。しまった。そんな顔をした。

◇◇◇

ルークとエマも違和感を覚える。

「フィオナ様……?」

騎士の額に汗が流れる。非常に嫌な予感がした。

◇◇◇

一方。

カナタはまだ何も気付いていなかった。

「フィオと同じ名前の人かな?」

真顔だった。ルークが頭を抱える。エマが顔を覆う。

騎士も遠い目になる。

そして。

王都最大級の秘密が。とんでもなく間の抜けた形で暴かれようとしていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。