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39.追いかけて sideセイン

「フォーリアを拐ったのは、ヘディンと名乗る王宮の下級官吏でした。そしてこのヘディンはスヴェン王子と行動を共にしている者だと判明しました。ヘディンはローアン国の間者の可能性があります。陛下、東方警備隊(われわれ)にローアン国へ向かう許可をください」


アズライト宮謁見の間。

私は陛下に警備隊の出動を請うた。


「…魔の森は東方警備隊(そなたら)でないと抜けられんだろうし、な。他の隊では、野営や対魔獣戦の経験が浅い…。何よりフォーリア嬢はセイン、お前の婚約者。自身の手で助け出したいのだろう?」


「………」


「確かにフォーリア嬢が王宮から連れ去られたは、我らの落ち度。なれど、一国の…我が王族の者を奪ったらどうなるか、諸国に知らしめて参れ。…東方警備隊はローアン国へ向かい、フォーリア嬢を救出せよ。但し、要塞都市を空けることは許さぬ。隊の一部は都市に残し、これまで通り国境の防衛を担え」


「はっ!」


陛下に警備隊の出動許可をいただいた私は早々に陛下の御前を辞した。

速やかに遠征の準備をし、一刻も早くフォリを助けるために。


そんな私の背を見つめ、きつく拳を握る近衛騎士(もの)が一人…。


*


「陛下の許可はいただいた。シオン、急ぎグラファイトに戻り、ローアン国へ向かうぞ」


自室に戻った私は部屋で待っていたシオンに指示を出し、出発の準備を始める。


旅装を整え、いざ出発しようという時


コンコン


「…殿下、少しお時間よろしいでしょうか?」


「エドヴィンか。何だ?」


訪問者がエドヴィンだと判り、部屋へ招き入れる。


「私たちは直ぐに王宮(ここ)を発つ。手短に頼む」


焦る私がさっさと話を切り出すと、エドヴィンは何かを決意した顔をして


「私も連れて行ってください」


私が思いも寄らぬことを言い出した。


「…何だと?」


「…私はフォーリア様のお側に付いていながら、お守りすることが出来ませんでした。…今は、そんな私が、出しゃばるべきではないと、承知しております。ですが!フォーリア様のお帰りをただ待つだけは嫌です!…どうか私にも、フォーリア様救出の機会を…っ」


「…近衛隊長の許可は…」


「こちらに」


エドヴィンが一通の手紙を差し出す。

中を改めると




“エドヴィンの強い希望故、今回に限り近衛隊を離れる許可を出しました。連れて行ってやってください。…陛下には私から話します”




エドヴィンの東方警備隊(われら)との同行を願う旨が書かれていた。


「…近衛隊長が許可を出しているのなら、問題は無いが…強行軍になるぞ?…付いて来られるか?」


「はい」


「遅れたら、容赦なく置いていくぞ」


「はい」


「よし、共に来い!」


「ありがとうございます!!」


こうしてエドヴィンも東方警備隊(われら)に同行することになった。



***



「第一、第三部隊は私と共に!第二部隊はグラファイトに残り、国防を担え!」


『はい!』


私の号令で騎士たちが一斉に動き出す。

これからは時間との勝負だ。騎士達(かれら)もそれが分かっている。


「エドヴィン、お前はシオンと共に私に付いて来い。直ぐに発つぞ」


「承知しました」




「第三部隊!魔獣(てき)を排除し、進路を確保!第一部隊!このまま森を突っ切るぞ!」


『はっ!』


ドドドドドッ


通常よりも何倍ものスピードで森の中を疾駆する。

気は急くのに、体感が追いつかない。


「フォリ、どうか無事で…」


私が彼女の無事を祈る言葉を置き去りに、馬は森を駆け抜ける。







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