37.行方を探して sideセイン
………!!……………!!
王宮内は大騒ぎになっている。
フォリが何者かに拐われた。
「…申し訳ありません。近衛隊の落ち度です」
「…いや、私も警戒が甘かった。まさか、単身潜んでくるとは…」
「現在、エドヴィンが追跡しておりますが…」
「エドヴィンが出し抜かれるとは思わなかった。…相手は余程の手練れなのか…」
侵入者の力量を見誤ったのもそうだが、よりにもよって王宮から易々とフォリを拐われたのが、悔しくてたまらない。
*
エドヴィンが戻って来た。
「エドヴィン!フォリは!?無事か!?」
開口一番の私の問いかけに
「…申し訳ありません、見失いました…」
エドヴィンは悔しさを滲ませた声で報告する。
「何だと!?」
その報告に私は思わず声を荒げたが
「この責任は、如何様にも…」
続いたエドヴィンの言葉に気持ちを落ち着かせる。
「…私の方こそ声を荒げて悪かった。…エドヴィン、責任を取ると言うのなら、全力でフォリを捜索しろ。絶対に助けるんだ」
「はい!」
***
数日後。
今もまだフォリは見つからない。
パーティーでの様子から、フォリを拐ったのはスヴェン王子だと思うのだが…彼の足取りも掴めない。
−あのスヴェン王子が−余程周到に潜んでいるようだ。
先日掴んだスヴェン王子の居所を中心に情報を集める。
改めてスヴェン王子の連れの男についても調べてみたが、こちらは中々情報が集まらない。
判ったのはその男が黒髪黒瞳だということ、そしてスヴェン王子が我々の目を掻い潜ってきたのは彼の功績だろうということ。
プライドが高く、浅慮なスヴェン王子を抑えてきたのだ。…彼は手強い。
そんな風に彼らについて考えていたところ、新たな手掛かりを得た。
「殿下。王宮の官吏が一人、フォーリア様と時を同じくして姿を消しています」
「まさか…」
「その官吏の黒髪黒瞳が、スヴェン王子の連れの男と一致します」
「フォリを拐ったのは、ヘディンか!…スヴェン王子とヘディンの外見を纏めて、聞き込みを強化しろ!必ず探し出して、フォリを助けるぞ!」
「はっ!」
***
聞き込みを強化して、ようやく彼らの潜伏先を突き止めた。
「その人たちなら、数日前に宿を引き払って出ていったよ。…少し前に従者さんが金色の髪のお嬢さんを連れてきてね。お嬢さんが心配だから、家まで送って行くと言ってたよ」
宿の女将の証言は、私たちが間に合わなかったことを示していた。
…一足、遅かったか。
いや、まだだ。
“家まで送って行く”というのは詭弁だろう。
彼らはフォリを連れて、ローアン国に向かったに違いない。
スヴェン王子は愛し子を婚約者に据え、王太子に返り咲くつもりなのだろう。
…そうはさせない。
フォリは私の大事な婚約者、利用させてなるものか。
フォリ、もう少しだけ待っていてくれ。
必ず君を迎えに行くから。




