パワー系の二人
「清彦様あぁあぁーーーーー!!!!!!」
爆音じさま登場。
めっちゃ久しぶりだ…
ちっとも免疫つかねぇで、鼓膜がビビり倒してら。
「妙な術にやられておられましたな!!頭は大丈夫ですかなッ!!?」
両手で耳を塞ぐも、それを無効化する程の声量。
じいやは清彦の頭を手根部でガンガン叩いた。
じいや、それ昭和のテレビを直すやつや。
「あーーうるせえッ!!!!」
善哉さんは今回もじいやの爆音にブチ切れ。
「じいや!!おぬし、益々耳が遠くなっておるな!?」
「ハァーーー!!?あんだってぇ!!?」
ガラスのコップがじいやの目の前にあったら、パリンと割れてると思う。
「…もう、成仏したらどうでしょうか?」
景山さんがニコニコしながら無慈悲な一言を発する。
「…だめじゃ!!じいやは、我の大切な家人じゃ!!」
清彦はウルウルした目でじいやの前へかばうように立った。
そして、にわかに人差し指を眉間へと突き立てた。
「なっ…!!!?」
寄り目になったじいやの姿が、例によってスーッと消えていった。
前回と全く同じ光景や。
「ふぅ~っ、これでひと安心☆」
おでこを手の甲で拭く仕草をする清彦。
どこが大切な家人?
「…大切に思ってたら、やっと出てこれた家人をすぐに消さないだろ」
類さんが引きながら突っ込む。
「いや、我一人ならいいが、皆じいやの声に慣れてないから…」
清彦はオロオロと目を泳がせる。
以前、この秘孔術が危険視され、善哉さんと類さんから除霊対象になった。
トラウマになっているのかも知れない。
「清彦君。君が音量を調整する術を体得すれば、解決できるかも知れませんよ」
「え!!?そんな術があるのか!?」
清彦は目を輝かせた。
「えぇ。清彦君が会得できればね」
景山さんは口角を上げているが、目は笑っていない。
一体その術を会得するのに、どんな修行が要るのだろう…?
それぞれデスクにつき、仕事に戻った。
類さんと善哉さんは、午後から外回りだ。
事務所内はしーんと静まり返り、ただパソコンのキーボードを打つ音だけが聞こえてくる。
ふと思い、聞いてみた。
「善哉さんと類さんも、術とか持ってるんですか?」
○○○○黒龍波ッ!!!とか使えるのかな…?いやあれも術とは違うのか?
ところが、なぜか二人とも気まずそうに頬を赤らめた。
「まぁ、基本的な事は…」
「…オホン、まぁ、基本はね…」
あら?この反応は…どっちのやつだろ。
「え?お二人とも、術は何も使えないですよね?」
景山さんがキョトンとした表情で二人を見る。
「だからワタクシが修行に行っていたのです。」
こんなにお強い二人が!?
善哉さんはお地蔵様の様な表情でパソコンを見つめている。
類さんは恥ずかしそうに咳払いなどをして誤魔化している。
「刀振り回したり、弓矢でぶっ刺したりしかできませんよね?めっちゃパワー系ですよね?」
類さんは咳払いしすぎてむせている。
「でも、結界を張ったり、式神を使ったりっていうのは術ではないんですか?」
あんな大きなアオサギさんが式神だなんて、すごすぎる。
あの時、一瞬で結界を張ったのもよく分らんけどすごい気がする。
「…あれは、景山のいう術とは違う。」
善哉さんが冷静な表情と声で答えた。
「俺は札や勾玉等の道具がないと結界を張れない。式神は、まぁ術っちゃ術だけどな。」
「式神を使えるのは今の日本ではかなり少数。逆に、景山さんの使うような術は、結構この業界では当たり前に使える人の方が多いんだ。」
類さんが解説してくれた。
「へぇ~」
「そうです。二人はこんなに霊力が高くて卓越した能力を持っているのに、術は使えないという…。しかし霊力が高すぎるので、道具さえあれば術者よりも強力な結界を張れたりするのです」
「そうなんですか」
そういう世界なんだなぁ。
よくわからんけど。
「ヒーラーさんも、実は全国にたくさんいるんだよ」
「そうなんですか」
えっ。じゃあ私よりもシゴデキで、ヒーリング能力も高い人出てきたら私いらなくなるんじゃぁ…
「ただ、オーラ自体が水晶なんて人は国内に数人しか居ないでしょうね。」
「…はぁ」
よし。ワイ、希少価値アリ。
心の中でこっそりほっとする。
ここでは、私じゃないとできない事があり、必要とされている。
役に立てているようで嬉しい。
私がやった仕事を喜んでもらえて、心から充実を感じられる。
類さんも善哉さんも優しいし、気遣いが半端ない。
仕事に行くのが苦痛じゃない。
むしろ楽しいんだ。
そして、それが普通になっている。
もしここをクビになっても、しょうがないと思うだろう。
優しい善哉事務所の皆さんに甘えてばかりだから。
でも、できれば…
まだここに居させてください…
そう心の中で祈っていたら、景山さんが突然椅子から立ち上がった。




