表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第四章 対決!三魔像編
126/138

第三話 旧友との再会

 真冬は過ぎているはずなのにこの寒さ。

 寒さに慣れておらず震えるリーレイの手を引き展望台に登る。

 空港が比較的高い場所にあるので遠くまで良く見えるが、土地に起伏の少ない平坦な大地だ。

 只管に白く、静か。

 雪は光を反射するのに、音は吸収するのだろうか。

 それほどに雑音が無い。


「そんなに寒いなら自分で暖かくすればいいじゃないっすか」

「そ、そそそ、そうだね……ふおおおお!」

「い、いや、そうじゃないっす。魔法で魔法で」


 そんな無の世界に雑音を作り出す、創造主の如き女子二名。

 リーレイは全身に力を入れ高速でスクワットを始め、後輩は顔を赤くして周りを見ながらリーレイを止めようとしている。


「え、魔法って? アタシまともに使えるの風と気属性ぐらいなんだけど」


 いやいや、得意属性じゃなくても生活魔法的なレベルだったら使えるでしょう。


「そりゃ使えるけど…………はい。こんなんでどうすんのよ」


 リーレイは指先に小さな火を灯した。


 うむ、なるほど。

 これは彼女の気属性にばかり目を向けていた私の落ち度だ。

 得意属性以外の魔法の有効な使い方を、彼女と共に考えることを怠ってしまったようだ。


 今こそ学院で学んだあれやこれやを生かす時である。

 私は招待された領地への道すがら、リーレイに有用な魔法の使い方を伝授した。




「寒さに慣れるのが早いか、魔法が上手くなるのが早いか……アタシの羽根、焦げ目とか付いてない?」


 火と風の混合で温風を出してもらおうと思ったのだが、なかなか火が出る手前で止めることができなかった。

 それでも体で覚えるタイプのリーレイは熱さ寒さと戦い、ようやく冷気を緩和できるようになったのだが。


「回復魔法、苦手なんだよね。私」

「焦げた羽根、抜いていいっすか?」


 リーレイの心配どおり、彼女から見えにくい真後ろの羽根が焦げている。


「やだなぁ! ちゃんと治してよ!」



 まあまあきみたち。そんなにこうふんしないでください



 相手が帰る、若しくは余計にいきり立つ、太った商人のランダム言動の一つ。

 リーレイがいきり立って攻撃してこようものなら大怪我しかねないから、もちろん言わないけど。

 帰られても困るし。


 ササッ


 後輩がリーレイの気を逸らしている間に焦げた部分をカットする。

 他の羽根の流れを揃えて……

 よし、目立たなくなったぞ。


「直ったよ」

「ホント?」


 疑いの眼差しを向けられても、嘘を言ってはいないと自己暗示をかければ表情は崩れぬ。


 うまいこと誤魔化しきって、目的地に到着。




 この辺りの住居で主流の、カマクラを大きくしたようなドーム型の建物の一つにお邪魔して尋ねた。



 教えてもらったミコルルの家は他の家より少し大きめだが、造りは同じなのかな。

 半地下と思われる盛り上がった部分が、メインの建物にくっついている。


 一つ違うのは家の脇に旗が立てられている所か。

 雪の結晶と短剣が描かれた旗だ。

 ミコルルが持っていた短剣っぽいから宝刀ではないか。

 ここが宝刀を預かる身分の家だということを示しているのだろう。


 よし、ここは「たのもー」って不意打ちの如く扉を開けて、ミコルルのあられもない姿でも拝んで……


「キャミィ!」

「来てくれたんだ! 久しぶり」

「マムっち! ウルっち!」


 どこからともなく現れたお供ズが後輩とキャッキャ始める。

 私の気が逸れた瞬間に、その隙を突くように扉が開かれ、中から一人の雪女が冷たい笑顔を覗かせた。


「私には通じませんよ。そういうのはモルガノ先生だけにしてくださいね」


 ちっ、外の喧騒で来訪を察したか。


「ふふ、変わりないようで。――久しぶりですねミサ。来ていただいてありがとうございます」

「また会えて嬉しいわミコルル。元気そうで良かった」


 挨拶代わりの不意打ちは失敗したが、まともな再会の挨拶もいいものだ。

 って言うか出てきたタイミングから考えると、多分家の中でもこういうビシッとした姿でいたんだろうな。

 さすがだわ。




 歓迎され家の中へ。

 今日はここで休ませてもらえるらしい。

 氷室みたいに冷たかったらどうしようかと思ったけど、ちょっと肌寒いぐらい。

 リーレイも一安心の様子。


 ミコルルに貸してもらった来客用の毛皮は、とても軽く肌触り滑らかだ。

 魔物ドロップだと言うところが私へのサービス心を感じさせる。


「いやぁ気が利くね、ミサとキャミィの友達は」

「あ、思い出した。学院が魔物だらけになった時に助けに来てくれたお姉さん」

「そうだそうだ。空を走ってたお姉さんだ。やっぱりハーピーだった。何で空中を走れるの? ハーピーって飛べないんじゃ?」

「ふっふっふ、アタシはね〜、ただのハーピーじゃないんだなぁ」

「おお?」

「何と」

「アタシは! 何と! お姉さんで大人なハーピーなのだ!!」



 ピーピー ワアアァ



 盛り上がる三人。

 片や私と後輩は顔を背けミコルルの微苦笑に耐えている。


「在学中のキャミィさんみたいですね」

「ボクのアイドル活動っすか? ベクトルが違うっすよね? 一緒にするのはやめてほしいっす」


 大体こんなもんだっただろ。


「あの頃を思い出しました。ジャンネやアラシュを誘って、また集まれるといいですね」

「……うん。本当にね」


 ほんわか胸が温まるような、じ〜んと沁みるような。

 お互いに自然と微苦笑から微笑へと表情が変わっていく。

 賑やかで和やかで、楽しい時間が始まった。




 ワイのワイのと騒ぐ間に、初対面とそう変わらぬリーレイも大分打ち解けてきた。


「ふ〜ん、これが女の子の部屋ってやつかぁ」


 あまり他人の家に上がらないリーレイは物珍しそうに部屋の物を眺めている。


 ――あまり不躾にジロジロ見るんじゃありません。

 って、私もちょっと気になってはいるんだけどね。


 そう飾った部屋ではない。

 それでもちょっとしたアクセサリーや可愛い小物が置いてあり、ミコルルの未知なる面を垣間見られる。


「何だか恥ずかしいような気がしますね」


 ミコルルが照れている。


「ミコルっち、地下には何があるんすか?」


 照れてカワイイミコルルに構いたい後輩は、積極的に彼女に甘えに行く。


 そして地下へ。



「あれ? これって……」


 後輩が一着の衣服の前で立ち止まった。

 流水を留めたように清らかな羽衣だ。

 炎のダメージを軽減し、毒床ダメージを無効にする、あの羽衣のイメージがピタリと合いそうな。


 白いバンテージっぽい布が帯のように腹部に巻いてあるが、帯としてはあまり似合ってないな。

 妙に神聖な気配のある白布だけど。


 師匠にフリージングコフィンされた聖闘士みたいに、永久凍土っぽいショーケースに立て飾られている。


「あの子たちがこんな服着てたような……」


 後輩が何やらぶつぶつ言っている。


「この服ですか。偉大なご先祖様の御召し物らしく、私の曽祖母のそのまた祖母の頃より前からずっと保管されているそうです。残念ながら昔起きた大火災のせいで、由緒書きは失われたようですが」


 神様がもっと身近に居られる時代に生きた人の着衣だと。

 いやいや今も神様は割と身近だと思いますが。


 由来が分からないので私は興味を深くは持てないのだが、後輩は微笑んであちらこちらから眺めている。

 綺麗な羽衣だからコイツの好みなのだろう。




 夜は枕投げこそ無かったが、おしゃべりが止まらず夜更かしをして、自然とみんな眠りに就いて――


 寝る間際に、神官の女の子と魔法使いの女の子の姿がボンヤリと頭に浮かび……ふぁ、眠い。








 翌朝、問題の隣町に案内してくれるミコルルとお供ズについて出発。

 隣町と言うだけあってほんの二時間程度で到着した。

 魔物が出る謎の門を抱えていると聞いていたが、日常はそれほど緊張している風では無い。


 手紙の差出人である人たちと会って直接話を聞いた。

 大まかな話は手紙のとおりだ。


 明日、実際に現地へ行きまず一目、実物を見ることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ