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闇ニ玉散レ百剱  作者: 亜空間会話(以下略)
集えよ光、束ね束ねて華となれ
41/61

5「暴虐の刃」

 なんかpv伸びてた。どなたか宣伝してくださったりとかあったんでしょうか? それはそうとサブタイトル付けてたら候補に出てきたのが強敵回ばっかし。5話は強敵が出てくる法則が……?


 そうそう、タイガ良かったですね。ウルバトってあんなに邪悪なゲームだったんだな……サービス開始からやってる私が故郷でイカレ扱いされるのもやむなしか(絶対関係ない)。というか放送開始時点で二つ名持ちのタイガさん、どこで活躍してきたんだろう……?


 血みどろですが、どうぞ。

 なかなか面白い戦いだ――と、タルクは口角を吊り上げる。


『笑ってるのかい』

『ああ。楽しいから』


 風前の灯火という言葉を転生者に聞いたとき、それはほかのどんな言葉よりもタルクの胸にすっと落ち着いた。今にも消えんとする炎が最期に輝くとき。それを口にしたときの少年も、息も絶え絶えの竜を目にしてひどく残酷な興奮を目に宿していた。


『窮地だね……フフフ。ひどく窮地じゃないか』

『あたしはてっきり惜しがるもんだと思ってたんだけどね。お気に入りじゃないのかい?』


『何をいまさら、そんなことを。気に入っているよ、もちろん』

『あたしとは違うってのは、このことかい』


 その通り、とタルクは――直接的にでなく、間接的に殺した数ならばこの世で並ぶものがない男は、愉悦をふぅっと吐き出した。


『目をかけたものであっても、星になれないのならば意味はない。生き残らなかったものは星ではない。私はしっかりと線引きをしているんだ。そして私は、勝ち残るものが好きだ――何が言いたいかわかるだろう、あなたにも?』

『勝った方や勝ちそうな方を応援する、かい。つくづく呆れ果てた感性だよ……』


 期待を捨てたわけではない。ただ切り替える、それだけの話だ。


 男にとって殺し合いは日常だった。そうでない日の方が異常だというくらいに、殺し続けていた――それは摂食だったからである。天竜の系譜にあたる幼竜ただ一匹だけが命のみに固執して生きていったとしても、責めるものはなかった。残っていれば何かを教えてくれたのであろう故郷は滅び、彼は放り出された。地上に降り立つまで、彼は無学で愚かな子供だった。


『戦い、弁論、何においても根本的に負けたことがないのだろうね、あなたは。むしろその方が哀れだよ……敗北を知らないというたったひとつの瑕疵が、あなたを成功から遠ざけるんだ』


 めちゃくちゃに痛めつけられても、腕や足や角を切り落とされ、翼をさえ失ったとしても――ぼろぼろになって逃げだしたとしても、生きてさえいればなんとかなる。ただの人間のくせにほとんど星に近いくらいにまで上り詰めた二人の転生者を思い出すたび、タルクはそう思う。


 彼が双命核を作り出して「強い生命」を考え出す前から、彼らはすでにその先の力を手にしていた。一人はこの手で殺したが、もう一人には教えを請い、請われる関係になるまで近付くことすらできなかった。


『勝利であっても苦々しい勝利はある。余裕の勝ちやとくにコストを払わない勝ちばかり手にしている二匹には少々痛い目にあってもらわないとね。救護が万全である以上、共倒れという可能性はありえない』


 爪刃竜(そうじんみずち)はその自信のほどにふさわしい、すさまじい力を持っている。鋼鱗蛟も、通常の個体では持ちえない力からか傷一つ負わず勝ちを重ねている。タルク・ザーンの実験体である以上、容易な戦いばかりを用意されるはずもなかった。


 苦難は始まったばかりである。




 頭部をがりりと引っかかれ、右の視界を失ったミズチは刃気を出した。相手の尻尾を吹き飛ばしたとはいえ、それは戦力の減少にはつながらない。理由は簡単、相手は尻尾をちょっとしたバランサー程度にしか使っていなかったからである。どう考えても、少々バランスが崩れたからといって修正できないほどの無能ではない。


 刃気を抜けて切り付けようとした爪刃に尾剣を叩きつけると、さすがに動揺したか相手はぬるりと引いた。予測した地点を殴りつけて、爪に引っかかったそれを勢いのままに引き裂くと、生暖かい血潮がほとばしる。


 相手は肩を甲殻ごと切り裂かれていた。同族喰らいの代償として甲殻のほとんどはロクテノと鉄で構成されており、その強度は一般的な剣よりは固い程度。蒼哭銀(オシラナギ)でコーティングされた爪刃ならば尾剣と互角に打ち合うが、それはそれとして爪刃竜の装甲は薄い。はるかに強靭な装甲を持つ鋼鱗蛟の爪は、特別な強化こそされていないものの甲殻と同じ材質でできている。ほかを考えないとすると、かれは爪刃と爪で互角に打ち合うことができた。


 尾剣では追い付けないとすると、刃気を利用するのが最適解だ。


 ミズチはあえて激しく動き回る――先ほどから把握し続けていた枝を跳び回りながら、左の視界だけで自分の位置を確認し刃気を置く。相手の動きのクセは、ある程度まで理解できていた。


 相手に驚きを与え、動揺を誘い、あざ笑いながら動きの乱れを突く――その邪悪から生まれた、空を駆け自由自在に襲いかかり回り込む力。


 であれば、辿るべき道筋は絞られる。ごく小さな刃気をいくつも仕掛け、ミズチは相手の様子を見た。


「ルグォウ!?」


 枝を避けながら回り込んでいける道は三つ、防御ががら空きになっている脇腹と右腕を狙うには、今しがた尻尾をこすった枝の上から回り込むしかない。仕掛けたのは小さな刃気だが、半ルーケをゆうに超える表面積を持った生物が1ルーケあるかないかの隙間をくぐろうとすれば、どうしてもここしか通れないという場所が出てくる。薄く小さな刃気を避けきれず、相手は鼻先を深々と切り裂かれた。


 瞬時に置いた「空跳脚」の足場を前足で押して逃れるが、相手には鼻先の出血という何よりの目印が刻まれてしまった――


「グゥルィイオオッ!!」


 激昂した爪刃竜は、枝を斬断してミズチに迫った。


 真正面からの攻撃ならば、打ち合いに応じるまで――ぞんぶんに重さが乗った互いの一撃は、勝敗を決するほどの威力を持っていた。


 ぴきり、と聞こえるか聞こえぬかの音が漏れて。


 結果は――爪刃の損壊。カルン位階においても上回り、密度も段違いの尾剣と打ち合って勝てる公算などもとよりなかったのだ。恐るべき速さで後退した蛟竜はそのまますばらしい跳躍を見せたが、なぜか降りてこなかった。


「ゴル……」


 尻尾や足でようやく枝に着地……否、着天した相手は、勢いを殺さず落下と跳躍の速度をかけ合わせて飛びかかる。刃気を用意したミズチは、ある事態に気がついた。


 魔力がもうほとんど残っていないのだ。刃気を使う分の魔力を少しでも節約していたつもりだった――しかし、晶殻が傷付いたために蓄積されていた魔力の流出が起こっていた。あとほんの数回、しかもごく小さな刃気か、薄い刃気しか出せない。


 相手は損壊した爪刃を犠牲にして刃気を防ぎ、せめて勢いを込めんと空中で縦回転してから切り付ける――ミズチがフェイントに気がついたときにはすでに遅く、壊れた爪刃が完全に失われた代わりに、ミズチはあごを大きく弾き上げられた。鋭さを切り取られた尻尾には、鈍さと重さ、直接伝わる衝撃が生まれていたのだ。


「グォウッ!!」


 喉元を爪で押さえ、腹に乗っかった爪刃竜はミズチの胸を殴りつけた。そして――「先ほどのお返しだ」とばかりに、かれの手首をくわえる。


「ギュゥ、ルッ、ギュォ……」


 甲殻と鱗の隙間に鋭い歯が入り込み、ぷつぷつと血が溢れた。同族喰らいに堕ちようとも金属で強化された装甲を噛み砕く顎、その万力のごとき力に変わりはない。腱が傷付いてほとんど動かなくなっている腕を無理に動かし、ミズチは必死に逃げようとした。しかし――


「グゥ、ロォウッ……」


 装甲がバキンと音を立てて割れ、骨が露出する。だらだらと流れる血を味わいながら、蛟竜は思い切り首に力を込めた。


「ロォ、ァアア!!」


 ぶづん――と、ミズチの手首が食いちぎられた。とどめを刺そうと蛟竜は爪刃を振りかぶり、ミズチの喉元に向けて振り下ろす。勝負が決まったかと思われたそのときに、ミズチは恐ろしいほどの勢いで上体を起こした。


 そして、爪刃を口で受け止める。


「シュウ、ウルゥ……ッ!!」

「ゴァアア!!」


 ぐいぐいと押し込もうとし、不可能だと悟るや否や引こうとした蛟竜は、ミズチのあまりの力に戦慄した。その咬合力はもちろん、頭から首にかけての力は爪刃を失った手で殴っても叩いてもびくともしないほどである。


「ルゥイ、ォオ……」


 ミシミシときしむ音を聞きながら、爪刃竜はその指を引き抜かれることになった。




『なかなかいい戦いだが……コストの管理がなっていないな』

『当然さ、対応力はあっても想定外の事態を把握できてないんだよ』


 夕龍晶とタルクは、二匹の戦いを分析している。


『鋼鱗蛟の方は、体内にある魔力量を概算できていない。ほとんどを晶殻に蓄積し、そこから引き出す感覚に慣れているせいかな……? 晶殻とのつながりが途切れ気味だったせいか、魔力が抜けていくことに気付いていなかった』

『もうちょっとアレを使えるかと思ったけど、そういうことなのかい』


 四対ある晶殻のうち、もっとも大きな二対目と続く三対目が蛟竜に斬られていた。しかし、首の甲殻と鱗が切れたという脅威をより大きく見たせいか、命力の届く範囲ではあっても近くに神経が通っていないせいか、ミズチはそれに気付かぬまま戦いを続けた。固着化していない魔力がとめどなく流れていっても、さっぱり気付いていなかった様子である。


『爪刃竜の方はというと……ごく簡単に言って、性格に起因する問題が多すぎる』

『さくらも、もうちょっと荒っぽくなってくれりゃいいんだけどねぇ……』


『相手を驚かせたい、反応を楽しみたいというあたりの比重がね……。自分の方が圧倒的に強い戦いしか体験したことがないのだろう。とはいえ、かなり追い詰めている。あと一歩で勝てる……さあどうだ、武器を失ってなお勝てるのかな?』


 殴り合いになり、噛みつき合いになり、戦いから華麗さや派手さは完全に消えていた。あとに残っているのは、血みどろの殺し合いと憎しみのみ。


『それともまた……目を失くし、手首を奪われてなお君が勝つのかな?』

 ミズチくん指食いちぎってる……まあ「はだしのゲン」でもそういうのやってたし……うん、普通だよね。練習とかできないガチの殺し合いだけくぐり抜けてきたこの子だから、常時ハザードフォームみたいなもんだと考えれば納得でき……うーん。


 そういえば……


ミズチくん≧野郎


素早さ

ミズチくん<<野郎


防御

ミズチくん>>野郎


 ですね。野郎はほんのわずかずつ濃縮してようやっと蒼哭銀手に入れてるから、野生で爪刃両方砕かれたとしたら性能は相当に落ちることに。とはいえ、少ない中からきっちり発見してるあたり気能はしっかりと機能しているようです。傷付いてもただでは転ばない二体、もうちょっとがんばれ、結末は近い。


 七夕だけど、彼氏気取りくん出せなかったか……。次回ですかね。

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