ガチャ1242回目:神速の先へ
「ふぃー……。浄化」
なんだかまだ臭う気がしたので、念のため浄化で周囲の環境をリセットする。モンスターが死んだ以上、そのモンスターが発生させていた痕跡は、物理的破損以外は即座に消えていくものなのだが、まあ気分の問題である。
「旦那様、お疲れ様でしたわ」
「がんばったわねー」
「お疲れさまでしたっ」
「頑張ったご褒美に、よしよしして差し上げましょう」
「おーう……」
そうしていつものように甘やかされつつ、連中の煙を見やる。すると5つの煙の内2つはアイテムへと変わり、残りの3つが大きな一塊へと変貌した。どうやらゲジゲジは3体で十分らしいな。
『ポーポポ』
「ああ、ご苦労様」
いつも通り散らばったアイテムをエンリルが率先して集めてくれたので、撫でて褒める。
あー、しかしここの戦いで随分と気力が消耗したなぁ。あの嫌悪感に、臭気に、トドメの『マナブレイク』だ。まだ大事な1戦が残ってはいるが、正直今日はもう店仕舞いしたいくらい疲れた気がする。
……ああそうだ、『充電』しなきゃ。
『エネルギー残高 77/500』
よしと。
煙の方は……まだ時間がかかりそうだな。
「皆。この戦いが終わったら、今日は休もうか」
「賛成ですわ!」
「はいっ、いっぱい休みましょう!」
「ショウタ君へとへとだもんねー」
「思っていた以上に削られましたね。一番の原因はセンチピードだと思われますが、それ以外にも4桁戦闘を繰り返しましたからね」
「うん。……思ったんだけど、この『マナブレイク』って、俺のやる気までブレイクしてないよね?」
なんというか、急にやる気が減ったように思えるんだよな。
「どうなんでしょう……?」
「まあ確かに、食らう前と後とで、ショウタ君の気力というかモチベは段違いに減ったようにも思えるわね?」
「魔力は気力みたいなところがありますし、否定はできませんね」
「ぐんにょりですのー?」
「んー、ぐんにょりだなぁ……」
『マナブレイク』の効果を見たいところではあるが、流石にそろそろ続きが湧きそうだ。
「……ふぅー。んじゃ、頑張るかなぁ」
そう言って気だるげに立ちあがろうとしたところで、嫁たちに引き止められる。
「ショウタ君、代わりに倒してこよっか?」
「そうです。ショウタさんは休んでいてもいいんですよ」
「私達だけでも『大魔煌石』くらいまでなら問題はありませんし」
「腕の見せ所ですわ!」
「んー……。提案はありがたいんだけど、誰かが『マナブレイク』を受けるのはちょっとな。気が引けるというか、見たくないというか」
「そうだけどー。ショウタ君がここから更に『マナブレイク』を受けて再起不能になる方が怖いというかー」
「いや、それについては対処策がある。事前に分かってれば対策は容易だ」
「そうですのー?」
「あっ。あのスキルですねっ!」
「確かに、あのスキルほどこの場に適したスキルがありませんね」
「もし仮にそれがダメだったとしても、魔力を纏ってれば多分防げるだろうしな」
そうして喋っているうちに俺の気力も回復してきた。そして煙も反応があった。そろそろ君臨しそうだな。
『ギギギギイイイ!!』
「『スキルガード』!」
奴が出現すると同時に最強の防御スキルを展開する。これで『マナブレイク』は怖くないし、他のスキルを使われたとしても一定時間のスキル封じが発生する。その隙に倒して仕舞えばいい。
さて、討伐前にチェックするか。
*****
名前:マナディザスター(ユニークボス)
レベル:450
腕力:5000
器用:4900
頑丈:4800
俊敏:100
魔力:4000
知力:40
運:なし
【Bスキル】超防壁Ⅴ、剛力Ⅵ、怪力Ⅵ、阿修羅Ⅴ、怪力乱神Ⅳ、鉄壁Ⅵ、城壁Ⅵ、金剛体Ⅴ、難攻不落Ⅳ、力溜めⅤ、魔力溜めⅤ
【Pスキル】硬化Ⅵ、全属性耐性LvMAX、物理耐性Ⅵ、魔法耐性Ⅵ、斬撃耐性LvMAX、貫通耐性LvMAX、打撃耐性LvMAX
【PBスキル】破壊の叡智Ⅵ
【Aスキル】毒抗体Ⅴ、再生Ⅴ、ウォールブレイカーⅢ、悪食LvMAX、悪臭Ⅳ
【Mスキル】マナブレイクⅢ、魔力超回復LvMAX
【Sスキル】威圧Ⅴ、強圧Ⅴ、存在圧Ⅳ、恐慌の魔眼Ⅲ、恐怖伝播Ⅲ
★【Eスキル】蕾Ⅳ、毒粉塵Ⅲ、魔力消化Ⅲ、消火液Ⅳ、精神負荷Ⅳ
装備:なし
ドロップ:マナディザスターの胃袋、ランダムボックス
魔煌石:特大
*****
「おっと?」
『ユニークボス』だと?
確認してなかったけど、もしかしたらさっきのレアⅡで目的の宝箱は出ていたのかもな。まあ、出た以上は倒させてもらうがな。
『ギギギギイイイ!!』
『バチンッ!』
早速、馬鹿正直に奴は『マナブレイク』を使用したみたいだ。感覚からして、その対象は俺だけじゃなく嫁たちにも向けられていたみたいだが、俺のスキルで弾いた事で発動そのものが無効化できたらしい。
「それはそれとして……」
俺が目の前にいるにも関わらず、俺の嫁に手を出したな?
「ハーフブースト!」
力を半解放し、構えを取る。
さっきは魔力を全消耗させた状態だったから削り殺せたが、今回は発動をキャンセルさせただけで奴の魔力は全快だからな。生半可なダメージを与えただけじゃ『再生』されかねん。だから、ちょっとばかし本気で行く。
「『時空魔法』タイムアクセル!」
『カチッ!』
あらゆる速度が2倍となり、自身だけが加速する世界に身を置くことで感じる高揚感と全能感が全身を包み込む。
あとはこの高速状態で、『神速』の壁をぶち破る!
「『超速・無尽剣』!!」
相手が知覚するよりも、『再生』が発生するよりも、早く、速く、疾く!
斬って斬って斬って斬りまくる。
そうして奴の原型がなくなるほどまで斬り捨てると、『再生』活動よりも先に命が尽きたらしい。煙に変化していく兆候を目視できた。
レベルアップ通知はまだだが、もうこれ以上はオーバーキルだろうし、終わりでいいだろう。技を中断し、距離を置くとともに加速的に発生していた負荷の原因2つを停止させる。
「ふぅー……」
【レベルアップ】
【レベルが28から644に上昇しました】
【マナディザスターが撃破されました】
【以後一ヶ月間、該当ダンジョンの全モンスターのドロップ率が上昇します】
おー、いいねぇ。
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