ガチャ1218回目:後始末
俺は嫁達に介抱されながら、先程視た宝箱の真の情報である『十戒罰の箱』について教えた。それを聞いた面々の血の気が引いていた。
どうやら、それ相応のとんでもない逸品らしい。
『マスターが無事で本当に良かったわ』
「アズがそんな顔するほどか。まあ、確かにやべー代物ではあったが、皆は『鑑定』しなかったのか?」
『私達が異常性に気付いた時には、もうマスター様の周囲はあの粒子で覆い尽くされていましたから……』
『奈落の誘惑はあらゆる者の正気を奪うとされているのじゃ。それに耐えてみせるなんて、御主人は凄いのじゃ~!』
「まあ俺の場合は2度目だったしな。1度目で耐えれた時に耐性が付いたのかもな」
『パンドラの箱』の真の姿を見たときは、とんでもなく抗い難い誘惑と、頭が割れるかのような頭痛が襲ってきたが、今回はそうでもなかった。冗談のつもりで耐性なんて口にしたけど、本当に耐性ができたのかもしれないな。それを思うと、あの場で誘惑に打ち克ったアキ、マキ、アヤネ、アイラ、ミスティの5人にも耐性ができてたりするんだろうか?
誘惑に終始負けっぱなしだったエスは微妙だけど。
『お母さまからも聞いた事があります。そんな危険な存在を跳ねのけるなんて、流石おにいさんです!』
「ああ、ありがとな」
『ショータ、すごいね。歴代の御先祖様の逸話でも、『十戒罰の箱』は近付くのは禁忌とされてて、見つけ次第破壊するのがベストとされてるのに』
「惚れ直した?」
『うん!』
「飲みたくなった?」
『うん、飲みたい!』
「よし、いいぞー」
『いただきまーす! カプッ』
リリアナが俺の首筋に嚙みついた。
そういう関係になってからというもの、リリアナは俺の血を欲しがるようになった。以前聞いた時は、リリアナほどの大物となれば血の摂取は嗜好品程度のものであると聞いてはいたが、彼女らほどの立場からしてみれば、吸血行為は愛情表現であり求愛行為なのだとか。
まあ普通に考えて、嗜好品扱いになる以上、嫌いな奴の血なんて飲みたくないよな。そんなリリアナは興奮したり俺への感情が爆発しそうになると、俺の血を飲みたくなるらしく、定期的に血を所望していた。とはいえ、一度に飲む量はそんなに多くは無く、注射器で吸い取る程度の量しか飲まないようだったし、頻度も毎日ではなく週に2、3回程度だった。
なんでも、俺の血に乗る魔力が濃いのか、飲み過ぎると酔うらしい。なので彼女は、今日も少量の血をちびちびとと大事そうに飲んでいた。
『……ごちそうさま』
「お粗末様」
リリアナがそっと離れ、頬を紅潮させたままお礼の言葉を言って来た。
ほんと、幸せそうな顔しちゃって。……さてと。
「アズ。ダンジョンに『十戒罰の箱』があるのは知らなかったのか?」
『……何とも言えないわね』
知らないわけじゃないが、明確な答えが用意できないと。もしくは、権限レベルに引っかかる内容だったか。
まあ、なんせ品格があの『奈落』だもんな。『パンドラの宝箱』以降出てこなかった品格だから、個人的主観で言えばこいつは『幻想』と同格……もしくはそれに近しい格のように思える。なんなら、『奈落』の方が上かもしれない。
謎に包まれた品格だが、それくらいの存在感があるんだよな。今の俺の『鑑定』でもこの偽装を見破れないわけだし。やっぱ『幻想武器』より上なんじゃないか?
「リリス。とりあえずアイラを呼んできてくれ」
『はいっ、すぐに連れてきますー!』
ペット組としては一番の新参であるリリスを指名する。嫁達の中に序列は存在しないが、ペット組の中ではそれがある。まあそれが厄介かと言うと別にそんな畏まったものじゃなくて、こういう使いっ走りをお願いする時の優先順位程度のものでしかないようだったが。
その上、彼女達にとっても俺にお願いをされるのは嬉しい事というか、ペット冥利に尽きるそうなので、こちらとしても遠慮なく活用させてもらうことにした。
「さて」
待つ間は暇だな。アズは俺の後ろから抱き着いているし、リリアナは飲みこんだ血を堪能するかのように目を閉じて羽をパタつかせている。なので左右にいるキュビラとタマモをモフり続けるかと判断し、彼女達を抱く腕に意識を割こうとした瞬間、アイラが現れた。
「お待たせしました、ご主人様」
「ああ」
まあ、アイラが来たからといってモフるのを止める必要は無いんだよな。なので構わず2人を愛で倒しながら、何が起きたのか事情を伝えた。
「……なるほど、あの『奈落』品格のアイテムだったのですか。危険ですね」
「ああ。開けて真の姿を見たのに、箱を閉じた瞬間から俺の『鑑定』を弾くほどの偽装能力。更には破壊可能という文言で俺を誘惑する悪辣さも持っている」
もし素直に破壊しようものなら、世界に終焉を招くとんでもない爆弾が、世界のどこかで生まれてしまうだろう。異世界組の認識としては、それでも構わないから目の前から消し去るのが常識らしいが、俺はそんな危険な真似をするつもりはない。
「アイラ、他の宝箱と混ざっては大変だから、これ専用の封印を施したい。特殊な金庫に封じておきたいんだが、用意はあるか?」
「はい、こんなこともあろうかと」
流石すぎる。
「ご主人様がやることですから、準備は万全にしておきませんと私達の首を絞める事になりかねません」
「そう言われると、返す言葉もない」
これを引き当てたのは『運』が良いか悪いかで言えば、良い方なのだろうと思う。他の人間が知らずに引き当て、ダンジョンではなく街中で開封してしまっていたとしたら……。考えるだけで恐ろしいな。
読者の皆様へ
この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、
ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。
よろしくお願いします!











