ガチャ1216回目:ふれあい会
さて、予期せぬ形で聖地が広がった訳だが、どうするか……。
そう思っていた矢先、不意に腕が引っ張られ、柔らかいものに包まれた。
「ショウ君、安心して。こんなこともあろうかと、この周辺の土地の買い取りはあらかた済ませておいたから」
「そうなんです?」
流石サクヤさん。でもいくら人口が減ったとはいえ、都心の近くで直径10キロメートルに及ぶ巨大な土地を確保するのは難しいと思うんだが……。
「ま、ショウタ君だし? 『聖域の神像』によって聖地が出現しただけで終わると思わなかったもん。絶対それに近い何かが起きると予想してたし、それは一般の人達だってそう。おかげで、世間にも周知はし易かったわ」
「高レベル冒険者が出す圧の強さは、もう世間には一般常識として知れ渡っています。そして外出時は意識的に抑えていても、家の中では羽を伸ばすものです。なので、付近に居を構えても良い事は無いと分かっていらしたようですし、何よりショウタさんはこの国の英雄です。拒絶される方なんて居ませんよ」
「ですが周辺地域一帯に何もなくなったわけではありませんわ。以前旦那様にもお伝えしたように神像によって恩恵を得られるような施設をいくつも誘致してきましたし、一部地域は聖地に合わせた住宅街ができる予定ですわ。
「そうか」
それなら安心だ。
「それに、以前話題に上がっておりましたルミナスふれあい会場も用意する事ができましたわ」
「お、そうなのか」
『キュ~!』
「これも、広い土地が無ければ用意出来なかったものです。ちなみにルミナスには既に試遊してもらっておりまして、『真水変換装置』と『海水の宝珠』の両方を使って水と海水の2種類で泳いでもらいましたが、ルミナス的には海水の方が心地よいそうでした」
「まあ、元々海にいたもんな」
『キュキュ~♪』
それに、確か塩分濃度が高い方が身体が浮くから、泳ぎやすいって話もあったよな。ルミナスは見た目通り体重が重いから、普通の真水だと浮き続けるのは大変なんだろう。まあ、スキルを使えば余裕そうだけど、極力外では使わないようにっていう俺の命令を護ってくれてるんだろうし、無理はさせたくないな。
その後も詳しく聞いてみれば、俺達の家の周囲こそ何もないが、聖地の外周付近では様々な施設が建てられていて、あちこちで再開発が進んでいるんだとか。第二世代用の学校とかも建てる予定らしいし、今から楽しみだ。
「とりあえず、聖地に関しては心配無用ってことだな。この先の開発も、サクヤさんや協会に任せるよ」
「ええ、任せて。それで例のふれあい会だけど、明日開催予定なのよ」
「そうなの? 随分急だね」
「それくらい、参加者からの要望が強かったのよ」
「あー……」
確かに、ふれあい会の発表をした当時の反響は、相当デカかった。ルミナスを画面越しに見た人達からの会いたいって問い合わせが、姉妹放送だけでなく、協会にも相当数押し寄せてたみたいだし。あの発表は俺の思い付きと勢いがほとんどだったから、直接の問い合わせフォームなんて用意してなくて、その件では皆にはだいぶ迷惑掛けちゃったな……。
けど、ルミナスの事を紹介する上ではふれあい会の存在は避けては通れない道だと、当時の俺は咄嗟に思ったんだよな。なんせ、以前アズ達にルミナス伝説の話を聞いてたからだ。
異世界からこっちに来た時の弱体化と、スキルによる『弱体化』で弱くなったとはいえ、一般人とルミナスではまだまだ隔絶とした壁が存在する。そんなルミナスの可愛さを一般人が見たら絶対にメロメロになるし、開催しなきゃ暴動が起きてたかもしれない。今でさえ、開催はいつなのかと切羽詰まってる人もいるって話だし。
『キューキュ。キュキュ♪』
「ご機嫌だなルミナス。開催が楽しみなのか?」
『キュー♪』
一応ふれあい会開催までの時間稼ぎとして、ルミナス人形なるものを作って販売してみたけど、即座に完売したんだよな。ルミナス人気、恐るべし。
見た目はただの白いアザラシで、サイズも人間の子供サイズ程度のもので、ルミナス要素がほとんどなかったんだが、それでも売り切れるとは思いもしなかった。公式から出ていると言えどだ。
流石に本物と同じ1/1スケールはデカすぎるしと加減をしたんだが、もしかしたら必要なかったかもしれない。いや、流石に邪魔か? うちだからこそ飼えているが、一般家庭のこのサイズは……。
『キュ~?』
「……なんでもない」
撫でて誤魔化す。
やっぱりルミナスの可愛さは、このサイズ感もあるよなぁ……。でもやっぱり一般には無理だろ。うん。
◇◇◇◇◇◇◇◇
その後、聖地の話は嫁達に任せ、俺はアズ達ペット組を連れて『バトルアリーナ』に来ていた。その理由は勿論、例の宝箱開封のためだ。とはいえ、一般人や冒険者がいる場所で開ける訳にはいかないので、関係者専用空間の奥にあるスライムが出現する空間へと向かった。
そこは管理者の俺が許可をした人間しか辿り着けない場所であり、一般の人間はまず立ち寄れない隔離された空間だ。ここなら誰かが巻き込まれる事は無い。まあ、スライムは巻き込まれるかもしれないけど、それはそれ。
『プルプル』
『プルプル』
スライム達があちこちで自由気ままに転がっている。この空間は集合体スライムの宝石のために、前の機能を残した空間ではあるのだが、ここ以上に稼ぎに適したダンジョンがあるので、結局使ったことなかったな。
そんな空間のど真ん中に宝箱を置き、俺はその目の前にどっかりと腰を据える。
『マスター、あたし達は距離を置けば良いー?』
「ああ、それで頼む」
『ショータ、どんな感じでやな感じなの?』
「んー、漠然とはしてるんだが、家の中でやると子供に甚大な悪影響が出るレベルで嫌な感じがしてたな」
『今はどうなのですか?』
「ちょっと嫌な予感程度?」
『御主人のちょっとは幅が広いのじゃー』
「んー。死にはしないが、扱いを間違えるとヤバいかなーって感じ」
『おにいさん、それって大丈夫なんですか……?』
「念のため、全員この前教えた魔力を全身に纏うやつやっといて。それでも仮に俺が石化とかしたら、ヒーラー呼んできて」
『『OK』』
『『はいっ!』』
『はいなのじゃ!』
さーて、問題の『ブラックコカトリス』の箱は何を出すのかなっと。
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