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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十二章 秘密の園

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ガチャ1200回目:ヘドロ実験

 レアⅡは倒したし、あとは地神塔を壊すだけなのだが……。

 チラリとまだ滝のような存在感を持ったウォーターウォールを眺める。


「ふむ……」

『マスター、どうしたの?』

『壊さないのですか?』


 戦闘が終わった為、皆集まってくる。三姉妹とエス達はウォーターウォールの方に興味津々だったが。


「もうお兄ちゃん、もしかしてまだ実験し足りないの?」

「『石化ブレス』に何度も腕を突っ込まれた時は、とてもハラハラしましたわ」

「ほんと、お兄様は検証が好きだよね☆」

「でもブレスはもう残ってないよー?」

「いや、俺が検証したいのはアレだ」


 俺が指差した先のものを見てカスミ達はクエスチョンマークを浮かべたが、次第に理解が追いついたのか納得した表情を見せた。


「確かに。アレはよく分からないままでしたね」

「浄化が効く以上悪しき何かであるのは間違い無いのでしょうけど……」

『主君、よもやアレに手を突っ込もうなどと……』

「安心しろ、そこまで無謀なことはしない」


 多分、突っ込んだ腕は消失しかねないし、最悪治療を受け付けないまま腕がロストする可能性も考えられる。そんな危険物に手を突っ込んだりはしない。

 石化も十分恐ろしい状態異常ではあるが、対策可能かどうかの線引きは大事だからな。できること・できないことを知っておくのは行動の制限に繋がるから、かなり大事なことだと思う。


「リリアナ達、そこは危ないからちょっと離れてろー。ああ、エスとシルヴィはそこで問題ない」


 巨大ウォーターウォールを間近で観察していた三姉妹を下げさせ、一部の制御を開放する。すると途端に地上に出現していた水の壁は決壊し、濁流となってクレーターに雪崩れ込んだ。

 大量の水がクレーター内に押し寄せるが、ついぞ水が溢れ出ることはなかった。濁流の勢いが弱まり、水の総量が減っていくと、クレーター内の水も徐々に減っていき……。


「やっぱダメか」


 漆黒に蠢くヘドロは、大量の水を飲み込み、どこかへと連れ去ってしまったようだ。


「ブラックホールみたいに全部吸い込んだな」


 まるで底なし沼だ。


「お兄ちゃんが昨日、絶対に穴に落ちるなって言ってた意味、よーく分かった……」

「今日はマシになっているだけで、昨日はあのヘドロが穴の中に大量に詰まっていた可能性が高いと言うことですよね?」

「ひぇー、ゾッとする……」

「あれは一体何なのでしょうか……」

「きっと悪しき存在ですわ……」

「お兄様、あたしこわーい☆」


 浄化で消し去れるとはいえ、俺も怖いっちゃ怖い。明るくなっても何かわからないままだし、触れたら終わりだもんな。このダンジョンをクリアしたら分かるんだろうか?

 ……どうせ権限不足で弾かれるだろうけど。


「アズはあれに心当たりはあるか?」

『……ないことはないけど、流石のあたしでも確証は無いわ』

「そうか。他の皆は?」

『私は存じ上げません……』

『わたしも知らないですっ』

『私も知らないわ』

『我も噂で耳にしたことは有れど、直接見た事はありませぬ』

「そうか」


 知ってるのはアズとイクサバだけで、実際に見聞きした事は無いとなると……かなり珍しい類のようだな。


「アズ。アレが意志を持って襲い掛かってくる事は?」

『それはないわね』


 直接知りはしなくても、断言はできるのか。


「なら、今は良いか」


 これ以上確認する事は無いし、さくっと終わらすか。

 浄化をばら撒いてっと。


「『閃撃・剛Ⅳ』!」


『斬ッ!』

『ズオオオオッ!!』


 またしても斬り裂くと同時に、地神塔の内部から黒いヘドロが噴き上がり、空へと昇り始めた。そうしてそれが消えていくと、次第に世界が明るくなり……。


『キャンッ!』


 大体明るさ+70といったところか。ここまでくれば、確実に次で明るさMAXにまでなるだろうな。

 だが、今のところ鍵の欠片は存在していないし、妙なモンスターは第一層で遭遇した『マリーチー』くらいだ。第四層を終わらせたとき、どんな変化があるのか……。実に楽しみだ。


「んじゃ、そろそろ飯にしようか。エス、お前のマップ移動を使ってくれるか?」

「OK。第一層の入口でいいのかな?」

「ああ。実際に飛べるかは分からんが、失敗したらその時は歩いて行けばいいさ」

「わかった。いつでも良いよ」

「んじゃ、皆集合ー!」


 そうして俺達は第三層から脱出した。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「ん。今日はそっちから来るんだね」

「おかえりショウタ」

「ミスティ、シャル。ただいま」


 どうやら、今回の転移は上手く作動したようだ。ちゃんと、指定した通り第一層の入口にある拠点の前に出現したようだ。明るさが解放されたからか?

 機能した理由は分からんが、まあ上手くいったなら良かった。


「父さんが帰ったぞー」

「だう~」

「だー」

「あい」

「にぃ~」


 出迎えてくれた嫁達を順番にハグし、子供達を抱き上げる。

 そうして皆が集まって来て大人数での昼食を摂りつつ現在の攻略状況を伝達した。


「……そう。本当に今日中に終わりそうなのね」

「けど、まだ『幻想(ファンタズマ)』級の武器や秘宝は見つかっていないんですのね」

「ですがご主人様が見逃してるとも思えませんし、ボスの前後で出て来てくれることを祈るしかありませんね」


 まあ現状、ボスがどう出てくるかも想像がつかないんだが。


「それにしても、なにもかも飲みこむヘドロですかー。まるでアレみたいですね」

「ちょっと、マリー……!」

「ん? アレって?」

「あっ、いえ、そのー……」


 マリーがモゴモゴし始め、テレサが頭を抱えている。


「もしかして、カタコンベにも似たようなものがあったのか?」

「……はぃ、そうです」

「へぇ……。面白いな」


 このダンジョン特有ではなかったにしろ、似たようなものがあるって事か。アズも心当たりがあるようなこと言ってたし、専用ギミックって訳ではないと。

 俺の反応を見て、2人はほっと胸をなでおろした。別に怒んないのに。


「そっちではヘドロの事、何て呼ばれてたんだ?」

「アビムと呼ばれてました。日本語に訳すと、奈落ですね」

「奈落か……」


 確かに、どこまでも引きずり込まれそうだったな。

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