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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十一章 雲海の先へ

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ガチャ1152回目:平和な攻略

 リリアナとは敵対する空気じゃなくなったし、今の俺では彼女を『テイム』する事ができない。なんならいつもの(フルブースト)手段(フルプレッシャー)も、スキル封じによって半分以上が使用不可だ。いくつかは使えはするも、効果の損耗は半減以上だ。

 それが分かった以上、敵対する理由はもっとなくなった訳だ。なので俺はそのまま部屋の中央で胡座を組んで座り込む事にした。


『あ、そうね。お話するものね!』


 するとリリアナも、それに倣ってか玉座を降りて俺の前にちょこんと膝を抱えるように座り込んだ。彼女は自分がスカートなのを忘れてるんだろうか。思いっきり見えてんだけど……。そしてこの画角だと、タマモのカメラにバッチリ映っちゃってるよなぁ。

 どうせ後で怒られるんだし、このままでいいか。


「そっちは玉座で良かったのに」

『良いのよ。だって、貴方とは戦わないでしょ?』


 それは、この先の展開次第ではあるんだがな……。だというのに、無邪気にニコニコしちゃってまぁ。毒気を抜かれるなぁ。戦う気がまた遠のいたぞ。


「んじゃ次の質問だが……」

『ええ、なにかしら?』

「この館の玄関ホールにあった張り紙なんだが」

『あっ。な、中には入ってないわよね?』

「入ってないぞ」

『良かった~』


 心から安堵したかのようにリリアナは息を吐いた。そんなに観られて困るものがあったのか。となると……。


「あの先は挑戦者への報酬だとか、私室とか、そういうのがあったのか?」

『そうよ。張り紙に気付いて、従ってくれて嬉しいわ』


 この子、あまりに世間知らずすぎて不安になるな。俺が嘘をついているとか思わんのかね。


「続けての質問になるが、第3の島にいた人狼は部下なのか? 君とは相性が悪そうに見えるんだが」

『アイツらは部下でもなんでもないわ。弱いくせに偉そうだし、平気で嘘吐くし、嫌いよ! だから、貴方が倒した時はスカッとしたわ!』

「そうか。そりゃ良かった」


 これも本心だな。

 やっぱそうだよな、あんなのが大事な部下なわけないよなー。


『じゃあ次、わたしが質問して良い? 2回分!』

「良いぞ」

『えっとね、貴方は最速でここに来てくれたけど、他にも挑戦してくれそうな人間とか、知ってるかしら? いつ来てくれそうだとか、教えて欲しいの!』

「あー……」


 なんというべきかな。言葉に迷うが、この子には嘘をつきたくはないんだよな。さっき、人狼のこと、嘘つきで嫌いって言ってたし。


「その、な。悪いんだけどこのダンジョン、まず立地が最悪だ。こんなはるか高みにあるダンジョン、普通の連中はまず辿り着けない」

『えっ!?』

「それからこんな場所にあるダンジョンを攻略しようなんて気概と実力を持った人間は、世界を見渡したってそうはいない。いたとしても、自分の国にあるダンジョンで精一杯のはずなんだ」

『じゃあ、貴方達はどうしてきたの?』

「俺たちは、この世界で唯一ダンジョンの完全攻略を成してるんだ。だから割と自由に動ける。……こんな空高くに浮かぶ居城に挑めるくらい人類が成長するには、まだまだ何年も、下手すると10年かかると思うぞ」

『そ、そんなー……』


 リリアナは項垂れるように落ち込んだ。


『せっかく、頑張って作ったのに……』

「ごめんな。嘘は吐きたくなかったから、正直に言っちゃって」

『……』


 うーん、ガチ凹みしちゃったぞ。

 ちらりと背後で壁にもたれかかっているエスを見ればお手上げのポーズをしているし、首元にいるタマモを見れば、なんとも言えない表情をしていた。これは憐れんでるな。狐になっても表情豊かだなー、タマモは。

 ……そういえば、さっきから一言も喋ってないな、タマモ。空気を読んでくれてはいるんだろうけど、なんというかそれ以外にも理由がありそうな気がするぞ?

 タマモの頭をツンツンしてみる。


『キュン』


 鳴いた。言葉ではなく鳴き声で返事をするということは……。


「まさか、顔見知りか?」

『……キュン』

「他の嫁達も?」

『キュン……』


 マジかよ。


「世界狭くね?」


 タマモは無言で俺のアゴをペチペチと叩いてきた。どうやら、俺のせいだと言いたいらしい。

 その気持ちは分からんでもないが。

 そうしているとリリアナが顔を上げた。その瞳には涙を浮かべているが、涙を流さないよう我慢しているようだ。よっぽど悔しかったんだな。


『うぅ……』

「大丈夫か?」

『だ、大丈夫。ありがと人間さん』


 うーん良い子だなぁー。

 とりあえず撫でてあげよう、よしよし。


『あっ……。えへへ、人間さんに撫でられちゃった』


 可愛い。


『あっ、それでね、もう1つ質問! 良いかな?』

「良いぞ」

『人間さんの服の中にいるその狐さん、妖狐だよね?』

「ああ」

『わたしの知り合いにもね、妖狐の子がいるの。懐かしいなぁ。人間さんは、その子を他のダンジョンから拾ってきたの?』

「そうなるなー」

『……』


 タマモが気まずそうにしている。ネタバラシしても良いが、それはいつにすべきか……ふーむ。


「なあ、リリアナはこれからどうするんだ? 待っていても誰も来ないんじゃ、暇でしょうがないだろ」

『……』

「暇ならうちに来ないか? スタンピード設定をしてないなら、ダンジョンボスでも外に出られるんだろ?」

『えっ、そうなの?』

「ん? そのはずだが……」


 実際問題、リリスやタマモがそうだったのだから、行けるはずなんだが……。そう反応されると、思い違いだったのではと不安になるな。


「あってるよな?」

『キュン』


 タマモが頷いてるし、合ってたようだ。

 ドヤ顔で間違った考察垂れ流してたとしたら、しばらく立ち直れなかったところだ。


「それで、どうする?」

『……人間さんがわたしのことを思って誘ってくれてるのは嬉しいよ。けど、お断りするわ。ここを任された使命を放棄する訳にはいかないし、次の挑戦者が来るのを何年でも待つわ』

「そうか、残念だ」

『ごめんね。でも、嬉しかったわ!』

「俺と一緒に来たら、このダンジョンだけじゃなく、いろんな挑戦をする人間の姿を見せられたのになー」

『えっ!? ほ、ほんとに!?』


 うわ、予想以上の食いつき。しかもこの反応、全然疑ってない。やっぱり、この場に置いていくのは不安が残るな。変な奴に騙されないか心配だ。

 仕方ない、あの手を使うか。


「リリアナ、そういえば欲しいものがあればくれるって話だったな」

『ええ、わたしに用意できるものに限るけど』

「そうか。じゃあ……」


 俺は真っ直ぐ指差した。


『……? もしかして、あの玉座が欲しいの?』

「違う違う」

『あ、じゃあ玉座に備え付けてる『幻想(ファンタズマ)』のアーティファクト? ダメダメ、あれを渡したらこのダンジョンが機能しなくなっちゃう!』

「そっちも違う」


 気にはなるけども。


『ええ? じゃあ何が欲しいの??』

「ほら、俺の指は何を指してる?」

『えっと? ……わたし!?』


 ようやく理解したか。


「そうだ。お前が欲しいんだよ」

『えっ……ええー!?』

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