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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15に発売決定!】  作者: 皇 雪火
第三十一章 雲海の先へ

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ガチャ1150回目:突貫工事

「今度は真ん中以外全部消えたか」

「ある意味予想通りだね」


 そんな会話をしつつも、俺たちはひょいひょいと足場を通り越していく。


「逆にこれ見よがしに消えてない真ん中は、罠なんじゃないかって普通なら疑うレベルだな」

「あると思うかい?」

「ここまで来たら無いだろ」


 その足取りに迷いはなく、僅か1分足らずで曲がりくねった見えない足場の半分を攻略した。


「到着っと……おお?」


 俺たちが中央の見える足場に辿り着くと、そこから先の見えなくなっていた足場が突如として出現した。中央の足場はいくつか横並びになっていたので、エスも俺と同様に目の前の光景に足を止めていた。


「これは、ボーナスかな?」

「いやー、どうかな。最初に見えてた足場と若干違うのが入り混じってるぞ」

「……ああ、本当だね。最初に記憶したものとの相違で惑わせようって魂胆かな?」

「だろうな。けど、一度この状態で表示された以上、足場の位置は完全に更新されたと見て良いだろう。エス、覚えたか?」

「もちろん」


 また1歩踏み出せば、足場はまた消失。そうして最初に覚えた位置取りではなく、更新された足場に沿って俺達はどんどん進んで行った。その後、結局何の苦労もトラブルもなく、淡々と見えない足場ゾーンを攻略した俺たちは、最後の島へと辿り着いた。


「到着っと」

「ゴールだね」


 すると、俺たちの視界に宮殿のように巨大な洋館が出現した。遠目じゃ確認が不可能だっただけで、エスの言う通り本当に建造物があったんだな。


「ずいぶん立派だねえ」

「なんか、おどろおどろしいな?」

『何が出て来てもおかしくないのじゃー』


 どんより空は継続しているが、それを抜きにしてもこの建物からは、オバケが出そうな暗い空気感を感じた。洋館の外壁も赤褐色だし、少なくとも中にいるのは善性の存在とは思えんな。

 島を見渡してみるが、この建物以外何もなさそうに見えるし、このまま中に入るとするか。


「たのもー」


『ギギギギギ……』


 コンコンと扉をノックすると、玄関が音を立てて開いた。そうして中へとはいると、そこは赤を基調とした区間が広がっており、気温は心なしかひんやりとしていた。けど、外とは違ってしっかりと明かりが灯っており、住む分には問題のない緩やかな雰囲気をしていた。


「外と中では随分とイメージが違うな」


 俺は玄関ホールを見渡している間、エスは目を閉じて館全体の気配を感じ取っていた。


「兄さん。この館、各部屋がしっかりと作られているみたいだ。ボス部屋みたく、一方通行ではなさそうだね」

「そうか。となると、一通り探索するのが良さそうだが……ん?」


 よく見ると、正面の大扉を除いたすべてのドアに、張り紙が貼られていた。どれも同じ文字のように見えるが、それは知らない言語で書かれており俺の『知力』を持ってしても完全な理解はできなかった。

 何かの罠かと思って『解析の魔眼』を使うが、魔力反応はほとんどない。なら、触れれば内容が読み取れる石碑のようなものかと思って触れてみるが……それでも読めない。


「なんだこれ。エス、分かるか?」

「……いや、僕も知らない言語だ。少なくとも僕が知る限りだけど、地球の言語ではないと思うよ」


 そうして俺は頭に乗っかっていたタマモを掴んで目の前まで持ってくる。


『……』


 これは知ってる顔だ。


「ネタバレを許可するぞ」

『ふぬ。これは向こうの世界の言語なのじゃ。それも一部の種族しか使わぬから、読み取れなくても仕方ないのじゃ』

「そうだろうなとは思っていたが……。けど、今までは知らない言語でも触れれば読めたぞ? 何で今回は読めないんだ?」

『簡単な話なのじゃ。これはダンジョンが生成したものではなく、このダンジョンができた後に書き足されたものなのじゃ』


 書き足した。……って事は!


「ここの館に住んでるやつが、俺たちの侵入に気付いて慌てて書いたってことか?」

『そういうことなのじゃー』


 なるほど。そりゃダンジョンの翻訳機能も働かないし、読み取れないはずだよ。


「それで、なんて書いてるんだ」

『立ち入り禁止、と書いてるのじゃ』

「立ち入り禁止??」


 しかも、正面以外の全部の部屋にか? 

 ダンジョンができる前に設定してなかったって事は、こんなにすぐに辿り着かれるなんて想定していなかったって事だろう。それで慌てて手書きで注意書きを残していったと。

 ……あー、絶対ここの住人、面白いやつじゃん。


「けど、立ち入り禁止かー」


 そう言われれば入りたくなるのが人間というもの。


「罠もなさそうだし、入っちゃおうかなー」


 そう言いながらドアに手をかけてみる。もちろんフリであり、本当に開けるつもりはないのだが……何もアクションはなかった。


「む」


 反応がないのはつまらんな。玄関のノックで開いた以上、こっちの反応は見えてるはずだけど、心でも読まれたか?


「エス」

「奥に強そうな気配はある。空気的に、そわそわしているみたいだけど、これといって他に反応はないね」

「ふむ」


 じゃあ今の状況を見られてないのか。けど、こんな張り紙なんて手段を取るくらいだ。入られたら困るのは事実なんだろう。けど杜撰な対応からして、対応策が他になかったと見える。

 開けてみるのも面白いが、こじれるのはよろしくないな。


「良いのかい?」

「ああ、人が嫌がる事はしたくないしな」


 そうして俺たちはそのまま反転し、唯一張り紙のない大扉を開ける。すると奥に続く回廊が現れた。やっぱこの館、普通の建物じゃないよな。どう見ても、魔王城と同格の雰囲気をしているし、部屋の構成とか他でも見たことのある感じだ。

 ……ん? 魔王城??


「なあタマモ。もしかしてこのダンジョン、一層だけか?」

『流石御主人、正解なのじゃ!』

「あー……。タマモが『アトラスの縮図』がバグったかもしれないって言ってたのはこれか。次への階段が見当たらなくて混乱したんだろ?」

『うっ、そうなのじゃ~。御主人にはバレバレなのじゃ~……』


 しょぼくれるタマモを撫で回す。可愛いやつめ。まあ確かに、初めて使ったのに次層への階段が表示されなかったら困惑するよなー。気持ちは分かるぞ。

 ってことは、この先ボス部屋か。まさか攻略開始数時間で到着するとはな。

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