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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十一章 雲海の先へ

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ガチャ1148回目:牙狼兵団

 アイラ仕込みの瞬動と『バックスタブ』を駆使する事で、人狼は闇の中で俺を見失っていた。即座に五感を総動員……特に嗅覚を使って俺を感知したのは流石だが、一瞬見失うだけでも致命傷だ。


『斬ッ!』


【レベルアップ】

【レベルが102から104に上昇しました】


「うん、流石の切れ味」


 短剣で剣と同じような斬撃は不向きかと思ったが、リヴァイアサンダガーの格と刃延長の効果をもってすれば、武器種の違いなど些細な事でしかなかったな。まあ短剣として戦ってるとは言い難いから、あまり胸を張った戦い方とは言えないが。

 それにしても……。


「闇が晴れんな」

『晴れんのじゃ~』


 レア戦が完全に終了するまで、このトラップは終わらないという事か。仕方ない、エスを呼んで、この現象の勘違いを少し正すか。

 背後にいるであろうエスに向けて手招きすると、それだけで察したエスが闇の中から現れる。『風』の兆候を感じたところからして、随分遠くにいたみたいだな。


「呼んだかい兄さん」

「ああ。ちょっと暇だし、その間にこの闇について思った事を訂正しようかと思ってな」

『ふむー?』

「聞かせてもらおうかな」

「まずこの闇だが、『暗視』による視覚補正効果がない。普通の、光量が足りずに暗くなってるわけじゃないからな」

「そうだね」

「だというのに、連中は『暗視』を持ってる。けど、それ以外に闇に対抗するためのスキルを持っていない」

「……確かに」

「だから、そもそもこの闇は侵入者側である俺たちにしか効果が発揮されていない可能性が高い」

『なるほどなのじゃ~』


 感心した様子のタマモを撫で回す。


「タマモ。俺的にはフィールドギミックかと思ったんだが、マップには表示されてなかったか?」

『特に記載はなかったのじゃ』


 特定位置を踏み抜く事で作動するトラップとかなら、俺も事前に感知できるし、『解析の魔眼』で見分けられる。だからマップには情報が映ってるかと予想してたんだが……外れたか。


「あと、闇に付随する形でもう1つ。スキル封印も、俺たちだけしか対象になってないよな」

「そうだね。モンスターは普通にスキルを使ってるし、たかが本体依存の分身スキルが『伝説(レジェンダリー)』な訳ないだろうしね」

「だよなー」


 分身を出して独自に行動させるって点で言えばそれなりに強いスキルではあるが、『天罰の剣』と比べればどうしても見劣りするからな。

 ……あ、今の俺『天罰の剣』使えるじゃん。使ったらその瞬間周辺の雑魚が死滅するから使わんけども。


「考察はこのくらいにしておこう。次がお出ましみたいだ」


 目視できる範囲で煙が膨れ上がり始めた。

 流石にこの近距離で次が出るのを待機するわけにはいかないよな……。


「じゃ、僕は下がるね」

「おう」


 俺もちょっと下がるか。

 そうして20メートルほど離れた場所で待機する事数十秒。先ほどの人狼が子供なのではと思える気配が出現した。


『グルルル……人間の匂いがするぞ!』


『ズン! ズン!』


 人語を解す存在は、地面を大きく揺らしながらその姿を現した。闇の中からヌッと出て来たのは、3メートルを越す巨体の人狼だった。


*****

名前:シルバーワーウルフ

レベル:180

腕力:2000

器用:2100

頑丈:1900

俊敏:2000

魔力:3000

知力:500

運:なし


(ブースト)スキル】剛力Ⅲ、怪力Ⅲ、鉄壁Ⅲ、城壁Ⅲ、俊足Ⅲ、迅速Ⅲ

(パッシブ)スキル】身体強化LvMAX、斬撃耐性LvMAX、貫通耐性LvMAX、打撃耐性LvMAX、体術LvMAX、獣爪術LvMAX、痛覚耐性Lv8

PB(パッシブブースト)スキル】統率Ⅱ

(アーツ)スキル】暗視Ⅴ、嗅覚強化Ⅴ

★【(エクス)スキル】群影Ⅴ、牙狼兵召喚Ⅲ


武技スキル:修羅の舞、牙狼連刃

装備:牙狼兵団長のバグナウ、牙狼兵団長の特殊レザー一式

ドロップ:ランダムボックス

魔石:極大

*****


 ほぉー。久々に人語を解すタイプの敵だな。そしてスキル構成的に、さっきのレアを呼び出せると見た。それも複数。

 戦力的には申し分なし。遊び相手としても良さそうだ。あとはコイツをイクサバのように扱うかどうかだが……。その辺は、コイツの性根次第ではあるよな。

 いや、もっと大事なところがあったな。人喰い系かどうかだ。


『グルル……獣臭いと思ったら、妖狐のガキを連れてるのか。しかも人間の雄だと? ちっ、せっかくの出番だと思ったら、こんな不味そうな狐とオスかよ!』

『御主人、コイツは処分して欲しいのじゃ』

「同感だな。嫁をエサとしか見ないコイツは論外だし、遊び相手としても落第だ」

『ああっ!? たった1人で息巻いてんじゃねえぞ小僧! 牙狼兵団を舐めてんのか?』


 奴が怒りを露わにすると同時に、先ほど撃破したレアが3体、そしてレアの『群影』が9体、レアⅡの『群影』が5体出現した。これだけ見れば立派な軍隊だが、それだけだな。

 隠れているとはいえエスの気配にも気付けず、俺とタマモの実力すら読めない小物だ。しかも、発言内容からして明らかに人類の敵。……まあタマモの場合は、今服の中にいるから尻尾の数が見えないんだろうけども。

 とにかく、こいつは『テイム』する価値はないな。『バトルアリーナ』のヒール役に登録してやろう。


『グルル!』

『グルルルル!』


 レア連中を視れば、しっかりとステータス表記があるし、レベルもある。ということはドロップはちゃんとあるということだが……レアⅡへの進化はするのか?


『な、なんだと!?』

『グルッ!?』


 俺は考え事をしながらも、最初に飛び込んできた『群影』の群れを全て斬り捨てた。そして続け様に身を引くレア3体も、1体ずつ順番に屠って行く。


【レベルアップ】

【レベルが104から106に上昇しました】


【レベルアップ】

【レベルが106から107に上昇しました】


【レベルアップ】

【レベルが107から108に上昇しました】


『お、お前は一体……』


 ようやく理解できたのか、人狼のボスは後退りを始めた。だが、今更気付いたところでもう遅い。

 俺はアイラとキュビラの3人で、一緒になって考案した新技を発動させることにした。


「ふぅー……『絶空』!」


 奴からしてみれば、正面にいたはずの俺は完全に消えて見えたことだろう。実際俺は音もなく背後へと出現していたが。

 そんな俺が持つ短剣にも血は付着しておらず、高速で振動する水が美しく煌めくだけだった。通り過ぎた人狼は、何が起きているのか分からず混乱しているようだった。

 どうやら、ちゃんと()()()()()()ようだ。


『? ……??』

「これは助言だが、あまり激しく動かないことを勧める」

『!? 後ろ――』


 慌てて振り向いた人狼は、首元から鮮血を噴き出しながら頭を地面に落とした。その顔は、自分の身に何が起きたのか理解できていない様子だった。

 遅れて、鮮血は煙へと変わっていき、奴は断末魔を上げることなく消えていった。


【レベルアップ】

【レベルが108から224に上昇しました】


「あーあ、せっかく()()()()()()()()()のに」

『フン、駄犬に相応しい惨めな最後なのじゃ!』


 ま、タマモがご機嫌だしよしとするか。

読者の皆様へ


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