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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十章 束の間の休息

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ガチャ1127回目:戦争の原因

 さて、改めてこのアイテムの詳細から確認し直すか。


 名前:千年亀のリキュール

 品格:≪幻想≫ファンタズマ

 種別:酒

 説明:千年亀の血肉を漬け込む事で作られた100年物のリキュール。水割りで飲むだけでも10年は無病息災となり、原液であれば寿命が伸びると云われている。不老を求めた者達によって、戦争が起きてしまった記録すらある至極の逸品。

 ★ハイ・ヒューマンには寿命延長の効果はない。

 ★直に香りを嗅げば幻惑に囚われ、どれだけの精神力を有していても耐え切ることはできない。

 ★一度幻惑に囚われた者は、この香りを想起するだけで精神力・状態異常耐性が低下する。

 ★香りの残滓に幻惑効果はないものの、罹患者の誘発は起きる。

 ★幻惑から抜け出すには耐性が必要。


「いや『幻想(ファンタズマ)』っておま……!」


 品格変わってんじゃねえか!


「しっかしとんだ罠だな。しかも永続的なトラップ付きときたもんだ」

「香りを思い出すだけで再発なんて……どうりで戦争なんて起きてしまうわけね」

「一度精神支配されれば、あとは倫理観もガバガバになっちゃうんですねー」

「問題は耐性の有無よね。私達はお酒が好きだからすぐに目が覚めた……なんて訳でもなさそうなのよね。ショウ君は飲んではくれるけど、好きってほどでもないし」

「まあ嫌いでもないですから」


 それにわざわざ耐性って書いてるってことは、なんらかの対処方法があるってことだ。まずはすぐに正気に戻った面々のスキルから確認するか。

 サクヤさん、アズ、タマモ、キュビラ、ベリアル、イクサバ、アキ、アイラ、ハヅキ、イズミ、エス、シルヴィ、ミスティ、テレサ、マリー、クリス、シャル……。この中で考えられるのは――。


「『酒耐性』の有無か」

「あー。なるほどね、確かに全員は持ってないわね」

「必要ないと思って、取っていなかったですわ……」

「そういう事なら、僕達が先日攻略したダンジョンで『酒耐性』を溢れるほど入手したから、山ほど在庫があるよ」

「ん。エスの割に準備がいい」

「あたしのおかげね!」

「そうだね。シルヴィがあのダンジョンを選んだおかげだ」


 そういや、エス達第三チームは今朝の段階でまた新たにダンジョンを攻略してたな。おかげで、太平洋側の楔の結界エリアがまた広がっていた。No.は幾つだったか……。814とかだったかな? 場所はサンクレメンテ島だとかなんとか。


「んじゃLvMAXにして全員分配るか。増殖実験による開封はそのあとだ」


 そうして全員がスキルを獲得したところで、ひとまず確認から行う事にする。


「一応あの香りを思い出してみたけど、意識が多少クラッとしたものの魅了されるほどではなかった。他の皆はどうだ?」

「……はい、大丈夫です」

「問題ありませんわ!」

「私達も大丈夫!」

『キュキュキュー♪』

『キュキュ!』


 ルミナスとモル君も問題なしと。残り香には魅了効果は無いとはいえ、子供達の前では開けないように注意しないとな。まだ幼い子達には明らかに毒だし、『酒耐性』のスキルを取得できるような知性もまだ備わっていないはず。『知力』は4人とも60……弱体前でも80はあるけど、ステータスの『知力』と知性は別物だからな。

 ちなみにソースは俺である。


「じゃ、改めて頼む」

「お任せ下さい」


 そうして改めて千年亀のリキュールが開封された訳だが、初回ほどの衝撃はなく誰も魅了される事にはならなかった。かといって香りが落ちた訳でもなく、単純に最初に嗅いだときに強い衝撃が走る仕組みなんだろう。

 そして増殖も問題なく出来たのだが、1リットルの増殖だけで『魔力』が1万も持っていかれたのは驚きだった。魔石であれば『大魔煌石』が1個消費させられた。まあでも最高位の『幻想(ファンタズマ)』枠なんだし、これで済むなら儲け物ではあるか。

 ちなみに、その後当然のように試飲会が始まったのだが……酒好き達は全員、感動により涙腺が決壊。その日の宝箱チェックは、中断せざるをえなくなってしまったのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 翌日の昼。昼食を終えた俺たちは、再び居間に集合していた。

 幻想の酒というとんでもイベントの興奮を収めるには、丸一日経過しないといけなかったのだ。これでようやく宝箱チェックを再開することができそうだが――。


『……』


 まだ何人かは心ここに在らずな感じだな。まあ、()()()()()のは何も酒好きだけじゃ無い。特に思い入れのない面々すら感情を大きく揺さぶられたのだ。

 この場でシラフでいられるのは、片手で数えられる程度しかいなかった。特にうちの家族でも『メンタル強者』筆頭であるサクヤさん、アズ、アイラの3人は、見た目も雰囲気もいつも通りだった。


「んじゃ開けていくぞ」

『ええ♪』

「楽しみだわ」

「次は大精霊もどきですね」


 こいつも『プラチナの宝箱』だな。ドロップしたのは『水の精霊核』。コイツは素ドロップで大精霊の再挑戦権らしき物をドロップしたんだし、これ以上望む物は特にないんだが……。


「んじゃポチッとな」


【アイテム】

【スキル】


 また悩ましい選択肢が来たものだ。プラチナから出てくるスキルとなれば、ほぼほぼ『伝説(レジェンダリー)』枠だろうし、相手はあの精霊だ。『水』はないにしても、それに準ずる何かが出て来てもおかしくはない。

 だが、それが選択肢として2番手にあるということは、ダンジョンとしてはスキルよりもこのアイテムの方が格上という認識なのだろう。そして『水の大精霊』の時はスキルが上にあったのにアイテムを選んでアレが出たんだよな。となれば、俺が選ぶべきは……。


「アイテムだなっと」


 ぱかりと開けたそこには宝石のようなものが入っていた。何だか見たことあるような……?


 名称:水の親和結晶

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:アイテム

 説明:水に対しての親和力が上昇する特殊アイテム。所持しているだけで効果を発揮するが、取り込む事で永久的に親和性が向上する

 ★関連スキルの数が多いほど向上力が高まる。


「おおっ! 親和結晶キター!」


 出たら良いなくらいのノリだったけど、本当に出てくれるとは!

 嫁達も俺のテンションの上がりっぷりに気付いたのか正気を取り戻していき、すぐにいつもの雰囲気へと戻るのだった。

読者の皆様へ


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