ガチャ1126回目:危険なアイテム
子供達の相手をし続ける事数十分。子供達の興味が俺からエンキ達にスライドしていった事でようやく解放された。
いやあ、家を開けがちなのに懐いてくれてるのは嬉しいんだけど、それはそれとして大変だ。ダンジョンでの作業狩りの方がまだ気が楽であるくらいには。エンキ達が名乗り出てくれて助かった。
「疲れた……」
俺は床でへそ天しているルミナスを枕にして寝転がる。そうするとモフモフ担当のキュビラとタマモがやって来て抱き枕に早変わりする。
『キュキュ♪』
「ふふ、お疲れ様ショウ君」
『マスター様♡』
『御主人、宝箱チェックは次に回すのじゃ?』
「いや、今やっておく」
疲労感はあるが、眠りに興じるほどではないしな。
んじゃ次は……『プラチナの宝箱』。それも『千年亀』がドロップした奴だな。
「何が出るかなっと」
ポチッとな。
【アーティファクト】
【アイテム】
ふーむ。……置き場に困る装飾品が出なくて一安心といったところだが、どうしたものかな。アイテムは……奴の死骸から腐るほど血肉をゲットできたし、それに連なる物が出て来たらもったいない事この上ない。けど、そんな半端なものが『プラチナの宝箱』から出るとも考えづらい。そして今現在強く欲しているアーティファクトがあるわけでもなく……。
となると、チェックすべきはアイテムか。
名前:千年亀のリキュール
品格:≪高位伝説≫ハイ・レジェンダリー
種別:酒
説明:千年亀の血肉を漬け込む事で作られた100年物のリキュール。水割りで飲むだけでも10年は無病息災となり、原液であれば寿命が伸びると云われている。不老を求めた者達によって、戦争が起きてしまった記録すらある至極の逸品。
★ハイ・ヒューマンには寿命延長の効果はない。
「とんでもねーのが出た」
そのあまりの効能と説明文に誰もが絶句し、異世界組は顔が引き攣っている。やっぱ、それほどの逸品か。書いてる内容ヤバいもんな。
「うわやば」
「不老長寿のお酒……本当にとんでもないわね」
「ヴィンテージリキュールですか!?」
「マリー。落ち着いて」
前のめりになるマリーをテレサが羽交締めにして捕まえる。そうなっても彼女の目はお酒に釘付けだった。俺としては飲ませてやりたいところではあるが、問題はこのリキュールの総量だ。見た目的にこの酒は1リットルくらいのガラス瓶に封入されている。
全員で割るには少なすぎるので、増やしてみたいところだが……。試せた中で一番品格の高い液体は、『伝説』級の黄金のリンゴ酒だったな。1つ上の品格であるコレもイケるといいんだが……。
「アイラ、早速増やせるか試してみてくれるか」
「承知いたしました」
アイラが慣れた手付きで『魔法の水筒』を取り出したところで、マリーが待ったをかけた。
「ままま、待ってください!」
「どした?」
「増やすには、開封する必要がありますよね?」
「そうなるな」
「となると、香りが飛んでしまうのではないでしょうか……!」
「普通の酒ならそうかもしれんが、この品質の酒だしな。少しの間なら大丈夫じゃないか?」
「でででですが、絶対ではないですよね??」
「まぁなぁ」
めちゃくちゃ必死な様子だが、酒好きのマリーとしては死活問題なのだろう。
そういや、コピーした液体はその時の鮮度や味、効果なんかは完全にコピーされて出てくるけど、香りに関しては考えたことなかったな。……黄金のリンゴ酒も実は落ちてたりしたのかな?
「ですので、開封後の最初の香りだけでも、嗅がせていただけないでしょうか……!」
マリーの必死の訴えに、俺も真剣に考えてみる事にする。増殖を試してみる事に嫌な予感はしない。けど、開封する事による何らかの影響が……それもよくない何かを引き起こす予感も同時にあった。
これは大きくダメにならないだけで、成功しないだけなのかもしれないし、酒気の類が悪さをするのかもしれないし、まるで予想がつかない。
だけど、貴重で希少な酒の香りが二度と味わえないかもしれない可能性がある以上、堪能させないという選択肢はない。俺が気を付けていれば良いだけか。
「んじゃ、このお酒の最初の香りを堪能したい人ー」
そうして聞いてみれば、この場にいる者の中で半数くらいが手を挙げた。なんなら、異世界組は全員手を挙げた。物欲なんてほとんどないような、あのイクサバですらだ。
そういや、イクサバも酒は嗜むんだっけか。
「お前達が全員目を輝かせるほどか」
さて、彼ら全員がこうも素直な反応を見せるってことは、この酒についてぶっちゃけ初見みたいなもので、さほど知識がないのかもしれない。となれば、開封時どんな匂いが周囲を漂うのかも、予想ができないという事になる。ってことはだ。
「エンキ達ー、悪いけど子供達を子供部屋に連れてってくれるか」
子供に悪影響があるかもしれないしな。
『ゴ!』
『ポー!』
『キュイー』
『♪♪』
『プル? プルプル!』
「ああ、増やせたら飲ませてやるぞ」
そうして子供達はベッドごと運ばれていき、大人の時間が始まった。
――はずだった。
結論から言えば、子供達を部屋に隔離したのは大正解だった。
まず開封された直後、部屋全体に芳醇な香りが広がり、その場にいる全員が喉の渇きを覚え、千年亀のリキュールに対して抗いがたい渇望を刻み込むとともに、心身を深く魅了した。少し離れて様子を見ていた俺ですら一瞬正気を失い、無意識に喉を鳴らし、それを知覚した事でようやく目を覚ましたほどだった。
そんな中、不思議な事に最初に香りを嗅ぎたいと手を挙げた者達のほとんどは、俺と同様にすぐに意識を取り戻していたのに、あまり興味が無さそうにしていたり遠慮していた嫁達が何人も、無意識のまま酒に向かって手を伸ばし始めたのだ。
俺が急いで酒の封を元通りにしてみると、彼女達は次第に目を覚まし、手を伸ばしていた自分に驚いていた様子だった。もしかしたら、心が奪われる条件みたいなものがあるのかもしれないな。
「いやー、全く。本当に厄介な酒が出て来たものだ」
初見殺しのような効果も隠されてそうだし、改めて見れば効果が追加されてるかもな。
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