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その刀を下ろして、帯刀男子さま!  作者: 月見七春
第七十二章 奪い汚す生者たち
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第八百四十六話

 



 スマホの画面をチェックして、スバルがぼやく。


「と、立沢理華はどやるのだった……ってところかね。あの女、休日に人をこき使いやがって」


 いたくお冠のようなので、関わらないでおこう。

 付き合っている人が活躍の場に主役として登場する。ならば、自分はサポートするだけだ。

 とはいえ隔離世にてさいたま新都心駅にただ突っ立っていても仕方ない。

 忍びとして。日高瑠衣として、立沢理華にできることはなにか。

 率直に言えば、今回は目立つのが厳しそうだが。実戦経験という点ではワトソンと自分が九組のメンバーを支えなければきつい。ツバキも美華も聖歌も、もちろん理華もこの場にはいないのだから。


「で? 私たちは霊子体をぶん殴り続ければいいの?」

「詩保、それはさすがに過激すぎるんじゃ」

「そうは言うけどさ、姫。霊子体って、人に変わらない限り攻撃しても影響ないんでしょ? だったら無差別にぶわーって攻撃しちゃえばよくない?」


 過激派か。やめて。詩保さん怖い。

 誰よりもぎょっとするの俺だけなのも、微妙に納得がいかない。

 姫は苦笑い程度だし、姫の彼氏の七原は黙々と袋から刀を取りだして戦闘準備を整えているだけ。誰も彼もが昨日の御霊との試練を経て、恥ずかしい写真と共にそれぞれの霊力と大いに向きあったことだろう。

 敢えて言うならば、たしかに神は死んだ。もういない。けど心の中にいる。間違いなく。

 スバルもワトソンも、それぞれに装備を確かめていた。

 俺たちは指輪を嵌めている。そして御霊のルーツにまつわる武器を手にすることもあるが、基本的には指輪を嵌めた連中の好みによる。

 スバルが大鎌っていうの、俺はいろいろ突っ込みたい。俺がどやるとかっこつけてんじゃねえよって鼻で笑うくせに。お前はどうなんだよ! と。似合っているのが実に恨めしい。これ以上いうと、俺の非モテのやっかみ感がハンパないので黙るけど。


「理華の作戦だ。生徒会長たち三年や南先輩の会社の刀鍛冶が総出でさらってる。侍隊は事件が起きなきゃ警察機関ゆえに行動できないが、俺らは自由だ」

「ねえ、スバル。それもどうなの?」

「姫のツッコミに免じて言い換えよう。学生なら説教くらいで済むだろ。もし、ばれたとしてもな」

「……それもどうなの?」

「そういう風に考えておけってこった。こっちにゃ法律はないが、住良木の技術が浸透していきゃ無理も通せなくなる。ま、今回は自由ができる間の無茶ってことで」


 結局無茶なんじゃんと詩保が突っ込む。けれど詩保は甲冑を身に纏い、兜を装着しているし。なんならマントをたなびかせてもいた。既に格好が自由なんだが、それは?

 そばに光が集まって、羽の生えた馬へと姿を変える。

 いななく馬の首筋に手を置いて、詩保は柔らかい表情を見せた。白銀に煌めくごつくて角の生えた兜をかぶって笑われても、正直「つよそう」としか思えない俺ですけども。馬とか、どうするの。月見島先輩はリアル馬を学校で世話しているけど。増える流れなの?


「教授の霊子を探るってのは建前だな。それより沢城先輩が斬って掴んだ、教授のものとおぼしきやばげな寄生虫を探しながら、密度の高い場所を発見する」


 さっそくスバルが作戦の説明を始めた。

 理華がいないときのリーダー役に彼がなることに異論を唱える奴はいない。

 ワトソンか俺でもいいとは思うけど、スバルは体を張るよりもっと頭を使うのが得意だと見ている奴は多い。いざとなればフォローするべく、岡目八目的な役割も踏まえてワトソンと俺は補佐に回るべし。理華の指示である。


「なぜ密度の高い場所かって言えば、理華の分析によると教授はリスクを極端に恐れる。まあ俺から言わせりゃ、リスクを極端に恐れる奴が現地に顔を出している時点で、ハザードランプが点灯中だがな」


 異論はない。


「理華の奴も、連絡を受けた先輩方も、当然それくらいの状況だと踏んでいる。となれば――……姫、どうなると思う?」


 振るのか。意外と余裕を見せるな。ただ、コミュニケーションを取って相手に思考させたほうが記憶に残りやすいとは思うので、たしなめたりはしない。

 話を振られた姫はおでこに人差し指を当てた。次いで中指、薬指で、小指からの親指。ぱっと開いたポーズは可愛いけど、姫は意図してやっているように思えた。なにせ、指を開くたびにカウントするんだから。ワントゥスリーってな具合でさ。


「たぶん、教授に気づかれたら逃げられるかもしれないし、そうでないとしても必ず暴れるはず。それも現世に影響を及ぼしたら、相当な被害が出るレベルで」

「答えてくれてありがとな。それに悪くない線だ」


 やった! とガッツポーズを取る姫は素直だなあ。あと俺と理華以外の奴には素直に優しいよな、スバルめ。露骨に人で態度を変えている。やらしい。


「当初は理華もそう考えたはずだ。けど、いままでの教授の行動からすると、直接あいつ自身が手を汚すようなヘマはしないと見ているし――……大勢に狙われたとなれば、なにをしでかすかわからない」


 故にリスクを支払えない。

 命を賭け金にはできない。そいつは映画や漫画でやりゃあいいことであって、現実ではすべきでないこと。だいたいひとりを戦えるように育てるために、いったいどれほどのエネルギーが必要かって話で。命は対価にすべきじゃない。

 一般人に被害が及ぶような真似は特にすべきではない。

 なにせ明日は理華が心底好きな青澄先輩の初ライブだからなあ。

 事件なんて、絶対に起こせないのだ。


「他にも理由はあるにはあるが」


 スバルもアリーナの方向をちらっと見てから、咳払いをした。

 共通認識だ。二年生にとっては精神的支柱であり、三年生や卒業生にとっては大事な後輩であり、俺たち一年生にとってはカリスマ的存在でもある青澄先輩のライブを、なんとしてでも守り抜く。


「極秘裏にこっちに引きずり込む。最低限、確保。目指すのは無力化。気分は国際テロ組織の幹部を現地のアジトから生きたまま誘拐する特殊部隊の気分ってとこか」


 わあい。それ死者が出かねない奴な。これほど嬉しくない気分もない。

 とっとと終わりにしようと心の底から思うし。


「いやいや。僕が思うに、これはもっと単純な作戦じゃないかな?」


 岡田はいつだってぶれない。

 力を発揮した怪盗騒ぎのときと違って、今日の岡田は燕尾服で決めたマジシャンスタイルじゃない。指輪から出すのも杖ではなく竪琴だ。吟遊詩人に転向したのか? それともボケなのか? 岡田の場合、それもあり得るが。いまは竪琴に触れるタイミングじゃない。


「なんすか?」


 とっとと聞いちゃう俺に、岡田は竪琴の弦を指で弾いて奏でてみせた。

 その瞬間、世紀末覇者たちの叫び声のような歓声が響き渡った。ひゃっはーって。野太い男どもの声で。弦それぞれで微妙に男の声が違っているのが実に憎い。


「「「 その竪琴は置いておこうな? 」」」


 吹き出さずに冷静に言い返す俺とスバルと七原のハモリに岡田は渋々竪琴を宙に放る。

 地面に落ちる前にすっと消えてしまう竪琴に一切の未練を見せずに岡田ははっきりと断言した。


「だからさ。平和的に解決できればいいんでしょ? 理華ちゃんのメッセージにも、教授を無力化させて連れてきてくださいってあったし。たぶん理華ちゃんが因果応報の術を使うんだよね?」


 まさしく岡田の言うとおり、スバルがさっき確認してぼやいたメッセージにはそう書いてあった。

 姫の力で教授の過去を追体験して乗りこえるにしたって、ねえ? 姫の力はそもそも不安定に過ぎる状態で、いまも時間を移動する術は使えないそうなので。

 俺たちは一般市民でもあるし、法律は復讐で殺すことをよしとはしない。そもそも殺人を許容する社会ではもうとっくの昔になくなっている。だからこそ無法を外法で捕まえるみたいな、俺たち忍びがいたりもするのだが、それはそれ。いまの俺は里の忍びである以前に、日本に暮らす学生なのである。

 格闘漫画のようにぼこって倒したら改心するようなタイプじゃ断じてない。教授はそういうノリじゃない。そのノリで済むならとっくの昔に怖い怖い吸血鬼に叩きのめされて改心していそうなものだ。

 だからこそ、落としどころが難しい。

 警察に引き渡して、あとはしかるべき機関にこっそり外交筋を通して渡しちゃうあたりが関の山じゃないだろうか。教授は国際指名手配を受けている犯罪者なので、喜んで裁きたがっている連中が世界中に大勢いるわけで。

 俺らが手を汚すまでもない奴であり、逆にこっちが油断したら死者が出かねない。スバルの例えはまさしく的確だし、教授のなにがたちが悪いって教授自身がやたら強いところだ。

 スバルも俺もワトソンも、だから武力制圧しか思いつかないのが本音だし。

 理華すら連れてくるときの指定はしてこなかった。任せたっていうぶん投げだよな。正直、現状の俺らの戦力なら教授がよほどやばげな戦力を出してこない限りは対処可能だと思うし。

 苦労するとは思うよ? 思うのだが。


「なんか妙案でもあるんすか?」

「ふ……よくぞ聞いてくれたね! この僕に!」


 岡田よ。なぜに腰に手を当て、両足を左右に大きく開き、もう片手で上方斜め四十五度を指差すのか。

 火力特化型の力を持っている先輩も多いが、それを上回る妙案とはいったいなんぞや。

 俺もワトソンもなにもアイディアないんすけど。


「理華ちゃんにもメッセージ打つ予定なんだけどさ! これ、僕もう天才的発想だと思うんだ! 姫ちゃんの話からしても、先輩たちからの話からしても、教授は女性蔑視が強くて悪者なんでしょ?」

「「「 いいから答えをはよう! 」」」


 前置き長いよ!


「だからさ――……」


 にやっと笑うなり岡田ははっきりと言った。


「バーチャル美少女受肉のように、美少女に変えてみない? あ、心配しないで? 術ならもう手に入れてあるんだ」


 や、やべえ。

 全員が同時に思ったはずだ。

 こ、こいつ――……目がマジだぞ!


 ◆


 明坂メンバーの出番を袖ってよりバックステージのモニター越しに眺めていたら、スマホがぶるっと振動しました。

 美華はもちろんステージに。聖歌はといえば、夢中で画面を食い入るような顔して見ていて、とうとう春灯ちゃんのマネージャーさんから「そんなに気になるなら袖で見てみるかい?」と声をかけられたほど。

 聖歌って妙な引力がありますよ。じゃなきゃマネージャーさんにわざわざ声を掛けられないと思うんですよね。

 あ、嫉妬しているわけじゃなく。私は「うわーいネタバレだやっほー」って嘆きの心境で見ていたので。そりゃ声もかける気にならんわっていうね。最初から対象に入ってない時点で、私は春灯ちゃん絡みになると素直な良い子ではとてもじゃないがいられないようですよ。

 それよりも、スマホスマホ。

 誰かから作戦の進行状況の連絡だろうか?

 先輩あたりが有力だ。

 ぶっちゃけ身内のクラスメイトたちに送った内容は相当シンプル。

 九組を目立たせるイコール私の存在感がより増すという計算式を想定しているので、九組がいちばんおいしいところを持っていくように配置しています。

 今回の作戦の肝はぶっちゃけダメージコントロールなんですよね。

 教授が暴れる、民間人に被害が出る、ニュースになる、春灯ちゃんのライブ不謹慎問題に繋がる、私終了。

 この流れがもっとも最悪な流れなんですよね。

 なので教授が暴れても問題ないように、彼をいかにして穏便に捕獲するかが作戦の肝。

 むしろ警備会社トライスターや南隔離世株式会社のみなさんの力はそっちに割きたい。

 遊撃隊の沢城先輩の力を借りて、派手に暴れてもらう。

 士道誠心一の瞬足であり、雷の化身と化しつつある仲間トモカ先輩には待機してもらう。最高速を誇る彼女だからこそ、最後の最後の切り札として取っておく。

 刀鍛冶の頭数は県警に応援要請をしたときよりも頼りになるくらいには確保できているから、周辺の霊子を探る包囲網はがっつり敷けるはず。

 既に鳥かごが形成されている。その連絡は南先輩からとっくに受けていた。

 あとは捕まえるだけ。

 やっぱり教授が大人しいのが気に入らない。

 ここの作戦に戦力を割いていない? 他により深刻な何かをやらかそうとしている? 春灯ちゃんの執着を超える何かに霊子を注ぎ込んでいる? だとしたらそれはなんだ。

 結局捕まえて吐かせるのが一番確実だけど、なにかが引っかかるなあ。そう思いながらスマホのメッセージを見て吹き出した。そしてすぐさま咳き込んだ。

 やばい。待って。スマホの画面をしっかり確認する。


『教授美少女化計画を進言します!』


 岡田くんからのメッセージの威力はんぱねえ。

 え。待って? 待って! 待って?

 何度見返しても、スマホの画面の文字列は変わらないんだけど。

 ちょっと待って。嘘でしょ待って。


「なんで?」


 美少女になったら罪が許されるとでも思ってんのか! とか。

 美少女になったらこっちはついつい気が緩んじゃうとでも思ってんのか! とか。

 美少女になったら救いたいと思えるとでも思ってんのか! とか。

 いろいろ浮かんじゃった。

 おじさんに人権はないってことにならないか?

 世知辛い世の中ですね。世の男性は必ずおじさんになるんですけど、それは?

 ただまあ。

 うん。

 言いたいことはわかる。

 わかってしまう。

 我ながら、たいへん悲しいのだけど。

 社会的弱者のようなアイコンとして容姿の良さをあげる層も社会にはいるよ。

 私の意見ではないとあくまで前置きしたうえで、ある偏見について語りますと。ブロンド美女はおバカの記号という時代がありまして。

 人間は何かしらの属性に名前をつけて親しみを覚える一方で、属性を割り当てられた人々からすれば不愉快に思うことってよくよくありますよね。

 円滑なコミュニケーションをはかる上では相手がどう受けとるのかが重要だと理華は思うので、属性で人を見てはならないと常に言い聞かせていますが。

 アイコンで人を見るっていうのは、人として見ていないということと同じだとする考え方もあって。それって正直あまり珍しくはないかなって思いますからね。

 ただ、でもだ。

 これが正しいかどうかはさておいてだよ?

 きもさの蓄積の延長線上にある死者のおじさんに、かっこつけて、ただし現在は美少女であるをつけたらさ。

 案外こう、抜け感が出てきません?

 しかも自分発信で美少女になってないのだとしたら、ねえ?

 あ、こいつ負けたな? って思いません?

 しかも教授はナチュラル女性蔑視クソ野郎なので。そういう奴が美少女になったら、けっこう痛快ですね。個人的には。

 どうだ、笑えるか? お前もいまや、お前が消費してきた立場になったんだぜ? って。

 言ったらアウトですよ? それはもう、性格不細工一直線なのでオススメはしません。

 しませんが!

 やばい。ちょっとおもしれえなって思っちゃいました。

 岡田くん、相変わらず侮れねえな……。

 正直、九組の中で最もクレイジーな気がします。


「やっちゃおう、九組」


 音声入力でメッセージ発信。

 さってと。

 大枠で捉えるとして、教授と私どちらのターンかといえば私。

 もうちょっと細かくすると、問題はだ。


「誰が美少女の容姿を決めるんですかね?」


 私は現場にいないんで、見守ることしかできないですが。

 そばにいたら、ぜったい弄り倒してやるのに。それがだいぶ残念です。


 ◆


 おでこに手を置く。

 士道誠心警備隊なる今日専用のグループメッセージにばしばしと、状況報告のメッセージが回ってくる。そして警備まとめというグループメッセージに状況をまとめたメッセージが適宜送られてくる。誰がどうやって処理しているのかわからないにせよ、先輩たちはすげえ。

 すげえといえばすぐに理華が返信を送ってきて、岡田の提案に乗っちゃったのもすげえ。

 となると、問題は。


「教授をどんな美少女にするか……地味に難問じゃないっすか?」

「あの野郎が手を出してきた美少女のゴールデンバランスあたりがいいんじゃねえの?」

「美少女に反応する層であれば、老若男女問わず思わず襲ってしまうような容姿か」

「――……声も重要だな」


 隅っこでぼそっと声をだしたキサブロウに、誰もが思わず黙り込んだ。

 ふくよかゆるふわボディに見えて、その実マッシブレスラーボディだったキサブロウが、たった一晩で異様にスリムボディに変化していたのだ。

 あの筋肉と脂肪はどこへいったの?

 みんなまだ、キサブロウの変化に心が追いついていない。キサブロウも俺らが戸惑っているのがよくわかっているのか、咳払いをして黙り込む。


「私は気に入らない。あの特盛りクソ野郎を可愛くするとか」

「姫、気持ちはわかるけど……だったら逆に、あの特盛りクソ野郎が死ぬほど後悔するような可愛さに変えて苦労させちゃえばいいんじゃない? こっちの気持ちを思い知るくらいにさ」


 姫のフォローに入った詩保に、


「モテたら許せなくない!?」


 姫は妙なところで折れない。

 いや、そこじゃないだろ。

 もっとこう、親を人質に取って士道誠心を江戸時代に送るよう脅迫してきた教授への恨み辛みを叫んでもいいのでは?

 七原の前ではそういう一面を見せたくないってやつなのかな。


「だったらモテるけど、決して手出ししちゃいけない存在にすればいいんじゃないかな?」

「「「 岡田くん? 」」」


 なに言い出すの? なに提案する気なの?


「いっそ幼女にしちゃうっていうのはどう?」

「「「 岡田くん!? 」」」


 案の定だよ!

 なに言い出してんの!


「ほら、手出ししたら捕まるでしょ?」

「「「 岡田、いったん落ちつこう? 」」」


 むしろ止まって! 間違いではないけれど! 手を出すべきではないけれど!


「逆に言えば、教授ってそういう子にすら手を出してきたんでしょ? しかも刺激しちゃう見た目になったら、いろいろ苦労するし。身に染みて反省するんじゃない?」

「「「 岡田……っ! 」」」


 あらゆる犯罪をやりまくる特盛りクソ野郎を反省させるためにどうしますか?

 幼女にしちゃおう。

 どうかしてるだろ!


「年齢で言えば、いわゆる合法ロリだしさ」

「「「 岡田、もうよせ! よすんだ! 」」」


 ああ年齢でいえば数百歳か千を超えているんだもんね……って、あほか! ならねえ! いや、なったほうがこの場合いいのか!?

 ああもう、わけわかんねえ!


「性的な合法ロリにしよう。よし、決まり!」

「「「 決まっちゃうのかよ! 」」」


 男子勢揃いの渾身のツッコミにも関わらず、岡田は「どういう子がいいのかなあ」と呟き始める。

 やばい。どこまでもこいつ、本気だ!


 ◆


 南先輩や並木生徒会長に岡田くんの妙案を伝えてやりとりをしていたら、岡田くんから新たなメッセージが届いた。

 なんだろう。容姿が決まったとかかなと思いながら、メッセージを確認する。


『性的な合法ロリにしたいんだけど、どういう見た目にすればいいかわからなくて。どうやって検索すればいいと思う?』


 見なかったことにしたかった。全力で。

 あー。ねー。なるほどー。

 現場でどういうやりとりがあったのかなーって、だいたい想像がついてしまう。

 岡田くん、クレイジーだけど同時にえげつない。容赦なさすぎだ。

 要するに教授が一番虐げやすい、教授にとっての、ここ大事なので繰り返すと、教授にとっての! 弱者のアイコンで強制的に縛ろうというのだ。

 女の子を求めずにはいられない特盛りクソ野郎の対処をどうするか?

 女の子にすればいいのさ。

 ――……アホか。

 アホだな。

 岡田くんはアホだ。それでいい。

 そして今回、このアホさ加減が程よい。

 なるほど。こいつはどう足掻いてもテンポあがるしかねえな。

 なにせ彼からしてみれば、士道誠心勢が全力をあげてかわいい幼女にするべく襲いかかってくるのだから。

 恐怖だ。

 私なら泣いて逃げる。

 でも、こいつならどう足掻いてもメジャーになる。


「私のクラス最高かよ」


 やべえ。尻尾が生えてきたわ。

 悪魔ってよりは小悪魔のノリで笑えるわ。こいつはいいわ。

 ただ、これだけ先に送らせて?


「それ検索したらアウトかな」


 みんなの思う合法ロリが至高でいいんじゃねえかな。

 つか理華にわからねえ。さすがに合法ロリの引き出しがねえ。


「セクシーコンテンツの知識を頼りにがんばれ」


 富士山生える勢いで笑いたいけど、我慢。

 笑うのは取っておこう。

 屈辱の顔をした合法ロリになった教授が目の前にくるまでね!


「あは!」


 やっべ。

 こいつははやく展開しないと!

 明坂のリハもあとすこしで一区切りがつきそうだ。

 そしたら私も参加できる。

 これから始まる鬼ごっこ。

 捕まったらどうなるかって?

 幼女になるのさ。




 つづく!

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