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その刀を下ろして、帯刀男子さま!  作者: 月見七春
第九十九章 おはように撃たれて眠れ!
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第千六百九十話

 



 銀河美少年は受けた。ビビッドレット・オペレーションのも。

 弾ける勢いも、高揚感でいっぱいなお顔になるノリもテンションも、ぷちたちには大好評!

 キルラキルの変身は大興奮! 男子も女子も全力で脱ぐよね。マコちゃんがウケてる。ラストの全裸ダッシュなんかもう涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら「いけえええ!」って、みんなで皐月さまを応援してた。みんなの大団円に大喝采だった。みんなしてさ。

 横道に逸れちゃったから、まどマギをチェックしようとしたけどキルラキルのあとに見せたら情緒が破壊されちゃいそうで自重した。もうちょっと、時間が経ってからね。

 そんな夜を過ごしたことをふと思いだす。

 いやさ。

 意外にも、朝に身体の痺れがいつもよりすくなくて! 少ないのであって、ないわけじゃなく。今日も私に乗っかっている子がけっこういるから、やっぱり朝からくたびれてるんだけど。

 起きてお着替えしようと提案したら、みんなして、それぞれに気に入った変身をひとりずつ披露してくれたの。中二病でも恋がしたい六花ちゃんパターンの子もいれば、プリキュアの六花ちゃんパターンの子もいた。

 服をちゃんと着ることができていたかは別。ただ、なんか感動しちゃった。

 打ち合わせていたわけでもないだろうに、思いつきでここまでやっちゃうなんてさ。

 これが毎回のことになるくらい、定着してくれたら助かるんだけど。

 そうもいかないかな。

 あと「なんで裸になっちゃだめなのー?」と聞かれると困る。身体の大事な場所なんだよ、宝物なんだよ、だからだいじだいじにするし、見せる相手を慎重に選ぶんだよっていう説明なら前にした。今朝もした。じゃあ、あの子たちはなんで裸になるの? って聞かれると困る。

 サービスシーンなのだぜ、なんてメタな話をする? まさか! あり得ない。

 じゃあ、どう言うの?

 誤解を恐れず正直にいうと、私はけっこう好きなんだよね。一から着ていく変身が。自分を象徴するアイコンが衣服に変わっていくのもいい。作品の変身のテーマが出やすい印象があるのもいい。

 キルラキルなんか、繊維だ。生命繊維。四天王がいい味だしてるよねー! マコちゃんとドMのマッチョさんのコンビがすごく好き。そして全員そろって、気前のいい脱ぎっぷり! というか、なんだろな。「ここから自分の見せ場だ!」し「最高の服に着替えるぞ!」って見えて、それがすっごくいいんだ。

 なのにどれもこれも一緒くたに「やらしくて、それがサービスになるのだぞ?」なんて雑にまとめたことにして、みんなに言うの? すっごく楽しんでいるぷちたちを相手に、あれぜんぶえっちなんやぞって?

 まずいでしょ。それはそれで。ないって。さすがに。

 なにを伝えるにしても、まず自分の偏見との戦いになるぞ?

 ぷちたち相手に結論を押しつけて、そのようになさいと言うの?

 んーっ!? そいつはまずいぞ?

 まずいんだけど、じゃあどう言うの?


「放送しにくいの」


 大人の事情に逃げた!


「なんで?」

「「 どうしてー? 」」

「「「 どういうことー!? 」」」


 しかし回り込まれてしまった!

 まあ、そうなるよね! わかってた! ちょっと試してみただけなんです!

 えーっと。えーっと?

 わからね!

 大人の事情の内訳には、いろいろ思い当たる内容がある。

 けど、それを説明できるほど「わかっている」かといったら、わからない。

 センシティブ。昔は流れてた。いまはだめ。なんで?

 お乳、とりわけ先端はなし。男子のはありだったはずなんだけど、だんだんそれも怪しく。ちびっこの男の子もどうなんだって話も、場合によっては。局部もなし。それは昔からそう。映っちゃったら、それだけで番組が終わりかねない。

 広告でテレビ局は収入を得る。いろんな企業がお金を出して制作している。芸能人もスポンサー企業と契約すると? 収入を得られる。じゃあ企業はなぜテレビ局に出資するか。宣伝効果。

 それも近年においては疑問符がつく。いわく、どれだけ効果があるの? 自社が太い広告を打てるチャンネルを持っちゃえば、出資して制御できない仕事を介して間接的に効果を得る手間を省けるのでは? それこそ動画配信サービスやSNSのインフルエンサーを利用すれば?

 そんな向きもあって、年々、制作費が減る。

 あらゆる業界で、お金を出すほうが強い立場になりやすい。そりゃあそう。お客さんの注文は強い。ただし、受注側は理不尽な要求なんかつっぱねていい。

 法律も、省庁も、守ってくれる――……と、いうことになっている。一方で「そんなん言うたかて、今日のゼニがなくなるわ!」というお財布事情のフリーランサーや中小企業もあるのが事実。そんなしんどいなら「やめちゃえば」って言うのは簡単だし、やるのも簡単だし、やれない理由が重たすぎるし、やれないし選ばないし選べない人と、その集団が苦しんでいる。現在進行形で、今日もどこかで大勢が悩んでる。

 ブラック企業と言う人は増えたけど、企業の体質がどんどん変わっていくかというと、そうじゃない。ゼロかイチかじゃなくて、いいとこもあれば合わないとこもある、という場所もあるだろうし、そういう場所ほど変わりにくそうだ。露骨にアウトだと、やがてだれもいなくなる気がするからさ? なにせ、ほら。人には限界があるからね。それに、過ごしてきた環境もちがうから、合わないことって人によりけり、一概に言えず。それを理由に変わらないことも多い。

 なので精緻に読み取ろうなんてすると、かなり大変だ。

 ただ、まあ、それでも企業は宣伝を求める。イメージの象徴を求める。

 なにせ、どんないい商品を作っても認知されなければ意味がない。

 発掘して、それを売り出す仕事をしている人が探掘し、太いパイプに乗せられて、口コミ効果を狙える戦略を練れる人たちと繋がり、販売される経路があるなら? その人が来るのを待つか、いっそ呼べばいい。持ち込むなりして営業をかければいい。同業他社も似たようなことをしているだろうけど。気に入ってもらえるかは商品次第っていうだけじゃなく、タイミングも、なにより運もかなりあるだろうけど。

 それでも通るかどうかは別。跳ねるかどうかも別。長く続くかどうかも別。

 食べるラー油は好きだけど、気がついたらたまに食べるくらい。カロリーばか高いからさ……っ! タピオカミルクティーも、ローストビーフ丼もね。

 ファッションはそのへん、強い。デザイナーを抱え、製造工場と流通を押さえ、メディアとがっつり抱きあう。そうして流行を作る。流れが生じる。デザイナー、モデルにスターがいるほどいい。文化や時流を取り入れて変化しながら、業界で安定した商売をする。ブランドとして確立されているほどいい。

 ファストファッションがこの先ずっと続くスタイルかというと謎だけどね。

 商売として、どのように設計し、運用し、改善し、軸を太くするのか。増やすのか、減らすのか。そういう考えももちろんあるのだけど、とにかくファッションブランドは学ぶ対象としては、わりとシンプルな印象がある。

 きっと学んだら「とんでもねえな!」って悔い改めることになるんだろうけど!

 なにせ、ほら。

 同業他社がいる。

 差別化を図らなきゃ。じゃなきゃ、選んでもらう理由、訴求力が弱くなってしまう。

 キャラクター商売なんかは、そのあたりで四苦八苦していそうだ。

 私の仕事もそう。

 飲食でもあるよね。一社が始めたことって、他の会社もずらずらずらーって並ぶように始める。コンビニスイーツも、そのひとつじゃない? ファミレスの商品展開もそう。

 結局、同じことをただ続けるだけだと先細りになりがちだから、手を替え品を替え、あれこれするじゃん。いろんな業界で。

 そこまで考えると「ぜったいなくならない業界が強い」なんて落ち着きがちだけど。冠婚葬祭、とりわけ法事はなくならない。そこにお金をかけられる限りは。

 お役所やお医者さんなら? 強い。前者は国に問題がなければ。後者は過労と簿給と待遇の悪さがなければ。どっちも、他の業界にだって言えることか。

 じゃあ、そこでも安穏と、のほほーんとしてて大丈夫かっていったら?

 そうでもない。そんなことない。

 それぞれの潮流ってのがあるよね、きっとさ。

 で、ブランドの看板だと?

 デリケートゾーンの露出は好まれない。

 なんで!?

 わからん!

 なんか、あれじゃない? やな人多いんじゃない? 知らんけど!

 テレビだと前振りないと防げないから、意図せず見たくないみたいな? 映画のラブシーンみたいな感じ?

 知らんけど!

 こぉんなに長ったらしく並べたのに、結論は? わからん! なので、正直になろ。


「実は私にもよくわからないんだ。なんでか一緒に考えてみない?」

「「「 なんでーっ!? 」」」


 もはや「なんで」って言いたいだけなのでは? って思いつつも、ぐっと堪える。

 わかんないねーって返す。それにさえ「なんで?」が続くから、もう大変だ。

 いまさっき並べたことは仕事したり、なにげなく過ごした段階で聞いたことだったり、教えてもらったことだったりする。

 けど、私自身が「わかった」ことじゃない。

 なんとなく「わかったかも」なことにできる。易しく済ませられることではある。

 ただし、もちろん「わかった」ことにはならないし?

 ついでにいえば、どの段階まで学んだら「わかった」ことになるのか、まずその指標が謎。

 おばあちゃんちに行くと、たまにおばあちゃんのご近所さんと会う。差し入れをくれるのだ。そこでいろんな話を聞いた。一年に一回取れる作物なら、育て始めた年齢から、いまの年齢までに経過した年の数だけ育てることを経験できる。それって多いかどうかわからないんだよなあって、ご近所のおじいちゃんが言ってた。

 私からしたら、トマトもキュウリも、じゃがいもにニンジンに、あれこれ作って持ってきてくれるおじいちゃんは野菜を育てる達人みたいに思える。新しい作物を作るにしても、品種改良するにしても、あるいは天候に左右されずに安定して、いい作物を育てるにしても、田舎でイノシシとか鳥に食べられないようにするにしても、とにかくノウハウがやまほどあって損はなさそうで。

 じゃあ、どこまで必要? 目安はあるの? それともないの? あるとして、その目安はなにをどう保証するの?

 あーもう!

 さっぱりわからないぞ!

 だからやっぱり「なんで?」ってなるよね。

 それを純粋に、浮かんだ端からぶつけると、どうなるのかな?

 なんでの嵐になるんじゃないかな?


「なんでだろね?」


 そう思えたら、笑えてきた。

 なんで? わかんない。ただ、なんだか愉快でさ。

 いろんなものを見て、いろんなことを聞いてきた。

 私なりに、たくさんのことを知ったし、わかったつもりでいた。

 なのに、ぷちたちの「なんで」に答えようとしたら、化けの皮がはがれた。

 変身するのはアニメだけでも、特撮だけでもない。ゲームだって! ペルソナシリーズ、お父さんが激推しで、五作目はお母さんも推してるんだけど。私も知ってるよ? 我は汝、汝は我でしょ? 三作目からテイストが変わったんだっけ。そこまでなら、知ってる。

 でさ。あのゲームでも仮面を剥がして、自分の求める姿になるそうじゃない?

 だけど、いまの私は逆だ。

 ならなきゃ、こうだろう、そんな仮面が剥がれて、だけど、ぷちたちみたいに「なんで」って言うのを諦めた自分の顔が露わになった。

 どうだろ。

 それって、痛いことなのかな。

 いまは痛みを感じないな。

 むしろ、清々しいくらいだ。

 さっき並べたこと全部をいきなりまるごと否定する気はないし、いらないと断定する気もない。間に合わせでしかないことさえ、あるとないとじゃ大違い。よくも悪くも作用するから、ますます悩ましい。なので知らなきゃ、学ばなきゃって圧と、間に合わない、やっべえっていう圧の板挟みにあって、強迫観念に苛まれやすくてさ。

 しんどいんだ。そういうの。ぜんぶ。

 おかげで居るのがますます大変。つらくなるばっかりだ。

 けど、それじゃ足りないぞ、間に合わないぞ、っていうか結局やっぱりだめなんだぞ? ってわかるのがさ?

 緊張しまくりな私を緩和させる一撃になった。

 なんか、ね?

 なっちゃった。

 結論ありき。さあ探せ! 私のどこかに結論がある! 見つけ出せ! そして提示しろ! お前の結論と戦うために!

 って、なんだそりゃ。

 なんのためにそんなことするのか、わからないぞ?

 そんなことより、なんでの種から育てるとしません?

 みんなとお話しながら私も着替えを済ませて、一階へ。

 家族で朝ご飯を食べるんだ。

 トウヤもお姉ちゃんもいないけど、夏休みは間近に迫っている。すぐにみんなでのんびり過ごせるって!

 ぷちたちの人数が増えたから、朝ご飯もちょっとした量だ。小さめの民宿の朝みたい。

 おみそ汁は寸胴で作るし、お米は限界量で炊く。漬物を用意するにしても数がいるし、サラダも、お魚を焼くのも大変! 主菜を用意するのがね!

 幸い、ぷちたちは乳歯が生えそろっていて、けっこう噛める――……ようで、そうでもない。

 まずさ。お口がちっちゃいじゃない?

 なのでサイズ感には要注意。それに、ちっちゃいお口で噛むとなると、たくさん噛まなきゃいけないと疲れちゃうよね。調整できるといい。

 食べやすさに気を配る必要がある。

 なので、お父さんが主導して用意するキッチンに入って私もしばしお手伝い。

 その間にぷちたちは、お母さんが幼児向け番組を流して接待。

 私がお母さんの役をやろうと思ったんだけど、お母さんが「料理の準備、慣れとけ」ってさ。

 現状の備えも態勢も最善とはいえないが、それは最善を尽くさない理由にはなり得ない。なんちゃって。

 言ってる場合か。

 挽肉を丸めて作ったタネが仕込んであって、あとはそれを焼くだけ。ちっちゃなつくねハンバーグ。ゆで卵のスライス。サラダのレタスはちぎりまくれ! 野菜をすりおろして作るドレッシングが常備してあって、それをかけておく。

 盛りつけも毎日ハイクオリティなんて無理むり。続かない。そこまで体力ついてない。けど、不公平感が怒りの「なんで!?」を引き出すこともある。怒りのなんでは不安から芽吹くことがある。気まぐれにしか思えないときも。たんにお腹すいてただけってことも。

 そう考えると?

 ご飯屋さんの「同じ商品を作る」ことを、精度をあげて続けるのって、すごいね?

 ご家庭でそれをしなければならないのか、あるいはご家庭ならではの回避方法があるのか。あれや、これや。

 至るところになんでの種がある。

 種を潰したくて、焦っていた。やまほど。

 急いては事をし損じる、よりももっと喫緊で、視野狭窄に陥っていてさ? そういうときほど冷静にっていうけど、そういうときほどテンパるよ。そういうときほど焦りをなだめられないよ?

 焦っても意味がないって、それは理性の話でさ。感情には響かないよね。感情をなだめるときの手段に用いることができる人がいて、できない人もいる。

 気分が荒れてると、できなくなる可能性が高くなるし? いつでも焦りをどうにかできるってほうが難しい。なんでかなー。なんでだろーね?

 答えだけ教えろ! じゃあないんだ。

 答えに至る過程がわからなきゃ、その答えがどんなものかもわからない。

 だけど今度はさ?

 なんでと尋ねるとき、それが相手の痛みを刺激する可能性があることを忘れて「なんで」と言い続けちゃったりする。

 ぷちたちのなんでストームに見舞われる私のように、こどもの「お前が私を納得させるまで、なんでと問うのをやめない!」永久コンボを食らう人の中には「もうやめて!」となるケースもありそうだ。ままならないなあ。

 私もわりと「もうやめて!」ってなりかける。なるときもあるし、限界突破することもある。

 じゃあ、それって「なんで?」なのか疑問を抱くところだけど、そんなの「もうやめて!」ってなってるときには無理だ。

 なんでの種を健やかに育てるなら? 穏やかな環境がいるんじゃない? 栄養だってそう。

 具体的に言うなら、答えるんじゃなく、一緒に考えるに足る余裕だ。時間的にも、環境的にも。考える人の状態もね。余裕がないと「なんで」なんて考えていられない。それこそ、そんな余裕がないのだから。

 するとさ?

 知るってたいへんだね!?

 わかろうとするっていうのも、慣れてないね!?

 ぷちたちと変わらないかも。

 なんでの嵐だ。

 そのわりに、社会が発展するほど覚えたほうがいいこと、やれるようになったほうがいいことが増える。それに対するカウンターなのかな? クリミナル・マインドやメンタリストのようなアメリカのドラマに出てくるカルトに、文化や社会、技術を徹底的に排除しようとする性質が見られるケースがあるのは。ある意味、アレルギー反応みたいなものなのかな?

 わからない。私はなんで、そう思うのか。

 長ったらしく並べたことのように、だれかの言葉を持ってきただけなのかな。なんで、それをしようと思ったんだろうね?

 この調子で「なんで」を増やしていったら、終わりがない。

 問いかける対象は、それこそ数えきれないくらいありそうだぞ?

 そのわりに、なんでとの付きあい方が下手っぴというか、慣れてない。

 いつか慣れることができたとき、ぷちたちのなんでコンボと楽しく過ごせるのかな?

 わからないや。わかりたいと思うことだけかな! わかることといったらさ。

 なのに「いつか慣れたら」なんて言ってられないから困る。

 ままならないね!

 いまをどうするか。それだけで精いっぱいなときほど、それだけじゃ足りないなんてさ。


『わびぬれば身をうき草の根を絶えて誘ふ水あらばいなんとぞ思ふ』


 小野小町の歌だ。

 うつうつしたしんどいとき、根は絶ち、浮き草として、誘う水があればそちらへ流されていく。頼りになるもののほうへと。

 わかること、知っていると一見おもえることへと向かっていく?

 どうだろね。

 わかろうとしたいこと、知るということのむずかしさと過ごすことへの頼もしさがあるほうへと流れていく?

 それもどうなんだろな。

 上から下へ。太い流れへと、流れ流れて、どこまでもいくのかな。

 樹木は内から外へと育っていくという。年輪を刻みながら。外側がいままさに、生きている部分で、内は言ってしまえば死んだ細胞の名残とも。けれど、街路樹にたまに見かける空洞が見える樹木は、風に弱いとも言う。

 暴風雨。台風。耐えられるかどうかを考えたとき、内に芯となるものがあるかどうかは耐久力に影響を与えそうだ。なら、樹木は内に残るものを、どうしているのだろう。残せるように、内に内にため込むのか。それとも、なにか別の仕組みがあるのか。逆にいまはまだないのか。再生する樹木はあるのか、ないのか。太古の昔から読み取る進化の系譜は?

 わからない。なんでが山盛りだ。

 キツツキが巣を作るし、虫が巣を作る。大きな樹の中は、外敵から身を守るし、天候の影響を受けにくくできる。彼らにとっても樹木が朽ちては困りそうなものだけど、気にするのか、していないのか。それらはそれぞれ、なんでなのか。

 わからない。

 いまわかっていることなら、検索すれば、それっぽいことが見つかりそうだ。

 たとえば研究している学者さんの、わかりやすい言葉が、そのまま学者さんの知識のすべてかというと? そんなこたぁない! さすがにない! と、思うのだ。

 だから、私が聞いたら「なるほどー」で済ませちゃっても、ぷちたちが聞いたら「それってなんでー?」と続いていくのだろう。

 いま「なんで」の答えがわからないことに恐れを感じていたら、とてもじゃないけど心安らかにはいられない。それくらい、本当はわからないことが世界にあふれている。

 どうせすべてをわかれないなら、もうわからないままでいいやっていうのもね?

 ちょおっと、問題あるなあ。

 配膳をやっと終えて、みんなと朝ご飯を食べる。

 おいしいのなんで? これ苦手なのなんで? 口の中がぴりぴりする、かゆいのなんで?

 求めてくる。ぷちたちが。


「なんでかな?」


 それはね、と。

 つづけて気の利いたジョークを言いたいときもある。

 つづけてくすぐってみたり、笑ってみたりするときも。

 だけど、ほんとはそんなに急がなくていい気がするんだ。

 いまは、もう。

 いまなら、もう。


「なんでだと思う?」


 答えてって焦る子もいる。泣いちゃう子さえいる。

 怒る子だっているよ?

 一生懸命、考えて、あれこれ思いついたことを言う子もいればさ?

 考えすぎてだまっちゃう子もいる。

 私が答えたら、それで終わり。そのリアクションに移るだけ。

 だけど尋ねてみると?

 そっちのほうが、ぷちたちのリアクションを見やすくなる。

 どういう感じ方をするのか、どういう考え方をするのかも。

 これがいいのかって?

 わからないよ! なんでだろうね? なんでだと思う?

 わからないから、考えてみよっか。

 そう思える頃にはもう、尻尾の穴が心を障ることがなくなってた。

 ただただ、問いが増えていくばかり。

 なんでかな? あなたが現われたのは。

 わからないけど、お礼を言いたい気分でいっぱいだ。

 ぷちたちと過ごして気づくこと、学んでいること、やまほどある。

 あなたが私を傷つけるだけだと知ったなら、そのときにはひどく取り乱して罵るだろうけど。

 勝手にするからさ。いまは感謝を。

 この先も健やかでいられるように、備えていくぞ。




 つづく!

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