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昌也

昌也は私の元同僚で元恋人だ


昌也は私が初めて配属された部署でチームリーダーをしていた

入社4年の若手にも関わらず、上司からの信頼も厚く、新入社員の私にも丁寧に仕事を教えてくれた


面倒見が良くて、気配りが上手で…優しい昌也に

私はどんどん惹かれていった

昌也もそんな私に応えてくれて…

休日も二人で会うようになった


そんな中…

昌也の転勤により、遠距離になった

これまで、毎日会わない日はなかったから寂しかった…


私が会いにいったりすることもあったし、昌也が帰ってくることもあった


その当時まだ姉はイギリスにいて

この家に一人で住んでいたので、昌也が帰ってくる時にはこの家で二人で過ごした


週末の少しの時間しか一緒にいられなかったが

幸せだった…



だが…

週末ごとに行ったり来たりする生活は長くは続かず…

忙しさも相まって

だんだんと昌也に会う機会も減っていき、喧嘩ばかりが増えた


昌也のことが好きだった

でも、そう素直に伝えることが難しいくらい私の心は拗れていた


別れは私から一方的に告げた

会社も辞め、昌也からの連絡は一切拒否した


それから、数年が経ち

姉に恋人ができたと昌也を紹介された時は

本当に驚いた


昌也も驚いていたとは思うが

お互いに顔には出さなかったし…

姉にも私たちの過去の話はしなかった


私と姉とは5歳差で

姉は大学を出てから8年ほどイギリスに住んでいた

1年半ほど前に日本に帰ってきて

また、この家で一緒に住むことになったが

私がどこで働き、誰と付き合ってたかなんて

全く知るよしもなかったと思う


姉はこっちに帰ってきてから、よく職場近くのバーに通っていた

そこで昌也と知り合ったようだ


まさか…姉を通して

昌也と会うことがあるなんて、思いもしなかった

姉は週末になると、うちに昌也を連れてくるようになった




最初のうちは

あんな別れ方をしたこともあって、気まずかったし…

姉と仲良くしている昌也を見ているのも辛かったから

昌也がきている時は、私は部屋に篭りがちだった



だが、ある時から

姉はやたら3人で過ごしたがった


複雑ではあったが…

次第に昌也がいる時間が楽しくも感じられるようになっていった


姉に対して罪悪感を感じながらも

昌也を奪おうなどと考えているわけでもなかったし、昌也にもそんな気はなさそうだった



ただ、

そんなある日のことだった…


夕食後、日頃の疲れか、すごく眠くなった私は早めに部屋に入った


しばらくして

ギッギッ…と

静かに階段を上がる足音が聞こえた


私の部屋の前でその足音は止まり…

コンコンと軽いノックの後

ギィーとゆっくりドアは開かれた


姉とは違う足音であることはすぐに分かった


「陽奈…」

そう、優しい声で呼ばれて…

ベッドの中で私は少し身構えた


「遥香がね、これ持って行ってあげてって言うから…

スマホ、リビングに置いたままにしてたから…

ここ、置いとくね」


それだけ言って…昌也は部屋を出て行こうとした


私は起き上がり…

ありがとうとお礼だけ言った


昌也は振り返り…


「大丈夫?疲れてるの?

ゆっくり休んでね」 


…それは、付き合っていたころ、夜の電話でよく昌也が言ってくれていた言葉だった


私は、胸にある思いが込み上げてきて…

昌也のシャツの裾を引っ張り…頬にキスをした…


昌也

「ダメだよ…陽奈、それ以上されると

俺、我慢できなくなる…」


そうニコリと笑って…階段を降りて行った


今思えば…この頃から

歪な関係はさらに歪つになり始めたように思う



















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