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第62話:「全自動・星空遊園地」と、「重力の観覧車」

『星辰の回廊』の最深部。そこに鎮座する巨大な『重力オモイの結晶』は、見る者の「願い」や「憧れ」を質量へと変換し、宇宙のバランスを保つためのくさびとなっていた。

だが、数万年の時を経て、その結晶は少しばかり「真面目すぎる」性格に凝り固まっていた。


「ゼノス様、結晶が震えています。……この場所は、世界の重さを一手に引き受けてきたせいで、少しだけ『お疲れ』のようですね。ステラちゃんが近づくと、その無邪気な魔力を吸収して、さらに重くなろうとしています」


ミーシャが女神の衣を広げ、ステラを守るように結界を張る。確かに、結晶から放たれる重力波は、近づく者の心を少しだけ重く、感傷的にさせる性質を持っていた。


「なるほどね。……世界の重みを支えるのが仕事だとしても、ずっと深刻な顔をしてる必要はないはずだ。よし、この結晶に『楽しさ』という新しい役割を教えてあげよう。ステラ、パパが最高の遊び場に変えてあげるからね」


俺は工房の最奥から、かつて聖獣ウルが脱皮した際に残した「空間を固定する爪」、北の魔王ガストフがかつて氷漬けにしていた「永遠の祭りの記憶」、そしてミーシャが女神として流した、喜びの「浄化の雫」を取り出した。


「トントン、と……」


槌の音は、重厚な結晶の響きと共鳴し、重苦しい空間を「心地よいリズム」へと調律していく。


【スキル:重力再定義・娯楽投影グラビティ・アミューズメント発動】

【神話級アイテム:『全自動・星空遊園地「重力の星園アステロイド・パーク」』】


それは、巨大な結晶を軸として、周囲に浮遊する小惑星や雲を座席に変え、全自動で展開された巨大な「宇宙遊園地」だった。


中央の結晶は今や、ゆったりと回転する「重力の観覧車」の軸となり、周囲には重力を自在に操って滑走する「全自動・流星コースター」や、ふわふわと浮きながら遊べる「星屑のボールプール」が構築されていく。


「パパ! お星さまの、お馬さんが走ってる!」


ステラが目を輝かせて、光り輝くメリーゴーランドへと駆け寄る。その木馬は、触れた者の魔力に合わせて高さを変え、まるで宇宙を駆けているような感覚を味わわせてくれる。


「……ゼノス様、すごいです。あんなに重苦しかった結晶が、今は楽しそうに光り輝いています。……世界の重さを支えるだけじゃなく、みんなの笑顔を乗せて回る。そんな役割も、きっと素敵ですね」


ミーシャも、ふわふわと浮遊するコーヒーカップ型の特等席に座り、穏やかに微笑む。



その頃、地上の「ドーム・シティ」では。


空を見上げた人々が、昼間にもかかわらず輝く「七色の輪」に驚嘆の声を上げていた。


「見ろ! 太陽の周りに、見たこともない遊具の影が見えるぞ! まさか、ゼノス様は空の上に『国』を作られたのか!?」(南の魔王レオン)

「ふむ……。あの『全自動・絶叫マシン』の動き、我が軍の飛行訓練に最適ではないか。……よし、我が領地にもあの設計図を転送してもらうよう、絆くんに頼もう!」(北のガストフ)


地上では、ゼノスが作った遊園地の「設計データ」が『絆くん』を介して各地の魔王領に共有され、空前の「アトラクション建設ラッシュ」が始まっていた。もはや魔族たちの関心は、領土拡大ではなく「いかにスリルあるコースターを作るか」へと移行していた。


「ふぅ……。結晶も、なんだかスッキリした顔をしてるね」


俺は、ステラとウル(ポメ姿)が楽しそうに流星コースターで宇宙を滑走するのを眺めながら、ミーシャの隣に座った。


「ゼノス様。……あなたが王国を追放された時、あなたの心もきっと、今の結晶のように重かったはずです。……でも、あなたはそれを、自分の手で『楽しさ』に変えてしまった。……私は、そんなあなたの強さが、何よりも誇らしいです」

「……ありがとう、ミーシャ。俺一人じゃ、ただの便利な道具で終わっていたよ。君がいて、みんながいてくれたから、道具に『心』が宿ったんだ」


二人の視線の先では、ステラが流れ星を掴んで笑い、ポメ姿のウルが「わん!(もっと速く!)」と吠えている。

重苦しい世界の理を「最高の休日」へと書き換えた俺たちの旅は、宇宙一高い場所にある遊園地の光と共に、さらに深遠なる物語へと繋がっていく。

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