第40話:四魔王の「究極接待」と、「全自動・神話級おもてなし宴会場」
ゼノスが作り上げた理想郷『ドーム・シティ』の完成を祝し、大陸のパワーバランスを司る「四魔王」が一堂に会することになった。かつては世界を恐怖に陥れた存在たちが、今や「ゼノスの新作家電」と「極上のメシ」を求めて、競うようにこの街へやってくる。
「ゼノス様、北・南・東・西の各魔王軍が到着しました。……ですが、お互いに見栄を張り合って、入り口で睨み合っています。面倒なので、全員まとめて氷漬けにして運び込みましょうか?」
ミーシャが庭のあちこちから立ち上る凄まじい魔力の衝突を感じ取り、不機嫌そうに銀髪を揺らす。
「まあ待て、ミーシャ。せっかくのお祭りなんだ。魔王たちの『プライド』を、最高に『リラックス』させてやろうじゃないか」
俺は工房の奥から、王国を追放される際に唯一持ち出した「錆びた鉄の鍋」と、教皇庁から取り寄せた「聖遺物のテーブルクロス」、そして四魔王からこれまでに献上された素材の余りをすべて取り出した。
「トントン、と」
【スキル:概念統合・至高の饗宴発動】
【作成完了:神話級アイテム『全自動・異次元おもてなし宴会場・「和」』】
俺がその小さな模型を中庭に置くと、空間が歪み、そこには「魔王たちの居城」をすべて合わせたよりも豪華で、なおかつ「実家の茶の間」のように落ち着く不思議な大広間が出現した。
「おお……これは……! 炎の魔力を吸い取って、ちょうどいい『床暖房』に変えているのか!?」
南の魔王レオンが、その温かな畳に寝転がって感激の声を上げる。
「私の吹雪が、最高級の『冷酒』を冷やす動力源に……。ゼノス殿、貴殿は天才を通り越して、もはや恐ろしいな」
北の魔王ガストフが、キンキンに冷えたトックリを片手に、感嘆の吐息を漏らす。
東の魔王シルフは「全自動・羽根磨きマシーン」にうっとりし、西の魔王クロノスは「時間が止まるほど美味い究極の酒の肴」に舌鼓を打っている。
「……ゼノス殿。私は決めたぞ。我が軍を解体し、この街の『火の用心・夜回り部隊』に再編させよう。こんな美味い酒が飲める場所を、滅ぼそうとする奴は私が許さん!」
レオンの宣言に、他の魔王たちも「賛成だ!」「我らも警備に協力しよう!」と次々に声を上げた。
その宴の様子を、広間の外で配給の列に並びながら、王太子アステリオスが震える瞳で見ていた。
「バカな……。伝説の四魔王が、あんな……あんな楽しそうに『一人の男』に傅いているだと? 私は……私はあいつを『無能』だと……『ゴミ』だと捨てたのだぞ……!?」
アステリオスが手にした配給のスープは、ゼノスの加護によって「悪意を持つ者が飲むと、泥のような味がする」という呪い(隠し味)がかかっていた。
「ペッ! 泥だ! 泥の味がする……! なぜだ、なぜ私だけがこんな目に……っ!」
「おじさん、行儀が悪いよ。食べ物を粗末にする人は、ゼノス様の街にはいられないんだよ」
かつて彼が「下賎な民」と切り捨てた子供に諭され、王太子は惨めに地を這った。
「ゼノス様。……魔王たちも、民衆も、そしてあのゴミのような王太子も、すべてがあなたの掌の上ですね。……ふふ、最高の眺めです」
ミーシャが俺の肩に頭を預け、幸せそうに目を細める。
世界を統べる王たちが「お酒の席」で平和を誓い、かつての王者が「泥の味」を噛み締める。
俺たちのスローライフは、ついに「世界平和」という巨大な呪具さえも、おまけで作り上げてしまった。




