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第39話:追放者の王座と、究極の「全自動・娯楽都市化計画」

ドーム型の『理想郷』が完成したことで、俺の拠点は単なる個人の家から、数十万人が暮らす「世界最大の都市」へと変貌を遂げていた。


「ゼノス様、難民の皆様が『一生ここで働かせてほしい』と泣きついています。……どうしますか? ミーシャが皆さんに『効率的な労働の呪い』でもかけておきましょうか?」

「ダメだよ、ミーシャ。せっかく『理想郷』に住んでいるんだ。働かせるんじゃなくて、楽しませないと」


俺は街の中心広場に立ち、王国から逃げてきた者、魔王領から手伝いに来た者、そしてかつての教皇庁の聖騎士たちが、入り乱れて暮らす様子を眺めた。

ここにはもう、かつての身分も、信仰による差別も存在しない。あるのは「ゼノスの作る道具による、圧倒的な豊かさ」だけだ。


「よし。みんなが退屈しないように、これを作ろう」


俺は工房から、レオンが持ってきた「噴火する溶岩の欠片」、クロノスの「停止する砂」、そして俺が昔、王国で「ガラクタ」として捨てられた時に持っていた「おもちゃのゼンマイ」を取り出した。


「トントン、と」


【スキル:物質娯楽・多重現実ファンタジー・ハブ発動】

【作成完了:神話級アイテム『全自動・超現実都市型・エンターテイメント・ジェネレーター』】


俺が広場にそのゼンマイを差し込むと、街の空気そのものが「物語」を紡ぎ始めた。

空には現実の風景を映し出す巨大なホログラムが展開され、地面からは子供たちが欲しがるお菓子や、大人が喜ぶ最高級の酒が湧き出る噴水が完成した。

さらに、街の至る所に「全自動・VR冒険施設」が設置され、誰でも安全に伝説のダンジョンを攻略できるシステムまで完備された。


「ひゃっほー! 本物のドラゴンと戦ってるみたいだ!」

「この酒、魔王の城でも飲めない最高級品じゃないか!」


街は歓声に包まれた。それは、王国が重税と圧政で奪い去った「生きる喜び」そのものだった。

その光景を、街の隅っこから隠れて見ている一人の男がいた。

かつて俺を追放したアステリオス王太子だ。彼は、零落してボロボロの衣服を纏い、王国が滅びゆく現実から逃げ出し、この理想郷に「ただの難民」として紛れ込んでいた。


「……あり得ん。なぜだ。なぜ、あの『無能』と呼ばれた呪具師が、これほどの天国を作れるのだ……! 私が玉座でどれだけ贅沢をしても、こんな笑い声は聞けなかった……!」


王太子は、自分がかつて「捨てる」と決めたゼノスの、圧倒的な「器」の差を目の当たりにし、心の中で何かが音を立てて崩れ去った。


「ゼノス様。……あそこに、見覚えのある汚らしい男がいます。王国の王太子ですね。……消しましょうか?」


ミーシャが影から鎌を出し、冷たく呟く。


「……放っておこう、ミーシャ。あいつに今、一番きつい罰は『自分が捨てたものが、どれほど輝いているか』を、この街の片隅で一生見せつけられることだ。一生、王座に帰ることもできず、他人が楽しんでいる姿を眺めるだけのモブとして生きてもらうよ」


俺の言葉に、ミーシャは満足そうに微笑んだ。

王太子は、自分が踏み台にしてきた人間が作り上げた「理想の国」の影で、誰からも気づかれることなく、飢えと後悔に震えながら、余生という名の「死ぬより辛い罰」を噛み締めていく。


「さて、ミーシャ。夜になったら『全自動・打ち上げ花火大会』をしよう。四魔王にも声をかけて、この街の完成を祝おうか」


俺たちのスローライフは、追放者の復讐を完遂し、世界中の誰もが憧れる「真の理想郷」へと完成されていく。


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