↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界のむつ市(最北端)へようこそ!  作者: 一条ひかり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/142

華やかなるお茶会と因縁の再会

アルスター公爵邸の広大な庭園で催される「ルナ・ソレイユ」のお披露目茶会。


その直前、イチカは控室でエオノーラ夫人の厳しいチェックを受けていた。


上品な刺繍があしらわれた、気品ある男爵令嬢向けのドレス姿を見た夫人は、不満そうに眉をひそめる。


「ダメよ、イチカ。そのドレスではまったく話にならないわ」


「えっ……? 一応、格式に合わせたものを用意したのですが……」


戸惑うイチカに、夫人は冷徹ながらも確信に満ちた眼差しを向けた。


「男爵令嬢としての場当たり的な身なりならそれでも十分でしょうけれど、今回は違うわ。これからあなたはこの王都で、我がアルスター公爵家の威信を背負って『戦場』に赴くのよ。あんな連中や、あのグラディス公爵家をぎゃふんと言わせるための『最高の装備』にしなさい!」


夫人の強い命により、用意されていたのは公爵家の息がかかった一流デザイナーによる、圧倒的な気品と気高さを纏った特製のドレスだった。


それを身にまとった瞬間、イチカの立ち姿はまるで戦場に赴く女騎士のように凛としたオーラを放った。


そして迎えたお茶会本番。


庭園の特設ブースに並べられた「ルナ・ソレイユ」の野いちごジャム、メープルシロップ、そして蜜蝋の美容用品は、王都の貴婦人たちの心を瞬く間に掴んだ。


アリスが熱心にその魅力を布教し、試作品を試した高位貴族の夫人たちが次々と絶賛。


用意した商品は飛ぶように売れ、ブランドは大盛況のうちに幕を開けた。


完全な勝利を収め、心地よい達成感に浸りながら庭園の回廊を歩いていた時だった。


ふと前方に、見覚えのある嫌な人影が姿を現す。


「――っ」


そこにいたのは、かつてイチカを理不尽に婚約破棄したグラディス公爵家の嫡男・レナードと、その傍らにぴったりと寄り添う、あの時イチカを嵌めたアイリ男爵令嬢だった。


華やかなお茶会の喧騒の中、最悪の因縁が目の前で交錯したところで、息を呑むような静寂が訪れるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。