襲撃
ひとまず訓練は一時中断してエミリアは発生した魔物への対応を決めるために走っていった。
「お姫様って本当に大変なんだな。流石にお姫様の仕事を手伝えるとは思えないけど。何かできることないかな?」
少し考えたものの無念なことに何も思いつけなかった。
1人で訓練もせずにここにい続けても邪魔だしょね。それに何かを試すにしても、何が起きるかわからなさすぎるから無責任に試したくないし。
魔法の訓練はもしかすると誰かを探せば教えてくれる人がいるかもしれないけど……そもそもエミリアが行ったのが魔物への対処だと魔法使いの人を捕まえるのもだめ無きがする。
よし一旦、部屋に戻って大人しくしておこう。
そう思って城内を歩き始めると、かなり慌ただしく騎士団と神官や魔術師など戦いにでれそうな人達が走り回っていた。
「……マジでそろそろ何かしないとあたしってお荷物じゃないかな? いや、考えても仕方ないって今自分で思ったばっかりだえしょ」
不毛な自問自答炉どうにか終わらせる。
せめて聖女としての自分の能力がわかっていれば、自分が動くべき時に備えて待っているってこともできるけど。
本当に聖女の能力があるのか自分でもわかってないせいで、もしも何もなかったらただの戦闘できない人員が1人来ただけではないか――なんて自分で考えてしまう。
あたしってそんなに悲観的じゃないと自分で思ってたんだけどな。
まあそれでもせめて能力がわからなくても魔法くらいは使えるようにならないと、ただの邪魔だよね。
うーん、駄目だ。頭の中で同じことぐるぐるしてる気がする。
それはそれとして人の動きが激しくて部屋まで戻るのも難しそうだけど――たしか近くに中庭に出れる扉あったと思うし邪魔にならないようにそっちにいようかな。
中庭にどうにか移動して壁際の影の中に座る。
「大混乱……それだけやばいってことだよね。だとしたら、普通はこういう状況だとあたしみたいな解決のために呼ばれた人がどうにかするんだけど……うん?」
あたしは染み付いたクセのようにスマホを取り出して通知がきてないか確認していた。
正直、無意識でやってるぐらいに元の世界だとスマホ触ってたよね。
今は電波もないってわかってるのに触るあたり、ちょっと問題かも――それはさておき。
「この通知なんだろ」
電波がないからそもそも通知がでるアプリなんて限られているわけだけど。
あたしが覚えている範囲でこの通知のマークは見たことがない。
だから、見覚えがないってことはこの世界に来ていつの間にか入っていたアプリの可能性が高いわけで。
あたしは通知をタッチして該当のアプリを起動してみる。
「流石にこんな気軽に通知が出るもので、周りに影響与える攻撃的なのはない……はずじゃない?」
起動したアプリを見ると、何とも言えない画面がでてきた。
あたしが知っているもので一番近いものでいえば――。
「ソナー? センサー? なにこれ?」
ドラマとかマグロの一本釣りの特番とかで船についてるみたいなそんな画面だ。
仮にそれと同じなら真ん中の点があたしというかスマホの位置で――画面を見ているとひとつ別の紫色の点が存在している。
そして徐々にこっちに向かっているような気がする。
「なんかきてる? いや、でもここお城だし城下町に城壁もあるよね?」
そんな事を声に出しながらも不安になって、あたしは立ち上がり中庭の中心の方に移動して、どこにでも逃げられるようにしつつスマホを見る。
「えっと、こっちが正面だとしてこの位置だから……こっちの方向?」
あたしはスマホをみつつ自分が見ている方向を調整して点が示している方向を見てみる。
まあ、当たり前で壁とその中で未だに忙しく動いている人達しか見えないけれど……。
画面上の表示であと数秒で目の前に現れそうな位置まで点が接近した時だった。
ズシンと地面が揺れる。
震度的にはまあ4前後かなとあたしは思ったけれど、周りは一層にざわついているところを見ると地震になれていないのかな。
もしくはこの世界において地震は何かの予兆になっているとか。
そんなふうに揺れに意識が持っていかれた時、中庭の地面の一部が盛り上がり始めた。
スマホを確認すると点の位置は中心とほぼ重なっている――つまり目の前にいてもおかしくない。
盛り上がった土の方向を見ると、土は少し元に近い状態に戻っていた――つまり地面の中にいた何かは出てこなかった。
というよりも地中に戻っていった?
でも、中庭の地面は土がむき出しになっていて石で敷き詰められたりしているわけじゃない。
あそこまで土を盛り上げられるなら飛び出せると思うんだけれど。
そんな風に状況を理解しようと頭を回転させていた時――あたしには残念ながら殺気を察する感覚は身についていないし鈍いようだ。
自分が立っている場所の増したが揺れる感覚と共に、少しの浮遊感に襲われる。。
思わず下を向けば土ごとあたしが持ち上げられていた。
「いやいや、ウソでしょ!? 冗談じゃないんだけど!」




