調査開始
翌日。
見張りは騎士団の人達が交代でしてくれていたようで、慣れないテント泊でぐっすりとはいかなくても十分に休むことが出来た。
テントから出るとあたしより先に起きていたらしい真琴は外でラジオ体操みたいなことをしていた。
「おはよう、朝から元気だね」
「おはよ。白奈は朝苦手なの?」
「寝坊とかで遅刻の経験はないけど。得意ってほどでもないかな」
あたしも眠気覚ましとこれからに備えて軽くストレッチをしたあとに準備を整える。
ひとまずはポーションをいくつかと魔力用のポーションって言われたものは用意してきたけど――改めて見ると結構使うの怖い色しているな。
使い方を聞いたら普通のポーションは怪我した時に傷口に消毒みたいな感じでかけるのが一番効果があるらしいけど、最悪体にかぶりさえすればいいらしい。
魔力用に関しては体にかけさえすればいいらしいんだけど。
冷静に緑系の色の液体と紫色の液体を体にかぶるっていうのも慣れてないと躊躇しそうというか……現実的に考えたらこの色ってジュースじゃなかったら使用注意のタイプの薬液が頭によぎる。
まあ、そんなこと言っている場合でもないけどさ。
「真琴は聖剣ないらしいけど、最終的にそれで大丈夫なの?」
真琴の方を見ると動きやすい感じの服装だけれど鎧は着てないように見える。
「黒の魔物相手で防御魔法をかけて戦う気なら、中に鎖帷子? でいいって言われて」
「魔力もつの?」
「よほど攻撃魔法に魔力を使いすぎたり数日の間休憩なしで戦い続けなければボクの魔力量なら持つって言われた」
「なるほどね」
「白奈のほうは……逆に何を装備しているの?」
「悩んだ結果、片手で使える盾と打撃もある程度できる杖を持ってはきたけど……結局は変身するしかないと思う」
一応、武器の訓練とかも一通り受けさせてはもらったけど……今回に間に合うほどの技術を身につける時間はなかった。
結果的に攻撃の回避方法と緊急的な盾で受けつつ攻撃を流す方法を重点的に教えてはもらったけど……付け焼き刃を言わざるを得ない。
「だから、あたしとしては一番の目的である浄化対象の大本までは戦闘は可能な限り避けていきたいんだけど、どう?」
「ボクはいいと思うけど……聖女に求められているのって黒の魔物の退治もじゃ?」
「大本をやったあとなら、それ以上生まれなかったり一時的にでも黒の魔物が生まれる原因が収まるなら対処の時間がとれる。今、無駄に消耗して目的を達成できないよりはいいとあたしは思う」
「なるほど。それはたしかにそうかも。それなら、まあこそこそといってみよう」
あたしたちは準備をすませると騎士団の人達に出発を伝えつつ森の中へと足を踏み入れた。
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森の中に足を踏み入れてすぐに異変が起きる。
外から見ても薄暗く見えていたけれど。
「これは想像以上というか……もはや結界でもはってあるんじゃないのかな」
「まあ、そう言いたくなる気持ちもわかるくらい……一気に暗くなったね」
お互いを視認することは問題なくできるけれど……このあとに豪雨でも降るんじゃないかと言いたくなるような暗さだ。
「ボクが前で白奈が後ろで進もう。変身してない状態だとボクのほうが対処するにはいいし」
「了解」
森に入ってから足元や周囲に気をつけながらゆっくりと進む。
暗さのせいで少し時間の進み方が感じ取りにくいけれど、そこそこ進んだと思えるところであたし達は足を止めた。
「これは……少し厄介になっちゃったね」
「そうだね。あたし達だとあんまり隠れ方がわからなくなっちゃった」
あたしたちの視線の先には森が途切れて枯れた木がちらほらとは立っているけれど、素人だと隠れる場所が少ないといえるくらいに開けた大地が広がっていた。
黒の魔力の気配も濃くなってきていて、死にかけの大地とも言えるかも知れない。
「せめて、すぐに目的地が見つかってくれるように祈りつつ木の影を忍者風に移動する?」
「強行突破よりはそっちのほうがよさそう」
あたし達は森の中で10分程度休憩をしてから、覚悟を決めて開けた大地に飛び出した。




