浄化準備
更に数日が過ぎた。
エイルさんにあたしなりに描いた宝石らしき装飾品の絵と特徴を文字で補足しておいた情報を渡したけれど、結果が出るかはわからない。
その他に何をしているかと言われれば変身せずとも体の使い方は学べないかとこの世界における武術とかがないか調べてみたんだけれど。
ネットなんてものはないから本や人に聞いてみるしかない中でわかったのは……冒険者で拳にガントレットをつけたりして戦う人がいるけれど。
武器なしで戦うことを前提とした拳の戦い方はマイナーで存在はしているがそれぞれの国や地域に根付いていたりで、資料としてしっかりと教科書みたいなものがあるわけではないらしい。
というか、そもそもこの世界の魔物や植物で毒だとかトゲを持ったものもいるし、ファンタジーの定番であるようなゴーレムもいるから武器を使うのが主流らしい。
言われてみたら納得はいく。
そうなってくるともうどうしようもないので、とりあえず体が鈍らないように筋トレとストレッチをやりつつ真琴が武器の訓練をしているのを眺めたり意見を求められたら伝えたりといったことをする日々だった。
そしてその日は唐突にやってきた。
日が昇った昼のことだ。
城の中でも人の出入りが少ない場所に呼ばれてやってきていた。
あたしだけでなくて真琴とローズさんもいるあたりは聖女に関わるなにかなのは想像がつく。
そして待っているとエミリアが人目を気にしながらやってきた。
「お待たせしました」
「まあ、あたし達は大丈夫だけど。改まってこんなところに呼ぶってどうかしたの?」
「はい。聖女のお二人にお力をかしていただきたい日がやってきました」
むしろ日々の生活はお世話になっている部分も大きいから、そこまでかしこまられるとむず痒い。
ただ、今は言わないでおこう。
「あたし達ってことは、黒の魔物に関係する話かな?」
「はい。前にお話したように世界樹の根から黒の魔力がでてしまっているのが今の世界の危機になるのは覚えていますか?」
「ぼんやりとは覚えているけど」
真琴の方を見るとあたしと同じような感じという反応だった。
「その根の中でも黒の魔力を地上に出してしまっている場所を大まかにですが特定いたしました」
「なるほど。つまりそこを浄化すれば、問題は解决ってことかな?」
「全てとはいいませんが、この国や周辺の地域についてはしばらくは安全になると思います」
「ならすぐにやってみよう……とは思うけど大まかにっていうのは?」
「黒の魔力濃度が想定以上に濃かったのです。本来であれば神官の加護によって身を守りながら浄化できるのですが。少し前までは浄化はできなくとも原因場所の捜索のためには動けていました。ただ、大本と思われる場所の近くはもはや通常の神官たちの加護では影響を防ぎきれず」
「聖女じゃないとだめってことね。まあ、あたしたちはそもそもそれの解决のために呼ばれたんだしね」
「ただ、そうなるとボクと白奈の二人でいかないといけないのか。ちゃんと、見てわかるかな?」
たしかに世界樹の根と言われていても魔力だから視認がしっかりできるのかってわからないな。
ただ、この前の魔物の黒の魔力ですらモヤモヤでわかるなら、それだけ濃いならわかりそうだけど……。
「おそらく見た目から禍々しさでわかると思われます。伝承によれば聖女はひと目でそれを見抜いたというものがほとんどですので」
「なるほどね……」
この世界に召喚された時点でわかるようななんらかがあたし達に備わっているってことかな。
「申し訳ありません。装備などについてはこちらでも可能な限り支援いたしますのでよろしくお願いします」
「任せてよ。むしろやっとあたしの本当の出番ってことだろうし。ただ、真琴は聖剣とか見つかってないけど大丈夫?」
「まあ、教会からもらった短剣があるし……魔法も使えるようになってきたから大丈夫。それに、あんな魔物が国の近くでうろついているってことは時間もないだろうし」
「よし、それじゃあ準備したらこの危機を解决しよう!」
「おー!」
ようやく見えた目標を前にあたしはやる気をどうにか上げた。
この前の戦いが一瞬頭に浮かんで痛いのが怖いとも思ったけれど、そんなこと言ってる場合じゃないんだもんね。
エミリアには準備に関しても明日に出発というほどの速度ではなく可能な限りベストな準備をして行ってほしいと言われた。
あたしと真琴は周りに相談しながらも世界樹の根を浄化するための準備を始めることとなった。




