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ピュアハート~異世界に魔法聖女爆誕!~  作者: 初雪しろ


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聖女にも色々

 異世界生活が始まってもう数日がすぎた。

 過酷な訓練とかまであるんじゃない?

 そんな想像は考えすぎだったみたいで、危機は迫っているけれど準備は大切ということでまずはこの世界の生活に慣れてほしいと言われてひとまず日々を過ごしてる。

 一緒に渡された聖女についての伝説をまとめられた本を渡された――ただ、こういうの読んでも正直なところ頭に入りきらないんだよね。

 小説もラノベですら好みにハマらないと全然頭に入らないっていうか。

 それでもなんとか読んだ中であたしが理解できたのは――聖女と一口にいっても歴史的に見て色々な聖女がいたってことと、同じ時期にひとりだとは限らないってこと。

 戦う聖女もいれば癒しの聖女もいたらしい。


 さて、そうなると――あたしってどんな聖女なの?


 あたしはそう思いながら部屋に用意された全身鏡の前にたって改めて自分を見てみる。


「別に筋肉もついてないし、身長も変わってないし~」


 普通の黒髪でポニーテールにまとまった髪があって、服は部屋にいる時は寝間着なのかわからないけど用意してもらったワンピースを着ている。

 一応、元々着てた服というか制服もあるにはあるけど用意されるとどっちが正解なんだろう。

 それから、お風呂の文化は出来ているみたいで入らせてもらった時にお腹を確認したらたしかに何かの印が存在していた。

 こすっても落ちそうにもないけど、タトゥーみたいに彫られた感じでもない……使命を果たしたら消えると信じよう。

 エミリアに聞いたらわからないと言われたからそうするしかない。


「次にエミリアに会えた時に、改めて聖女の力? について聞いてみよう」


 実のところエミリアとは毎日絶対に会えるわけではない。

 危機が近づいていることもあるけれど、どうやら代替わりがあったとかでお姫様として凄い忙しいらしい。

 だからたまに、のんびりとまでは言わないけど何もせずにいて良いのかとは思うけど。

 あたしはあたしのことがちゃんとわかっている。


 正直なところ、ファンタジーの貴族とかの上下関係とかそういうことがわからないから余計なことをしてしまう可能性のほうが高い!

 それなら、むしろ大人しくしていたほうがいいと思う。

 決して怠けているわけじゃないって感じ。


「聖女様」

「わおっ!?」


 あたしが口には出さずに心のなかで呟きながらうんうんと唸っていたら、いつの間にか部屋に入ってきていたメイドさんに呼ばれてびっくりした。

 この人たち、本当に気配なく入ってくる時多いんだよね。

 たまに寝ているうちに部屋掃除されてることあるし……家だとあたしはトイレの流れる音でも寝付き悪い日は起きちゃうくらいなんだけど。

 まあそれはさておいて。


「な、なんでしょう?」

「体調などはいかがでしょうか」

「へ? まあ、おかげさまで元気ですけど」

「明日に姫様からお話があると言付かっております」

「は、はい……えっと、部屋で待っていればいいってことですかね?」


 そもそも外にはまだでたことないけど。


「はい。お迎えに上がります」

「わかりました」


 メイドさんはそういうと去っていった。

 わざわざ言付けしなくてもいいような気もするけど。

 もしかして、過去の事例とかで脱走した聖女とかいたのかな?

 もっとすんなり記録とか読めるようになれば、あの本に書いてあったかも知れないけど。

 改めて読む気は今はおきないかな。

 まあ、心の準備だけしておこう!

 あたしはそう決心したものの、特別に何かをするわけでもなくその日が過ぎていった。



 そして翌日。

 この世界だと正装とは言えないかも知れないけれど制服を着つつ彼女が部屋に来るのを待っていた。

 もうすぐお昼時といったところだけど……。

 そう思った時、扉がノックされる。


「どうぞ~」

「おまたせして申し訳有りません」


 開いた扉からエミリアが入ってきた。


「大丈夫。むしろ、現状あたいはお世話になってばかりだしいくらでもあたしのことは待たせていいくらいだから」

「いえ、そんなことは。こちらの都合で召喚してしまったのですから、せめて生活だけでも不便のないよう――」

「よーし、この話はおしまい! それで、今日は改めてあたしは何をすればいいの?」


 丁寧に扱われること自体はいいんだけど、少し過度すぎてちょっとこちらも申し訳なくなって疲れる時がある。

 しかも、エミリアってお姫様なわけだし。


 ……今更だけど呼び捨てしちゃってるけど、あたし大丈夫なのかな。

 一度もそこについて言われたことはないけど……聖女だからだよね。

 いや、エミリアは本当に気にしていないかもしれないけど、メイドさんはあたしが聖女だから言ってないだけで思うところはあるよね。

 でも今からいきなり態度悪くしたら、聖女との関係性がどうこうとかなりそうだし。


 やばい……偉い人の人間関係ってすごくめんどくさいのかも。


「来ていただきたいところがあります」

「聞いてもあたしはわからないかもだけど、そこで何をするの?」

「私も詳しいことはわからない部分もあるのですが、聖女様の素質を見るとのことです」

「なるほど?」


 あたしの素質といわれてもピンとはこないけど……それこそ見た目は変わってない。

 もしかすると、そこがわかる方法があるのかな。


「よろしいでしょうか?」

「うん。それなら行こう」

「では、ついてきてください」


 エミリアはそう言うとあたしのことに気をかけつつ歩き始める。

 あたしはひとまずエミリアについていく。まだ今いる場所も部屋を出て油断すると迷いそうになるし。

 そしてしばらくして地下への階段を降りていき、壁に一定間隔でつけられているランタンの小さな光がテラス石造りの通路の行き止まりにある木製の扉の前にたどり着いた。

 本当にどうやって素質を見極める気なんだろう……。

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