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ピュアハート~異世界に魔法聖女爆誕!~  作者: 初雪しろ


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トドメの一撃

 まだ腕を振り回したりはしていない。

 あたしは魔物に対してパンチを叩き込んでから背後に走り抜ける。

 流石に直前に攻撃した相手には反応をしてくれる。

 防御があきらかに弱そうな方を狙うとか、そういう考え方を持っている相手だったら気を引くとか無理だった。


「輝け『シャイン』!」


 そして魔物が完全にあたしだけを視界に捉え始めたところでそんな声が聞こえて魔物の体が揺れる。

 どうしても魔物の体が壁みたいになって、どんな魔法かしっかりは見えないけど。


「あなたはあたしの方を見てなさい!」


 魔法に反応して体の向きを変え始めたところで、こちらからも魔力の玉をぶつける。

 しばらくは作戦が上手く言ってそれの繰り返しになった。

 ただ、あたしのほうの魔力が流石に変身維持や倒すための一撃を考えるとこれ以上は無理に使えないぐらいになってきた。

 そろそろ決着をつけたいところだけど……元気なんだよね。


「大丈夫!?」


 あたしの動きが少し鈍くなってるのを感じたのかそんな声が聞こえた。


「まだ大丈夫だけど、そろそろ決着つけたいかな」

「こっちも頑張るけど……まだこれでも弱ってないの?」

「わからない!」


 黒の魔物がわかりやすく弱ったサインでもあればいいのに。

 この前の戦いは無理やり大出力で倒して終わったせいでそこらへんがわからなかったんだよね。

 そう思っていた時だった。

 彼女の魔法が命中した時、魔物がよろめいた。


『アアアアアア!!』


 一瞬倒れてくれるかと期待したけれど、期待は裏切られて雄叫びを上げて再び動き出す。

 ただ、先程までと目に見えて違った部分が見えた。

 どこからというのはわからないけれど、魔物の体から黒いモヤモヤのようなものが漏れるようにでている。


「せいや!」


 あたしは魔力を抑えるためにだけれど魔物にアッパーパンチしたら、命中した瞬間に漏れ出る黒いモヤモヤの量が増えた。

 もしかして、黒の魔力が体から抜け出ている?

 黒の魔力から生まれた魔物だとしたら姿形を保てなくなっているとか。

 どちらにせよ、弱っているという判断でもいいかもしれない。


「やるなら1回分しかもう残ってないけど……やってみるしかない!」


 あたしは杖に今まで以上に魔力を集中させる。

 ただ訓練の時にエミリアが大丈夫と言っていた魔力量だと倒せるかわからない。

 体感だけど、あたしが唯一戦ったモグラよりもこいつは強く感じたから。


「ねえ、数秒でいいから動きを止められない!?」

「やってみるけど、ボクも器用にタイミングとかまで合図できないからそこはそっちで!」

「そこはあたしが調整するからお願い!」

「了解! よーし『チェーンバインド』!!」


 そんな声が聞こえた瞬間、光の鎖が魔物を縛り付けた。

 とはいえその巨体とパワーにはあまり耐えきれそうにないけれど……あたしが魔力を溜めるには十分だった。


「よーし! って、へ!?」


 あたしが杖に思う限りの量を流し込んだ時初めての反応を示した。 

 杖にはめ込んでいるピンクの宝石が同じくピンクに輝いている。

 そして頭の中に使い方が浮かんだ。


「よし、とどめ!」


 杖を振り上げるのではなくて先端を魔物に向ける。

 そして――。

「貫け! 『ピュアハート・ストライク』!」


 浮かんだ言葉をそのまま叫んだ。

 瞬間、杖の先からビームといえる魔力が魔物に向かって放たれる。

 前のモグラの時ほどの無差別な量じゃないが、代わりにしっかりと溜まった魔力が固まった一筋の光線。

 それは魔物の上半身を貫いたように見えた。

 当たって数秒、魔物が膝をついて倒れた。

 そのまま警戒していると体から黒いモヤモヤが空へと消えいくと共にその体も消えていった。


 どうにかなった……でもその技名はどうなの?

 もう少しなかったのかな?


 魔物が消えたのを確認して緊張の糸がきれたのかそんな溜め込んだ疑問が一気に頭に浮かんできた。

 そして反対にいた彼女もあたしの近くへとやってくる。


「どうにかやったね。でも、流石にあれはボク1人だったら倒せなかった。えっと、それで改めてなんだけど」

「待って……」


 頭疑問が浮かんだと同時にゆっくりともうひとつもやってきた。

 今回も結構魔力は使い切った感じだ。

 前ほどではないけれど……ガス欠である。

 変身が自然にとけてその瞬間に腰が抜けたように足に力が入らなかった。


「わっ!? 大丈夫!? ていうか、え? 服変わった!?」

「ごめん、疲れた……質問は休んでからで。あたしも聞きたいこといっぱい……」

「ちょ、ちょっと!? 大丈夫!? ねえ!?」


 彼女が体を受け止めてくれたのを体感すると意識の方もダメだった。

 次の戦いはちゃんと自分の足で帰れるようにしないとやばいな。

 そんな反省の気持ちを最後に気絶した。

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