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ピュアハート~異世界に魔法聖女爆誕!~  作者: 初雪しろ


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戦いのこわさ

 戦い始めてから体感で数分が過ぎた。

 こっちから攻撃する隙を伺えずにただ時間が過ぎて魔力だけが減っていく。

 戦っていると集中してるせいで感じづらいけど、変身しているだけでも魔力は減っていく。

 技を使う時と比べたら減り方がわずかだからすぐに気付けないだけで。


「せめて、もう少し一撃一撃が遅ければあたしでもやりようが思いつくのに」


 がむしゃらな攻撃を大きいサイズでやられるとこんなにも厄介なんて。

 モグラは一撃一撃が大振りだった。そのうえでおそらくだけど思い一撃というよりも爪で貫いたり切り裂く攻撃だからパワーそのものは普通だった。


 今回の敵は見た目通りのパワータイプな上に筋力に物言わせて腕を振り回して殴りかかってきてる。

 問題は筋力と体格差で一撃が嫌でも重いのもそうだけど、明らかに太くて重い腕のはずなのにかなりはやい。

 まさしく脳筋といった攻撃なんだ。

 理性なき攻撃といえる。それこそ物心付く前のこどもが何かを訴えるかのごとく手足をバタバタさせるみたいに。

 でも、あの鉄骨みたいな筋肉が見てわかる腕でそれをやられたらひとたまりもないって。


「重めの一撃をしてくれてそれを受け流して投げ飛ばせたりとか、勝手にイメージしてたのに無理でしょこれ!?」


 どうにか腕の射程からの回避はできているけどジリ貧だ。


「仕方ない。駄目で元々でやるしかない!」


 あたしは更に距離を一度取って宝石と端末を取り出す。

 そして、短い杖を召喚した。


「魔力の量の調整は多少効く。トドメの一撃になるほどの玉じゃなくて小さい……そう! イメージ的に言えば必殺の玉がバスケットボールならテニスボールぐらいの玉のイメージで!」


 杖を手に取りあたしはそう自分で想像しやすいよう呟く。

 そのまま杖に魔力を溜めてイメージ通り小さい玉を魔物めがけてとばした。


『ググウ』


 一応、自分にとって嫌なものだと気がついたのか両手でガードされたけれど、攻撃の手は止めることが出来た。

 問題は変身して身体能力任せに戦っている時と違って、確実に魔力の消費は激しくなる。

 ここからはあたしの魔力とあちらの魔力のどちらが先に尽きるかの勝負になってしまいそうだ。

 聖女ってこんな泥臭い戦いするイメージなかったんだけどな。

 今のあたしは聖女というよりも勇者だし勇者というよりも聖剣に選ばれたけど腕はまだない新米って感じかも。


** * *


 杖を使い始めてからさらに戦いが続いて、少し息切れする程度に疲れがではじめた。

 敵といえばこの前のモグラ同様でダメージがあるリアクションはするけれど、弱っているのかまだまだ元気なのかの判別をつけられそうにないぐらいには元気だ。


『ガアアアア!』

「ゾンビみたいにわかりやすい弱点あるわけじゃないし!」


 攻撃を回避しつつ愚痴をこぼして玉を放つ。

 ただ、流石に息切れする程度に魔力か体力か消耗していたらその時は訪れた。


「あっ、やばっ」


 回避後の着地時に少しだったが足をすべらせた。

 疲労もあるけれど、魔物の攻撃で地面がひどいことになっていたのも原因だと思う。

 その一瞬で間合いを詰められて腕の一撃を受けた。

 反射的に腕で顔などが直接腕にぶつからないように防御はでいたものの衝撃波受け止めきれない。

 運が良かったのは地面に叩きつけるというよりも横にぶん回した攻撃にあたって魔物との距離ができる形で吹き飛んだこと。


 でも――。

「いったぁああい!?」


 木にぶつかって辛うじて止まりつつ無自覚に叫んでいた。

 変身でなんらかの形で防御がされているとはいえ、誤魔化しが聞かない程度の痛み。

 ただ、当たり前だけれど敵はそんなことはお構いなしにこちらに向かって走ってきていた。


「やばいけど……どうしよう」


 あたしは先程までのように距離を更に取りたいと思ったけれど、開けた空間の端っこの木にぶつかっている。

 こうなると森の中に逃げるしかないけれど……もしもあの魔物が器用に木々の間を抜けて追いかけてきたらまずい。

 かといって横に逃げたとしてこの位置だと、魔物も同じ方向に曲がりながら向かってくるだけ。

 痛みが残って少し恐怖心も生まれているけど、受け止めるしかない……!?

 そう思った時だった。


「『シャイン』!!」


 誰かの声が聞こえたかと思うと魔物の背中に何かがぶつかったような音が聞こえて転んだ。

 そして、魔物さらに後ろのほうに黒髪の……短剣を持ったセーラー服の少女が立っていた。

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