初めての城下町
更に数日が経って外に行くには人がいなくてやれることがない日。
あたしは意を決して城下町へと繰り出すことにした。
もちろんメイドさんとかには伝えたうえでなので、失踪とかと思われないように。
召喚された時に着ていた制服は扱いに困って聖女であることを示すべき時とかに着ると最近決めた。他の日はエミリアが用意してくれた服を着たりはしているものの、素人目でも高価なのがわかるんだよね。
流石に社交界で着そうなドレスとかを日常的に着るように容易はされてないんだけど、普段着として着れるように用意してくれた服ですら少しあたしのほうが食われてる感じがする。
まあ、選択肢は多くはないし贅沢は言えないのでその中でも可能な限りあたしの想像の城下町の人混みに溶け込める服で外に繰り出した。
お金に関しては無尽蔵に用意されてもこちらの心臓が死にかねないけど、まったくないとそれはそれで困るなと思っていたら。
この前の黒の魔物を退治したことの報酬として冒険者に依頼した場合の相場程度を渡された。
その相場もエミリアが言っている相場だから本当に適正価格科はあたしにはわからないんだけど……多めに渡してくれていそうって意味で。
ひとまずそこらへんの気持ちはすぐにどうにかできるものではないから頭の隅においやる。
あたしが初めて城を出て城下町に足を踏み入れると思った感想は――ファンタジーだなって感じだった。
海外旅行とかも経験がないせいでこういう街並みはどうしてもアニメとかドラマのイメージになってる。
「改めてみるとマジで大きい……あたしが中で迷うわけだよね」
たまに訓練で外に出る時はそっちに頭が言っているから気にしてなかった。
「まあそれはさておいて……えっと、ローズさんが言っていたお店は」
店名はわかっているんだけど城下町の地図とかももらっておけばよかった。
通りの表にあるお店だといいけど。
ひとまずあたしは街の人通りのある大通りを歩いてみることにした。
歩いている人も結構バラエティ豊かで冒険者と思わしきがっつり装備をつけている人もいれば軽装で買い物をしている人もいる。
それとたまに体に人間とは違った特徴を持つ人もいるけれど、特に視線が集まっているとかはないから共存できているのかな?
城には人間とでもいえる人しか見たことはなかったけど……そもそも人がいすぎて全員と挨拶が出来ているわけでもないと思うし。
何より王の謁見の間みたいな場所とかエミリアが普段仕事しているであろう場所とかは行ったことないから城の中でもあたしがいる位置は居住区画みたいな場所なのかな。
「それにしても……武器やとか防具やは普通に誰でも入れそうな場所にあるけど、目的のお店に限らず魔法関係のお店が大通りに見当たらない」
魔法って別に危険視されているわけではないんだよね?
いや、すれ違った人の中に明らかな魔法使いっぽい人達もいたし、城の中にもあれだけいる。
ある程度適正に左右されるとか言ってたけど、身を隠さなければならない何かではないよね。
迷いそうなのと現代の日本ですら路地裏は一定の危険の可能性があるから入りたくないんだけどな……。
もう少し大通り見てからにしよう。もしかすると街の中の地図とかが掲示板みたいな感じであるかもしれないし。
あたしはそう思いつつ再び歩き始めた。
そして国の外にでる出入り口と思わしき大門までたどり着いた。
「えっと、ここは……城があっちに見えるから」
あたしは一旦現在地を確認する。
方角だけは城の向きを基準にして覚えたから大雑把にはわかる。
つまり、ここは東門かな。
「お嬢さん、誰かのお迎えですか?」
周りをキョロキョロと見ていると見張りを思わしき兵士に話しかけられてしまった。
「あ、いえ……まだ街になれていなくて。お店を探しているんですが」
お嬢さんとか言われて若干緊張してしまった。今の言葉遣いで大丈夫だったかな。
というか、今更だけどあたしが聖女ってことはバレていない――そもそもどこまで知らされているんだろう。
「そうでしたか。名前か特徴などはわかりますか?」
「えっと、このお店なんですが」
あたしはメモを見せつつ店名部分を指さす。
「このお店は西門近くですね。少し遠いですがまっすぐ中心の通りを抜けて反対の門の近くまでいけばわかると思います」
「ありがとうございます」
「いえ、お気をつけて」
兵士はそういうと持ち場と思われる場所まで戻っていった。
だけど真反対に来ちゃってたのか。
まあ、のんびり向かってみようかな。




