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ピュアハート~異世界に魔法聖女爆誕!~  作者: 初雪しろ


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今できること

 聖女になってどれくらいたっただろう。

 夏休みとかだと残り何日だとか気にするけど、終わりの日が決まってないせいで少し感覚が狂ってきた。

 いや、そもそもこっちに来た日をちゃんとメモったりしてなかったあたしが悪いんだけど。

 変身ができるようになってから少しの時間が過ぎた。

 騎士団の訓練所で変身しての訓練は目立ったり狭いということで、国の外につきそいで来てくれる余裕のある人がいる時は外にでて色々と他にも試したりしつつ。

 外に出れない日は部屋だったり中庭で筋トレをしてみたりしている。

 ホームシックみたいなものは意外とこないのは助かってるけれど、変身するために必須なのはスマホだから仕方ないけど娯楽を思い出してたまにイライラしていたりはする。

 最初の頃は混乱だとか何も出来ないことからくる不安とかで気になってなかったんだけど。

 余裕がでてきたわけじゃないけれども、やるべきことが出来たことで思考の余裕が生まれた結果がこのイライラ……だと思う。

 せめてあたしがチェスとかみたいな頭脳ゲームを楽しめたら、そのてのボードゲームは近いものがあったんだけど。


「ローズさん。あたしはこれ以上でいることは待つことしかないの?」

「訓練以外となると私もすぐには思いつきませんね。というかシロナさん、私のところに来ていて大丈夫なんですか?」


 あたしは部屋にこもっているのもよくないと思いつつも、いく場所が思いつかずに忙しそうでないタイミングには地下のローズさんの部屋を訪れていた。


「エミリアにも許可もらってるから大丈夫。いや、別に城下町とかに行ってもいいって言われてるんだけど、あたしの服装って目立つじゃない」

「こちらの世界の服を姫様も渡していませんでした?」

「寝間着とかはまだいいんだけど。その他の服はなんというか城下町を歩くには少し気品が強いというか」

「あ~……姫様は小さい頃からあまり城下町にいく暇もありませんでしたからね。そのあたりの感覚はもしかすると……」


 多分、高価なものが好きだとか浪費家ってわけじゃないのはわかる。

 環境的にそういう服装を当たり前に求められてきたが故の常識の結果何だと思う。

 ただ、ドレスコード的には若干城下町に対してはズレているから結局着ていく勇気がないし、かといって忙しそうなエミリアにこれ以上を求めるのもしたくない。


「そういえば、エミリアってかなり若いと思うんだけど。もう王位? を継いでいるの?」

「ここ数年の話ですね。黒の魔力の騒動が段々と無視できなくなり聖女の召喚の準備を始めたといったところで、国の近くに大型の黒の魔物が出現したんです」

「…………」


 なんとなくそこから先は想像がついた。

 先代であろうエミリアの両親がその黒の魔物との戦いで亡くなったとかそういうことだろう。


「黒の魔物はどうにかなったの?」

「かなりの負傷者や死傷者を出しながらもどうにか。ただ、その一件もあり王位継承はもちろんですが聖女の召喚も急務となってシロナさんを召喚したという流れになります。まあ、それでも年単位の話ですが」

「他の国とは連携がとれたりはしないの?」

「とれてはいますが、聖女召喚に関しては各国それぞれの判断でといったところみたいです。黒の魔物の被害や魔力による被害も各国それぞれで起きていますから」


 なるほどね。

 まああのタフな魔物に対抗する手段が聖女が一番適切ってことになったら召喚は急ぐか。


「今まで危機が迫っていることは聞いていたけど、実際のところどのくらいの状況なの? エミリアには直接は聞いていいかわからなくて」

「過去の黒の魔力による被害などで考えると……最悪の一歩手前ほどですかね」

「そんなに!? 黒の魔物の調査とかはしてたけど、あたしに対しての急かし方は強引じゃなかったし少し甘く考えてたかも……」

「いえ、むしろそこに関してはきちんと場所を把握して一番重要な部分をシロナさんにどうにかしてもらわなければならないので。逆に私たちができることは私たちがするのが筋だと……姫様は考えているのかと」

「そういうものなの?」

「いつかは調査含めてシロナさんにしてもらわないといけないかもしれませんが……せめてこの国にいる間はという姫様の考えだと思います」


 やっぱり、国のトップっていう立場につくからにはそういう考え方が自然に身につくのかな。

 かわいい姫様に見える時はあるけど仕事とかしている時はあたしのほうが子供に感じる。


「ローズさん。改めてあたしが今もっとできることってないかな」

「シロナさん……そうですね。訓練以外となると……城下町の魔法道具店や宝石を調査してみるのはどうでしょう。姫様から聞きましたが、何やら聖女としての能力に関係するものがあるかもしれないとか」

「なるほど……」


 少なくともあれが判明してからエミリアが城の中の倉庫や宝物庫にあるもので対応するものがないかは確認したみたいだけど見つからなかった。

 城下町でそんな簡単に見つかるかは置いといて、専門家から話を聞いてみるという点でもいいかもしれない。


 ただ、問題は……。

「ローズさんも一緒に行ってくれます?」

「いえ、私はあまり人付き合いの観点では役に立たないので……」


 そうなるとひとりでいくしかないのか。


「うーん……しょうがない。いつかはどちらにせよ行ってみないといけないし。タイミングを見ていってみる」

「お力になれずすいません……あ、ですが、えっと、お待ちを」


 ローズさんはそういうと小さい紙に何かを書いて渡してくる。

 受け取って中を見ると何かの名前っぽいけど……。


「魔道具などで私が物入りの時にお世話になっているお店です。私の名前をだせば、やすくなったりはしませんが話する分にはスムーズになるかと」

「なるほどね。ありがとう、いってみる。とはいえ、今日は夜までローズさんの魔法研究見せてもらってもいい?」

「見てて面白いものでもないとは思いますが、それでよければ」


 あたしは1日ローズさんの地下室で過ごした。

 魔法の研究は見てて新鮮なことも多かった――まあ魔法陣とかその他のこと含めて意味は理解できなかったけど。

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