魔法を使ってみようとした
「シロナ様。それではやっていきましょう!」
「お、お~」
数日後。あたしの完全回復とエミリアの時間がとれたタイミングのこと。
国の外にあたしたちはでてきていた。
エミリアがいうには魔法の試し打ち程度はともかく、聖女の能力がこの前ほどだと空に向かって使えればいいけれど、万が一に城内に被害が出る可能性があると騎士団の訓練所も安全とは言えないとか。
「まずは初級の魔法から……なのですが先に伝えておきます。使えなくてもあまり落ち込まないでください」
「どういうこと?」
「魔法はある程度生まれついての才能に左右される部分があります。適正がない方でも努力すれば初級魔法ぐらいまでは使えるようになる例もなくはないのですが」
「まあ、なんとなくわかった。でも、魔法使えなくても魔力は使えるみたいな人はいるの?」
この前の戦いで魔力と思えるエネルギーを溜めたりは意識してできたんだけど。
「いますね。なので魔法使いにならずとも武器に魔力を込めることで威力を上げることなどができますし。黒の魔物に対峙する聖騎士などは聖なる魔力を武器にこめて戦います。まあ、それでも圧倒的に聖女の魔力の方は効果的にはなりますが」
「なるほど……りょうかい。それじゃあ、あたしは何からやればいいの?」
「ひとまずこれを」
エミリアはそう言って大きめの木の杖を渡してきた。
受け取ってみてよく見ると先端あたりに小さい石ははめ込んである。
「魔法は適性があれば何もなしに使うことも可能ですが、魔石を通して発動させることで魔力の消耗を抑えることが出来ます。もっといい魔石や宝石をはめ込んだ杖であれば威力を上げる手助けにもなるんです」
「へ~」
ゲームとかで当たり前に杖とか装備にあったけど、よく考えると魔法使いの適正武器になっている理由わからないことも多かったかもしれない。
実際には理由がある……って何を真面目に考えているんだろう。
「ひとまず基礎魔法として『ファイア』があります」
「えっと、あたしのイメージだと火の魔法とか勝手に思ったけどあってる?」
「はい。異世界と言えども似通った部分はあるのかもしれませんね。杖の石の部分に魔力を溜め込み火の玉を目標に向かって投げつけるイメージをしてみてください。そうですね……目標はあそこにある大きめの岩でやってみましょう」
エミリアが指さした方向にはたしかに大きな岩があった。
「これって変身してやるべきじゃないの?」
「いえ、むしろシロナ様の能力を適切に把握できない間は、あの姿になるのは勝負どころにするべきです。いざ最後のとどめをさすべき時に力が使えなくなってしまってはシロナ様自信の危険にもつながります」
「な、なるほど」
「それに、歴代の聖女様は武器や防具やこの世界にあるものや職人が作ったものを作っているので、特別すぎる何かが必須では有りません。それで黒の魔力や魔物に対処できていることから、変身をしない状態でも一定の効果はあるかと私は考えています」
ものすごく考えてくれている。
あたしが見た目気にして恥ずかしいとか考えてたこと。段々と申し訳なくなってきた。
「それに純粋に自衛のために覚えておいて損はありません。私の国の中であれば私の立場などもあるので守ることも容易ではありますが。今後、申し訳ありませんが国の外にでて黒の魔力へ対処していただくこともあると思います。そうなれば絶対に治安がいいとはかぎりません」
「わ、わかった。あたしが考えなしすぎた」
「いえ……シロナ様が悪いわけではありません。私もまくし立てて申し訳ありませんでした。ですが、やはり自衛のすべは持っておくべきです」
「そうだね。ひとまず、エミリアが安心してあたしを送り出せるように頑張る。聖女側がいうのも変かもしれないけど」
「はい! では、やってみましょう」
その後、日が天高く上がるまでの間に色々な初級魔法を試していった。




