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第17話:一億ptの暴力! 『絶対零度の甘露(※ソフトクリーム)』と、聖女を狂わせる『運命の祭壇(※ガチャガチャ)』

「一億pt……。桁が多すぎて、もはや実感が湧かないな」


王国の特別調査団が嵐のように去った後、俺はウィンドウに表示された『100,000,000pt』という数字を見つめていた。

これだけあれば、プレハブ小屋を城に改造することすら可能だ。だが、ここはあくまで『コンビニ』。俺は初心を忘れず、店舗の設備を充実させることにした。


俺は『店舗設備・娯楽』カテゴリーから、一気に大型商品をポチった。


【店舗用 イートインスペース増築セット 特価:1,000,000pt】

【業務用 全自動ソフトクリームサーバー 特価:500,000pt】

【カプセルトイ自販機(中身入り・3台セット) 特価:200,000pt】


――ズゴゴゴゴゴォォォンッ!!!


強烈な地響きと共に、俺のプレハブ小屋(一階建て)の横に、ガラス張りの広々とした空間が物理的に出現した。


「な、なんだ!? また白亜の城が増殖したぞ!?」

お風呂上がりでくつろいでいたエレノアたちが、驚いて飛び出してきた。


「ちょっと休憩スペースを広くしたんだ。ついでに、新しいおやつもあるぞ」


俺はピカピカのイートインスペースに設置された『ソフトクリームサーバー』を操作し、コーンの上に美しい渦巻き状の真っ白なクリームを絞り出した。


「冷たいから気をつけて食べろよ」


俺がそれを渡すと、エレノアとヴィンセントは恐る恐るその真っ白な渦巻きに舌を伸ばした。


「「…………ッッッ!!!???」」


二人の目が、限界まで見開かれた。


「つ、冷たい! だが……なんだこの舌の上で一瞬にして溶け出す、暴力的なまでの乳の甘みとコクは!? 氷の魔法を使っても、これほど滑らかな極上の冷菓は作れんぞ!」

「この下にある器(※コーン)も食べられるのか!? サクサクとした食感が、クリームの甘さと完璧な調和を……っ! 脳髄が甘さでとろけそうだ……!」


最強の魔女と吸血鬼は、完全に顔をだらしなく崩し、ソフトクリームを夢中で舐め回している。


一方、聖女セシリアの視線は、ソフトクリームではなく、壁際に設置された『謎の機械』に釘付けになっていた。


「ア、アルト様……この、透明な箱の中に無数の丸い玉が入っている機械は、一体……?」


彼女が指差したのは、【カプセルトイ自販機ガチャガチャ】だ。


「ああ、それはガチャガチャだ。この硬貨を入れて回すと、中からランダムでアイテムが出てくるんだよ」


俺は専用のコインを一枚、セシリアに渡した。


「硬貨を捧げて、回す……。つまりこれは、運命を天に委ね、神の遺物を召喚する【運命の祭壇】なのですね……!」


(いや、ただの子供向けのおもちゃ自販機なんだけど)


セシリアは震える手でコインを投入口に入れ、ガチャガチャのダイヤルに手をかけた。

「大いなる光の導きよ……いざっ!」


――ガチャン、コロロッ。


プラスチックの乾いた音と共に、透明なカプセルが転がり出てきた。

セシリアが息を呑んでカプセルを開けると、中から出てきたのは……


『キラキラ輝く! お姫様プラスチックリング(ピンク)』


原価10円もしないような、子供騙しのチープな指輪だった。

だが。


「こ、これは……!!」

セシリアはそれを天に掲げ、歓喜の涙を流した。

「見事な透き通った紅の宝石! そして、信じられないほど軽い未知の金属(※プラスチック)! 間違いありません、これは大天使の加護が宿った『聖霊の指輪』です!!」


(いや、どう見てもただのプラスチックのおもちゃなんだけど!?)


「素晴らしい……! この【運命の祭壇】、もっと回したいです! アルト様、私の全財産をコインに換えてください!!」


セシリアは目を血走らせ、懐から大量の魔石と金貨を取り出してテーブルに叩きつけた。

それを見たエレノアとヴィンセントも、ソフトクリームを口の周りにつけたまま立ち上がった。


「ぬっ! 聖女ばかりに神具を独占させてなるものか! 私にもその祭壇を回させろ!」

「私なら一発で、伝説の魔剣を引いてみせる!」


こうして、迷宮第十層の異世界コンビニに、現代の恐るべき闇の文化『ガチャ(ガチャガチャ)依存症』が持ち込まれ、最強の居候たちは終わりのない沼へと沈んでいくのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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