第16話:国王の呪い? 『氷竜の鱗(※冷えピタ)』と『命の聖水(※スポドリ)』で解決する件
「……実は、私がこの迷宮深層に足を踏み入れたのには、重大な理由があるのです」
黄金のスープ(※コーンポタージュ)を三杯もおかわりし、すっかりアルト屋の虜になったゼノス団長が、急に深刻な顔つきになった。
「現在、王都は未曾有の危機に瀕しています。我らが国王陛下が、正体不明の『業火の呪い』に倒れられたのです」
「業火の呪い?」
「はい。全身が火のように熱くなり、とめどなく汗を流し、喉の渇きを訴えながらも固形物は一切受け付けない……王宮の最高位治癒術師でも熱を下げられず、このままでは数日の命と……」
ゼノスが悲痛な顔で俯く。その後ろで、聖女セシリアも「王家専属の治癒術師でも駄目なんて……」と顔を曇らせた。
(……全身が熱くて、汗をかいて、食欲がない?)
俺は首を傾げた。
「だからゼノス団長は、万病を治すという伝説のアイテムを探しに迷宮へ?」
「はい。しかし、アルト様のこの『白亜の神殿』に巡り会えたのは奇跡です。アルト様! あなたの持つ神具の中に、陛下の呪いを解くものはございませんか!?」
ゼノスが必死に頭を下げてくる。
俺は少し考えてから、ウィンドウを開いて『医薬品・健康』カテゴリーを検索した。
【冷却ジェルシート(大人用・16枚入り) 特価:300pt】
【スポーツドリンク(粉末タイプ・1L用×5袋) 特価:400pt】
これだ。発熱と水分補給の最強コンボ。
俺は異次元ロッカーから届いた青い箱と、粉末の入った袋を取り出した。
「ゼノス団長、まずはこれをおでこに貼ってください」
俺は箱から、プルプルとした青い冷却ジェルシートを取り出し、ゼノスに見せた。
「な、なんですかこの青く透き通った板は!? 触れてもいないのに、恐ろしいほどの冷気を放っています! まさか……伝説の『氷竜の逆鱗』を加工した神具ですか!?」
「まあ、そんなもんです。これを陛下の額にペタッと貼れば、熱は一気に下がりますよ。それと——」
俺はスポーツドリンクの粉末を水に溶かし、少し濁った半透明の液体を作った。
「呪いで汗をかくと、体内の水分と一緒に『ミネラル』っていう大事な力が失われます。この液体は、普通の水の何倍もの速度で体に吸収される特別な水です。これを飲ませてください」
ゼノスは震える手で、スポーツドリンクの入った水筒を受け取った。
「水よりも早く体に吸収される水……そんな馬鹿な! それはもはや、生命の根源に直接作用する命の聖水ではありませんか!」
「で、代金なんですが」
俺がそう言うと、ゼノスは懐からゴトリと、手のひらサイズの巨大な透明な石を取り出した。
「こ、これは……王家の宝物庫の鍵を開けるための『王宮の虹魔石』! 国の予算の半分に匹敵する価値がありますが、陛下の命には代えられません! これでどうか、氷竜の鱗と命の聖水をお譲りください!」
俺は虹魔石を受け取り、ウィンドウに近づけた。
『ピロンッ! 国宝級アーティファクトを吸収しました。100,000,000ptチャージされました』
「…………いちおく!?」
俺の口から、魂が抜けるような声が出た。
300ptの冷えピタと400ptのスポドリが、一億ptに化けた瞬間だった。
「感謝いたします、アルト様! すぐに王都へ戻り、陛下をお救いします! 全員、撤収!!」
ゼノスたちは嵐のように現れ、そして嵐のように(ポカリと冷えピタを抱えて)迷宮を去っていった。
残された俺は、一億という天文学的なポイント残高と、エレノアたち三人の呆れたような視線に囲まれていた。
「……アルト。貴様、ついに一国の王の命まで、そんなよくわからない青いシートで握ったのか……」
「おそろしい男だ……」
こうして、俺の異世界コンビニは、図らずも王国の救世主となってしまったのだった。
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