表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/18

第15話:黄金の粉末が化ける『神獣のスープ(※コーンポタージュ)』! 騎士団長の胃袋も掌握する件

「ル、ルンバよ……私に近づくなぁぁっ!」


王国最強の特別調査騎士団長ゼノスは、足元を徘徊する全自動ロボット掃除機から逃げるように、プレハブ小屋の隅でガタガタと震えていた。

聖女セシリアが「大丈夫ですよゼノス団長、その神獣様は温厚ですから」と笑顔で声をかけるが、全く慰めになっていない。


「まあまあ、そんなに警戒しないでください。ただのコンビニですから。せっかく遠くから来たんですし、温かいものでもどうぞ」


俺は彼らを落ち着かせるため、陳列棚からある商品を取り出した。

箱に入った、小分けの袋である。


【粉末コーンポタージュ(3食入り) 特価:150pt】


俺は紙コップにその袋の中身——黄色い粉末をサラサラと注ぎ込んだ。


「ん……? 邪悪な店主よ、お前は何を企んでいる! その黄金に輝く粉はなんだ? まさか、我々を毒殺するための魔法薬か!?」

ゼノスが剣の柄に手をかけ、目を血走らせる。


「だから毒じゃないってば。お湯を入れるだけですよ」


俺はポットから熱湯を注ぎ、マドラーでくるくるとかき混ぜた。

——ふわり。

その瞬間、トウモロコシの優しい甘さと、濃厚なミルクとバターの芳醇な香りが、プレハブ小屋いっぱいに広がった。


「「「…………っ!!?」」」


ゼノスをはじめ、後ろに控えていた騎士たちの喉が、一斉に『ゴクリ』と鳴った。


「な、なんだこの暴力的なまでに甘く、そして濃厚な香りは……!? 黄金の粉が、熱湯を注いだだけで黄金のトロトロとした液体に変わっただと!?」

ゼノスの剣を握る手が、ぷるぷると震えだす。


俺はフーフーと少し冷ましてから、ゼノスに紙コップを差し出した。


「騙されたと思って飲んでみてください。めちゃくちゃホッとしますよ」


ゼノスは恐る恐る紙コップを受け取り、その黄金色の液体を一口、口に含んだ。


「…………ッッッ!!!!」


ゼノスの目から、大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちた。


「あ、甘い……! なんだこの優しい甘みは! 舌の上でとろけるような濃厚なコク、そしてこの小さな四角い物体(※クルトン)のサクサクとした食感のアクセント……!」


彼はそのまま両手で紙コップを包み込み、一気に飲み干した。


「王宮の料理長が三日三晩かけて煮込んだスープすら、この一杯の前ではただの泥水に等しい! これは間違いなく、天界の畑で採れた黄金の果実と、神獣の乳を錬成して作られた至高のスープ……っ!!」


(いや、ただのインスタントのコーンスープなんだけど……)


「店主殿……いや、アルト様!」

ゼノスは床に膝をつき、俺の前にひれ伏した。


「私は間違っておりました! このような優しく温かいスープを創り出せる方に、邪悪な者がいるはずがありません! どうか……どうか、私の部下たちにもこのスープをお与えください! お代なら、王国の経費でいくらでも払います!」


「王国の経費って……まあ、魔石で払ってくれるならいいですよ」


こうして、俺の『異世界コンビニ・アルト屋』は、魔王軍、聖教会に続き、ついに王国騎士団までもを、一杯のインスタントスープで完全に骨抜きにしてしまったのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

少しでも「面白い」と思っていただけましたら、

下の『★』で評価や、ブックマークをしていただけると、執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ