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35話 普通に死ぬかな

 太陽達と共に作戦室から外に出る。太陽は体をほぐすための屈伸を始めるとそれを見ていたタマはたずねた。


「そういえば太陽さん達も一緒に外に出てるんだ?」

「おう。今のは牽制で本格的に戦闘を行うのは俺の仕事だからな」

「えっ? 太陽さんが戦うの?」

「ん。おじさまも戦うの?」


 太陽の言葉にタマと洋子が同時に同じことを口にした。


「なんで洋子まで反応してるんだ?」

「ん。おじさまは強い。それこそ1人で戦略兵器扱いされるくらい」

「1人の人間が戦略兵器って……」


 洋子の言葉にタマは疑問を口にする。それに洋子は補足するように答えた。


「それだけ個人としての戦闘力が特出してるってこと。おじさまの部下さんは全員おじさまの戦闘を補助するサポートチーム。銃火器とか使っているチームは足を止めるための牽制。情報処理や現地の指揮は茜さん。中心での戦闘を行うのが太陽おじさま。すごいよ。もの凄く派手」

「はっはっは。もう若くはないから無理は出来ないがな。っと。気がついたみたいだな」


 洋子の言葉に太陽が答えると同時にエピメテウスの居る離れた場所から大きな爆発と揺れが起こる。遠目からでも見えるくらいに海水や土砂が巻き上がっていた。


「うおっ。あの巨人……エピメテウスだったか。派手にやるなぁ」

「何が起きたんだ?」


 太陽の感心とタマの疑問が重なる。それに答えたのは太陽であった。


「武器を地面に叩きつけたみたいだな」

「叩きつけた?」

「おう。一瞬槍の先が見えたからな。それを海面に叩きつけて土煙と水で守ったんだろうな」

「タイヨウ。良く見えましたね」


 太陽が推測を口にするとパンドラは感心する。それに太陽はうなずいた。


「ああ。これでも目は良い方だからな。それに昔似たようなことをして銃弾の嵐を巻き上げた土で弾いて制圧した事がある」

「経験もあるのですか……」

「長年生きてりゃそういう経験もあるさ」

「そうなのですか」

「ありませんからねっ!? 太陽様が特殊なだけです」


 太陽とパンドラの話を聞いていた茜が早口で否定する。納得しかけたパンドラは洋子とタマの方を見て頭を傾げた。


「どっちの言い分が正しいのですか?」

「そういうのは戦いに身を置く人が経験する奴だろうから俺には分からないけど、普通に死ぬかな」

「ん。刀で銃弾くらいなら切れるけど、さすがにおじさまと同じことは今は無理……かな」

「なるほど。タイヨウは例外枠なのです」


 タマと洋子の説明を聞いたパンドラは結論を口にする。同時に大きな揺れと共に土煙の中から大きな塊がタマ達の居る場所に向かって砲弾のように飛び出して来た。


「来るぞっ! 茜っ!」

「はっ」

「ふんっ!?」


 太陽の掛け声を共に茜はタマ達の前に移動する。そのまま薄い光の結界を貼った。結界の外にいる太陽は迫って来る何かに向かって短い掛け声と共に跳ねる。


 飛び跳ねながら腰に差した刀に手を触れると同時に抜刀した。


「っ!?」


 飛んで来たモノは太陽の一撃を受け止めた。飛んで来たのはエピメテウスであった。太陽の一撃をエピメテウスは槍で受け止めるとその力は拮抗しているのか空中で制止する。少しするとお互いに弾かれてその場に落ちた。


 地面に落ちた2人はキレイに着地するとすぐに武器を書構える。止めた者と止められた者がお互いを認識すると止められた者であるエピメテウスが口を開いた。


「小さき者のクセに俺と力比べが出来るとは……やるな」

「そいつぁ。どうも。流石に踏みつぶされたら敵わんのでな。止めさせてもらった」


 太陽は背後の離れた場所にいるタマ達の方を一瞬だけ確認しながら答える。エピメテウスも太陽の視線の先に居るタマ達を認識すると納得した様子でうなずいた。


「なるほど。小さき者の幼子と俺……俺様の花嫁も一緒に居たのか。すまない。止めてくれて感謝する。危うく巻き込んでしまう所であった」


 意外にもエピメテウスは素直に謝る。それに意外そうな表情で太陽は言った。


「素直に謝るんだな?」

「当然だ。間違えたのなら素直に非を認めるさ。それに俺様は戦士でない者に手を出す外道ではないからな。それに貴様のおかげで花嫁に無駄なケガを負わせずに済んだのだからむしろ礼を言いたいくらいだ。ありがとう」


 心外だと言わんばかりにエピメテウスは言い返したうえで礼を言う。思った以上に理性的な対応に太陽は困惑しながらも軽く頭を下げた。


「そうか。こちらも先に銃弾で攻撃してすまなかった。身内の子が襲われたように見えたからな」

「なるほど。あの攻撃は花嫁と幼子を守る為の攻撃だったか。許そう。大切な身内であれば守るために動くのは当然だからな」


 太陽の言葉にあっさりとエピメテウスは笑って受け入れる。それに困った表情で太陽は言った。


「理性的だな。俺は来夏 太陽。太陽が名前だ。この国の防衛を任されている者だ」

「なるほど。タイヨウというのか。俺様はエピメテウス。ティターン族の戦士の1人だ」


 お互いに構えはそのままに太陽が名乗りを上げるとエピメテウスは名乗り返す。お互いに会話ができる状況を把握すると太陽はたずねた。


「何故ここにやって来たんだ? それに言葉が通じているのはなんでだ?」

「俺様の目的はパンドラを連れ帰って今度こそ本当の花嫁にする事だ。運命の人であるパンドラの気配を感じたから兄者に無理を言ってここまで来た。言葉については兄者に頼んで共通言語を使って翻訳している状態だからお互いに通じている。まさか花嫁が2人に増えているとは思ってもみなかったがな」

「なるほど。彼女達の1人はこの国の者でエピメテウス殿の言う方のツクモ神もこの国の庇護対象に登録されている。諦めてくれないか?」


 太陽はエピメテウスに対して交渉を試みる。それにエピメテウスは頭を横に振った。


「なるほど。そうであったか。それならば攻撃してきた理由も納得できる。だが、それは出来ぬ相談だ。俺……俺様に言う事を聞かせたいならお前達の力で俺を倒して見せろ」


 そう言うと同時にエピメテウスはその巨体に見合わない鋭い動きで太陽に向かって突きを放った。

 太陽とのやり取りエピメテウスとの対面のお話。

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