34話 分かった。やろう
「エピメテウスはティターンと呼ばれる巨人の一族に属する古い神の子孫の1体なのです」
「そういえば前にいってたな。それなりに有名なのか?」
パンドラの言葉にタマがたずねる。タマの問いにパンドラはうなずいた。
「有名なのです。巨人の中ではかなり高位に属する兄弟の弟なのです」
「ふむ。パンドラ……エピメテウス……ギリシャ神話か?」
「そうなのです。この世界では古代のギリシャが発祥となってるのです。神話は全て異世界にあるのですよ」
パンドラは自身の住む世界が異世界であることを口にする。それに太陽は興味深そうに言った。
「それは……初耳だな」
「夢や記憶を引き継いだ転生。何らかの理由での転移といった様々な経緯で流れ着いた知識を繋げて広がった結果が出来たのが神話であるというのが私達の世界の知恵を司っているツクモ神の見解なのです。他の神話体系の情報も似たような感じで広がっていると言っていたのです」
「詳しいんだな」
「この世界に渡る前にたくさん調べたのです」
パンドラは自慢気に答える。それを聞いていた洋子は自身に憑いている玉藻にたずねた。
「玉藻。それってツクモ神共通なの?」
『共通ではないぞ。様々な意見が交わっておる。私の知り合いでも似たような意見もあれば古い過去の話であるという説もあるぞ』
「タマモ。その意見は興味深いのです」
洋子の問いに玉藻が答えるとパンドラも玉藻の話に興味を持つ。それに玉藻は少し困った表情で言った。
『あー。パンドラよ。そこら辺はややこしい感じになりそうじゃから一旦置いておけ。私も興味あるから時間が出来たら話そう」
「もちろんなのですよ。玉藻」
玉藻が約束をするとパンドラがそれに応じる。それを聞いた玉藻はパンドラに提案した。
「それよりも高位の巨人の能力について話して欲しいのじゃ。対策が立てられんだろうからな』
「そうでした。タマモ。ありがとうなのです。まず、高位の巨人は通常の巨人よりもはるかに強靭な肉体を持っているのです」
玉藻の言葉にパンドラは最初の特徴について答える。そのやり取りに太陽が洋子にたずねた。
「洋子様。玉藻様とパンドラさん何を話し合っている? パンドラさんが巨人の事を言っているのは分かるが……」
「ん。この世界と神話の成り立ちについて喋ってる。それで玉藻がそれは一旦後にして高位の巨人についての特徴について喋るように提案した」
「そうか。確かに玉藻様の言う通り特徴について教えてくれると助かるな。はるかに強靭というのはどれくらいなんだ?」
太陽は曖昧な内容についてたずねる。パンドラは少し考えてから答えた。
「うーん。そうですね。高位の巨人ともなると大規模な落雷や爆発が直撃しても余裕で耐えてきます。また、例え腕や頭が吹き飛んでも心臓か脳みそが少しでも残っている状態でエネルギーさえ残っていれば再生できるのです」
「なるほど。実質、不死という事か」
太陽が考えている事を口にするとパンドラはうなずいた。
「そうなのです。なので再生を阻害するような手段がなければ実質殺すのは不可能なのです。なので戦って認めさせる方が現実的なのです」
「認めさせる?」
パンドラの言葉に太陽がたずねる。パンドラは巨人についての説明を始めた。
「巨人は基本的にプライドが高く戦いが大好きな種族なのです。それでいて正々堂々が好きな種族なので戦いの条件を提示して相手を了承させてから勝利すればいいのです。ただし、お互いに了承した約束は絶対に守ってください。彼らの逆鱗は理由なく約束を反故にする事なのですよ」
「なるほど。約束事を重んじるタイプの種族か」
「そうなのです。ですが、そこにまで行くにはある程度苦戦させるか圧倒的な力を見せつけないとその段階に行けないのです」
パンドラがそう言うと太陽は少し困った表情を見せた。
「ふむ……という事はまだ対等だと思われていないという事かい?」
「正直に言うならそうなのです。人は群れて戦うモノだという考えを持っているので集団で戦うのは問題ないのです。ただ、基本的には見下していると思うのでその認識を改めさせないと難しいのです」
パンドラがそう言うとタマが口を開いた。
「なんで見下してるんだ?」
「私の居た世界では巨人は神々の中でも古くからいる存在なのです。それ故に後から生まれた神々や人を下に見ているのがほとんどなのですよ」
「そうなのか。じゃあ絶対に勝たないとな」
「そうなのですよ。タマにも期待してるのです」
「おう。任せろ」
パンドラの言葉にタマは力強く答える。それに太陽は少し考えてからパンドラを見てから言った。
「……ふむ。巨人との戦いは大人の務めだ。我々で何とかできそうならこちらで対処するが、それが出来なさそうであれば君達にお願いしたい。学園の校長達からは色々と話を聞いている。とっておきがあるのだろう?」
太陽がそう言うとパンドラはうなずいた。
「あるのです。ただし、制御はできないのです。出た後は時間が経つまで大変なことが起きるのですよ」
「その話も聞いている。この結界内は特別性だから例え太陽がこの場に発生しても外に被害が出る事はない位に頑丈だから問題ない。ただ、中にいる人間は対策してないと蒸発してしまうがな」
「それは凄いのです。それなら問題なさそうなのです」
「はっはっはっは」と若干自虐的に笑い声をあげる太陽にパンドラは少し呆れた様子を見せながらも納得した様子でうなずくとタマの方を向いた。
「タマ。覚えていますか? 禁忌の箱」
「ああ。確か禁忌を呼び出す奴だろ」
タマは覚えている内容を口にする。パンドラはそれを肯定した。
「そうです。きちんと覚えていて偉いのです。それを使いますよ」
「パンドラは良いのか?」
「もちろんなのです。戦いの条件はタイミングを見て私が出すのです。タマは呼び出す覚悟とヤバい時は安全圏に逃げる事だけ考えるのです。洋子はタマの護衛をお願いするのです」
パンドラが真剣な表情でそう言うとタマと洋子はうなずいた。
「分かった。やろう。ただ、逃げる時はパンドラも一緒だからな」
「ん。タマとパンドラを守るのが仕事。最後まで面倒は見る」
「心強いのですよ」
2人の言葉にパンドラは嬉しそうに答える。
「うむ。話はまとまったみたいだな。それでは動き始めようか」
太陽がそう言うとタマ達も一緒にエピメテウスをどうにかする為に動き始めた。
巨人についての情報の確認とこれからする事についてのお話。




