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29話 なんだっ!?

 作業を始めてから2時間後。


「「……」」


 黙々と作業を進めて行ったタマ達は箱に入れていた最後の物資を置く所であった。最後の物資の入った箱を保管庫に並べた箱の上に乗せるとタマは両手を上げて喜んだ。


「おっ……終わったぁ。いぇーいっ!」

「ん。お疲れ」


 終わった達成感にタマが声を上げてから洋子とハイタッチをする。一緒に作業をしていた洋子が労うとタマも同じように洋子を労い返した。


「洋子もお疲れ様。やっぱりこの量になると出し入れは大変だよな。行きの時は先生たちにも手伝って貰ってたし」

「ん。でも、これが依頼だからやるしかなかった。報酬も出るからまだ頑張れたでしょ?」

「うん。そうだな。そう考えると心地いい疲れか」

「そうだね」


 タマの言葉に洋子は肯定して笑い合う。それと同時に倉庫の出入口に方から足音がした。


「おっ。終わったみたいだな」

「あ。紅蓮の親父さん」

「ん。おじさま」


 タマ達が足音の方を見ると紅蓮の父親である太陽が来ていた。太陽はタマを見ながら言った。


「おっと。そうだった。環さん。俺の事は太陽でいい」

「それじゃあ太陽さん。終わりました」


 タマは太陽にそう言うと目の前に置かれた物資の量に驚いた様子で言った。


「おう。そうか。ご苦労様。それにしてもあんな小さい箱からこんな量の物資が入ってるか。すごいな」

「むふん。私の自慢の子ですからね。これくらい余裕ですよ」

「いや。なんでパンドラが自慢してるんだよ……」


 我が事のように自慢するパンドラに少し呆れた様子でタマが反応する。そんな気安いやり取りに太陽は笑った。


「ははは。ツクモ神との仲も良好のようだね」

「そうでしょう。そうでしょう。私とタマは仲良しさんですよ」

「そこまではっきり言われると……なんかすごく恥ずかしくなるんだけど?」


 楽しげなパンドラの言葉に照れ臭くなったのか顔を真っ赤にして太陽とパンドラの方から視線を逸らす。


 タマは強引に話題を切り替えた。


「と、ところでどうして太陽さんはここに?」

「一応、依頼主だからな。きちんと依頼をこなせているか確認しに来てるんだ」

「なるほど。どうですか? 俺達の働きは?」

「うむ。上出来だ」


 太陽はグッと親指を立てる。その動作にタマと洋子は喜び合った。


「やった」

「それと達成したからこれを渡しておく」


 そういうと手に持っていた書類をタマに渡した。そこには依頼達成の判子と署名がされた依頼の書物であった。


「太陽さん。これは?」

「これは依頼書だ。今回は特殊な形態で依頼したが、君達は学園で受付から依頼書を貰って活動してもらっているんだ。それで依頼を受ける時にそれを渡して達成したらこうやって完了の署名と一緒に返すんだ。後はこれを学園の受付に渡してくれたら依頼完了だ。この書類は学園からここまでの物資の運搬についての依頼書だ。とりあえず環さんの箱の中に入れておくと良い」

「そうなんだ。教えてくれありがとうございます」


 太陽の説明で依頼について理解するとタマは礼を言う。素直な言葉にうんうんとうなずいている姿見えると洋子は言った。


「ん。後は巨人との戦いに参加だよ」

「うん。大丈夫。生き残る為問いはいえ、校長先生にひたすらしごかれたからな。ちゃんと落ち着いてる。太陽さん。俺達は何をすればいいんだ?」


 洋子の言葉に若干言葉を震わせながらタマは答えてからたずねる。冷静なタマと洋子の反応に太陽は言った。


「あぁ。君達は支援班に配属だ。先程と同じように私の指示で物資をあちこちに渡してきてもらう事になる。それと参加するのは了承したが、戦闘はあくまで最終手段だから戦闘にならない可能性もあるぞ」

「え? 交渉するんですか?」

「いくら巨人とはいえ人型の相手だからな。先に巨人の目的の確認と交渉。それがダメなら戦闘という形になる。それでも大丈夫かい?」

「はい。それで大丈夫です。戦いがないならそれに越した事はないですから」

「ん。問題ない」


 タマと洋子は素直に応じる。太陽はこれからすることを口にした。


「そう言ってもらえると助かるよ。それでだ。もう1度言うぞ。もしも戦闘になったら君達には弾薬や薬を運搬してもらう。その場合は長丁場になるかもしれないから覚悟しておいてくれ。巨人はタフだ。過去にも知能の低い野生の巨人を相手にする事があったが、10日間休みなしで攻撃し続けて何とか迎撃できた。故に補給を絶やすわけには行かないから大変だぞ」

「うん。任せてくれ」

「ん。タマの安全は守る。邪魔はしない、させない」

「ああ。そう言ってくれると心強いよ。葛葉さんと玉藻様がいるなら安全なルート選びは問題ないだろうしな。それともう1つ。もしも巨人と遭遇しても戦うなとは言わないが、逃走を優先。隙が出来ればすぐに逃げろ」


 真剣な声で太陽がそう言うとタマは頭を傾げた。


「抵抗しすぎると何が起こるんですか?」

「ああ。これは伝えておかないとな。巨人族の大体は戦いが大好きでな。強い相手に強い執着を見せる。1対1で渡り合えるような手練れを相手にするとテンションに呼応するように手に負えなくなるくらいに戦闘力が増加して執着するんだ。そうなると前回倒した個体と同程度でも1カ月以上飲まず食わずでも戦い続けるくらいにな」

「巨人について詳しいですね?」


 太陽の説明に興味深いと思ったのっかパンドラが質問する。隠す程の物でもないのか太陽はあっさりと答えた。


「ああ。過去に撃退した後に国外の神々からも情報を提供してもらったからな」

「外の国の神とも情報共有をしているのですか?」


 太陽の言葉にパンドラが驚く。


「ああ。我が国のツクモ神を経由して危険なツクモ神の情報は同盟国同士で共有しているんだ。こちらからも危険なツクモ神……そうだな。特に鬼と呼ばれる種族や土蜘蛛などの危険な存在については提供している」

「そうなのですか。丁寧に答えてくださってありがとうございます」

「いえいえ。こちらこそ。パンドラさんのようなツクモ神とお話が出来るのは貴重な機会ですから」


 パンドラと太陽は打ち解け合う。そんな感じで中を深めていくと倉庫に設置されているスピーカーからサイレンが鳴り始めた。


「なんだっ!? この音っ!?」

「えっ!? これはっ!? 何の音ですか!?」


 耳に残るような甲高い音にタマとパンドラが混乱する。太陽は少し焦った様子で口を開いた。


「この警告音は不測の事態の合図だっ!? 何があったっ!? 環さん。葛葉さん。すまないが、一旦作戦室へ移動だ。着いて来てくれ」

「はい」

「ん。了解」


 タマ達が返事をすると太陽は動き始める。タマ達はその後を追って移動を始めた。

 物資の運搬完了と想定よりも速い巨人到来のお話。

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